CHIKI CHIKI & TAN TAN@吉田町 |
まずは生ビール
一般に、成人式が挙行される日には店の営業は変則的になりやすいとの教訓から、迷惑だろうが、昼前に店に電話した。平常通り営業している由。遅めの時間だったが奥のダイニングはほぼ満席で、大人数卓では団体の同級会のような賑やかな面々が昼からフルコースを召し上がっていた。その近傍に通されて、まずは定番の生ビール、パスタランチのコースをオーダー。
絶品のアンティパスト
客がたくさん入っていたのでサーブは遅れがちだった。
やりイカと色々キノコの明太子ソース スパゲッティ
そうこうするうちにメインが同時にサーブされた。
こちらは家内のオーダー。とても珍しいことに和風のソースと食材を使った一皿。
深い味わいと純朴な和の風情を同時に表現するこのソースは実に憎い。明太子もチーズも塩分があるため、たぶん追加の塩は加えていない。茸だが、しめじ、舞茸、エリンギ、その他。メインは小型のやりイカだ。これが磯の香りをたっぷり含み、パスタにも旨味が沁み込んでいる。刻み海苔と相俟って和のテイストが充満、後から明太子の辛味がやって来る。
シュリンプとナスのオレガノとドライトマトが入った
トマトソース スパゲッティ
こちらは私のオーダー品。
この店のトマトソースは他では類を見ないナチュラルで仄か、それでいてトマト本来の酸味、甘味、香味、深みが高度にバランスした逸品。例えば辛味を入れればアラビアータ風、また豚挽肉などで煮詰めれば日本独自のナポリタンに近寄せたりと実に応用範囲が広いヴァーサタイルなソースベースなのだ。この多能なトマトベースが遺憾なく発揮されたのがこれ。
シュリンプが多量に入りこれだけで十分なところに甘みを増すためか、ぷにっとしたドライトマト、青みのある茄子を投入、ぐつぐつと煮たところへアルデンテの茹で上げ麺を投入。更にパルミジャーノ・レッジャーノを振って仕上げた一皿だ。これが美味しくないはずがないのだ。旨味も甘味も幽玄にして懐深く、こんな美味しいものが食べられる愉悦に暫し浸る。
ドルチェ、コーヒー
最後に出るのがこれ。
いつもながらの美味しいランチであった。こういった料理を手軽に、しかも時間を気にせず味わうことのできる日常に感謝しつつ連休最後のひと時を過ごした。
お店データ
dining cafe CHIKI CHIKI / Work Shop TAN TAN
横浜市中区吉田町5-1 第一吉田ビル
電話:045-260-2670
営業:火~木:12:00~26:00
金~土:12:00~26:30
日曜/連休の最終日 ~22:00
定休:月曜(月曜が祭日の場合は翌火曜)
最寄:JR、市営BL 関内4~5分
残念なお知らせ
とても悲しいことだが、今まで長きに渡り楽しませていただいたこの絶品イタリアンともお別れしなければならない。店を後にするとき店主と少し話したのだが、彼は七里ガ浜から吉田町へ毎日通い、またもう一人のシェフは杉並あたりから毎日通っているのだという。毎晩遅くまでここで仕事をするには距離と年齢的なことを考えると限界だというのだ。
次は決めておらず、とにかく休息して次を考えたいという。かくいう私も加齢に伴い今まで考えたこともないような限界を感じている昨今、むべなるかな、と思う。次に別の地で店を出すなら是非とも知らせて欲しい。その節は駆け付けたいのだ。
今日の一曲
前回に引き続き、ブーレーズのマーラー・チクルスから、今回はVPOを振った#5。この曲で最も有名なのは4楽章アダージェットだろう。ルキノ・ヴィスコンティが撮った映画ベニスに死すで使用された耽美的な旋律は、耳にすれば誰もが知っているのではないだろうか。第一楽章は葬送行進曲とされてなかなかにデモーニッシュだが、残りの楽章は抒情的で美しい。録音のライナー・メイラードは立体三次元の美しい音場空間を切り取っている。
(MusicArena 2006/10/16)
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