たち花@東白楽 |
まずは生ビール
この店は我が家から徒歩で行ける蕎麦屋としては三番目に近いところにある。愛犬が若い頃は散歩コースに入っていたためよく通っていた。しかしながら、一度あまり良い思いをしない出来事があってから疎遠になっていた。この日は自宅出発が遅れ、14時終わりの店は諦めざるを得なく選択肢が減った。では、たまには覗いてみるかということで再訪した。
実に三年半ぶりの訪店で懐かしかった。入口の帳場では和装の壮年女性6~7人がお勘定を済ませて帰ろうとしていた。初釜か初舞か何か年初の稽古事の帰りだろう。割り勘らしくて一人ずつちまちまやっている。女性スタッフがレジで勘定しているが我々の来店に気が付かない。そうすると厨房から責任者と思しき調理人が素早く出て来て応対してくれ、程なく席に通された。これは以前にはなかった気遣いだ。
肴三品
まずは蕎麦前だが、グランドメニューからめごち天ぷら、山芋の磯部揚げを、そしてこの日のお勧めメニューボードから烏賊の一夜干し焼きをオーダー。
直後にサーブされたのが、昔からのこの店の定番で抜群の旨さを誇る烏賊の一夜干しを炙ったもの。演歌の名曲にこんなフレーズがあった。お酒はぬるめの燗がいい。肴はあぶったイカでいい・・ まさにそんなシチュエーションで、これがたまらなく美味しいのだ。いや、特別に贅沢なわけではなく、むしろ純朴な磯の風味、凛とした塩気と旨味はぬる燗に合う。
かき揚げそば
家内は暖かい蕎麦をオーダー。
この蕎麦は抜き実の挽きぐるみの二八で、いつもの機械打ちと思われ切り口は綺麗に揃っている。以前よりもクォリティが全体的に上がっている気がする。新蕎麦を使用しているせいか蕎麦粉自体の香りがふんわり立っていて良い塩梅だ。かき揚げの軽い油、具材の旨味成分が溶出した辛めの蕎麦汁に浸しながら啜ると小海老、小柱の香気が鼻から抜ける。
手打ちざるそば+大海老天ぷら
私は手打ちざる蕎麦と単品の大海老の天ぷらを1本頼んだ。
この店の通常の蕎麦は前述の通り大量に作るため機械打ちだが、この一品だけは手打ち蕎麦である。そして、抜き実ではなく、殻まで含む玄蕎麦の挽きぐるみ、黒くて喉越しが力強く、風味もとても強い。手打ちなので太さは微妙に不揃いだが切り口が鋭利、滑らかさは抜き実の粉よりも後退するが、野趣溢れる、いわゆる田舎蕎麦に仕上がっている。
玄蕎麦挽きぐるみ蕎麦に合わせるのは、単品の大海老天ぷら。これは大型の赤海老に衣を纏わせて高温でさっと揚げたもので、外はかりかり、中は大型の海老に程よい熱が通ってほくほくでジューシー。なお今回は別皿提供だが、蕎麦汁に浸けた状態での提供も可能。車海老には一歩及ばないまでも味は濃くて香りも強く、この力のある蕎麦との相性は抜群だ。
暫く来ないうちにサービス品質、蕎麦の品質ともに向上しているようだった。近場ということもあり、また再訪したいと思う。
お店データ
わんこそば たち花
横浜市神奈川区白楽5-13
電話:045-431-9445
営業:11:30~21:00
定休:年中無休(1月1日、2日は休み)
最寄:東急東横線・東白楽2分
今日の一曲
エサ=ペッカ・サロネン/LOPOの3曲目、最後はストラヴィンスキー:春の祭典(1947年版)。エネルギッシュでありながら緻密な描き込みが特徴となる秀演だ。ハイスピードな加速度感が随所に感じられるのだが荒れることなくディテールも鮮明。こういったところが前述の通り、在りし日のブーレーズに似通っているのだ。事実、サロネンは後になり、ブーレーズを敬愛しており、普段から彼のスタイルを規範としている旨の発言をしていた。
(MusicArena 2006/10/11)
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