九つ井@横浜 |
その前に、ランチは久し振りにこちら。横浜駅西口の繁華街からは多少距離があってオフィス街の真ん中に位置することから場所的には必ずしも有利ではないので、誰しもが気軽に立ち寄れるという立地ではない。その代り、喧噪から離れ、またオフィスビルの地下に目立たぬ格好で入居するため、ランチに利用するには大体は空いていて好都合なのだ。この店の場合、冠婚葬祭の二次会やその他の食事会など予約制の大人数で使われることが多く、個人の小口客は一般的でないのかもしれない。さてそんな店なのだが、この日はエントランスに降りてびっくりした。広めのロビーには人がたくさんいて行列を作っているかの風景。
が、それは食事を終えて帰ろうとする数組の団体が、その代表者が支払を済ませるのを三々五々待っていただけだった。どうやらこの日は非常に混雑していたようで、今まであまり見ない光景。お勘定の列が捌け、我々に気が付いた若女将が奥のメインダイニングへ行くようにと合図する。暗く長い廊下を進んで階段を数段降りると、いつもは割と空いているホールの個別テーブル席はなんと満杯。花番からは中央の大テーブルの一角に座るよう促された。なお、こちらに座るのは初めて。しかし中央からホール内をぐるりと眺められるこのロケーションも解放感があって悪くない。まずは生ビール

大テーブルに腰掛けたら、珍しく料理人の男性=いつも蕎麦打ちをしている=がやって来ておしぼりをサーブしつつ箸を並べたりオーダーを訊いたりする。勿論、生ビールを二つ。厨房要員まで応援に出て来ることで店内の混雑具合は相当のものと想像された。そうこうするうちに花番がやって来て我々のバッグ等に布をかけてくれ、肴はどうするかと問う。肴二品
ふろふき大根、菊花と蟹ゼリー寄せを頼んだ。






ちらしそば
こちらは家内のお気に入り、ちらしそば。ちらし鮨の蕎麦版と考えてよい。過去日記に詳しいので論評抜きとするが、家内の満足度は極大であったことは言を待たない。





鶏せいろそば
私はいつも大概は鴨せいろ、あるいは天せいろ。なので今回は珍しく鶏を頼んだ。






構成も出汁も鴨せいろと同等で、具が鴨から鶏に代わっただけの違い。だが鴨と異なり臭みが皆無、かつ鶏特有の軽量な甘味と淡い滋味が溶けていて素晴らしい出来栄えだ。鶏の香りが淡白なことから、かえし醤油の香り、本涸節の出汁の風味がダイレクトに伝わる。ここに絶品の挽ぐるみ古式蕎麦をちょちょいとつけていただけば至福そのもの。もう言うことはない。お店データ
九つ井(ここのついど)横浜店横浜市西区北幸2-6-26 H1横浜ビルB1F
電話:045-313-9110
営業:平日:11:30~23:00(21:30LO)
祝日:11:30~22:00(21:00LO)
定休:日曜
最寄:各社線 横浜8~10分
今日の一曲
Steinway Legends: Polliniの2枚目、エチュード抜粋の最後、Op.25-12、俗称大洋となる。後世の人は荒れ狂う大海原に漕ぎ出した小さな舟が波に揉まれるトラジェディックな情景を連想したのだろうか。なおショパンがこの曲を書いた頃は既に結核に罹患しており彼は遠くない死を意識していたと思われ、重苦しい雰囲気が支配するのだろう。これはOp.25に見られる特徴の一つである16分音符による分散和音の練習の集大成だ。16分音符が4つ4ペアで一小節を刻む、これまた思い出深い曲。上下のダイナミックレンジが極めて広く、小学校5年生の当時、手が小さくてスケールを激しく高速に上下させるのに四苦八苦した。メトロノームを鳴らしながら速度を半分に落とし片手練習を続けた思い出がある。そうこうするうちに腕も指も回るようになってくる。そう、これはオクターブ・ユニゾンの強打を要求される前の曲よりかは容易、つまり、瞬時には片腕で一音しか押さなくて良いのだ。その割に音響効果は絶大で、学校の講堂で放課後にこれを弾いているとピアノ女子からかなり着目され、いい気になっている自分があった。実に恥ずかしい思い出・・。
(MusicArena 2006/9/25)

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