Chez Akila@伊勢佐木長者町 |
Les Aperitifs アペリティフ
ここはフレディの四十九日に彼を偲ぶ会で訪れた。横浜市営地下鉄ブルーラインの伊勢佐木長者町駅の直上だ。長女は業務都合で少し遅れる由、まずは3人で乾杯。二女はお勧めの Cuvée Cleémente Blanc de Blancs Méthode Traditionnelle なるスパークリングワイン、我々はレーベンブロイをいただく。そして遅れて到着した長女と二度目の乾杯をしてディナーへ。
Entrée アントレ
前菜もメインも料理は基本一種二人前を一皿に一緒盛りにして、計二皿ずつを出してもらってシェアした。写真は二人前を一緒盛りにしたもの。以下、画像からその内容を想像いただければと思う。
▶ Salade de calmar et legumes vinegrette de tomate
アオリイカと季節の野菜のサラダ
▶ Falantine de volaille "SATSUMA"
さつま赤鶏のガランティーヌ自家製ピクルス添え
烏賊が入ったサラダは和風に近いかと思いきや、バルサミコの仄かな酸味とバジルソースが添えられていてこれがまた絶品。茄子やオクラ、炙ったパプリカといった夏野菜との相性も抜群。そして、このガランティーヌの滋味といったらもう言葉にならない。脂は完全に溶け落ちているけれども残留したコラーゲンがぎっしり詰まり、これはもう旨味の塊で極致。付け合わせの自家製ピクルスの酸味が爽やかでこれも合うのだ。
Plat principal プラ・プランシパル
魚に関してはこの日は真鯛しか残っていないとのことで、これは一人前を四皿出してもらった。あとは写真の通り。
▶ Filet de daurade poêlé, sauce vin blanc
真鯛のポワレ 白ワインソース
▶ Echine de porc "MOCHI" grillee
新潟県産越後もち豚 肩ロースのグリエ
▶ Filet de canette rôti sauce à l'orange
鴨胸肉のロースト オレンジソース
このもち豚がどういった品種かは不案内だが、旨味が強くどちらかというとジビエの風情だろう。本来の臭みは抑制されてはいるが、仄かに豚肉の香りが漂う。この肉は低加熱で半殺し状態なのだが、ここに粒マスタードとグレービーから作ったと思われるソースを纏わせると至極おいしいという、いわば天才的な調理法なのだ。
こちらもジビエの風情を湛えた鴨の胸肉で、これは非常に柔らかい半面、繊維質もしっかりと感じられる。そのうえ脂もそこそこ、そして何といっても滋味が深い。低温調理したかのピンク色の断面が更に食欲をそそる。付け合わせの特製オレンジソースを纏わせると意外にこれがまた合うのだ。鴨本来の臭いは消し去らず、さりとて嫌味がなく、とても秀逸な調理だった。
Dessert デザート
以下の写真の順に出た。なお、家内と長女は同じ桃を選んだので写真は3枚となる。
▶ Compote de peche glance à la vanille
桃のコンポート ヴァニラアイスクリーム添え
▶ Compote de cerises au vin rouge et créme d'anjue
アメリカンチェリーの赤ワインコンポートとヨーグルトのクレームダンジュ
▶ Tarte fine aux figues & glace aux the
無花果の温かいタルト 紅茶のアイスクリーム添え
無花果は私のオーダー。実を薄くスライスして生地に乗せ焼き上げて甘味と旨味を凝縮、中心に紅茶で作ったアイスクリームを配したもの。タルトは焼菓子で、これはオーダーを受けてから粉を捏ねて伸ばした生地に具材を並べグリルで焼いたもの。その割にはタルト部分が超軽量、ぱりぱりのクロワッサン風の多層状態で、私の様な辛党にとっても美味しい。
まとめ
混み合ってしまって食べたいときに食べられない店にはなって欲しくはないので、余り多くは語らないけれど、ここは率直にとても美味しい店だ。しかも正統派調理法にして旬の国内食材を取り入れるという、まことに素晴らしい料理を食べさせてくれる。東京都内にはこういった店は多いのだろうが横浜もなかなかに負けていない。この店は自信をもってお勧めできる優秀店。
お店データ
Chez Akila(シェ・アキラ)
横浜市中区長者町5-49-1 林ビル
電話:045-326-5888
営業:11:30~14:00、17:30~21:00
定休:水曜、第2火曜
最寄:市営BL伊勢佐木町0分、JR関内6分
今日の一曲
前回に続き内田光子のベートーヴェン。今回はソナタ31番ホ長調Op.110。私はこの作品は好きで、1楽章の純度の高い高輝度な作風が特に好み。内田は内省的で過度な煌めきは入れない。この作品は変わっていて、2楽章は緩徐楽章ではなくスケルツォ的で短め、だがエモーションが迸(ほとばし)る。そして終楽章が緩徐楽章の風情で始まるという、ちょっと変わった作品。ここでの内田の情感の籠め方はモーツァルトとは違う秀逸さ。
(MusicArena 2006/7/27)
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