Verdi: Requiem@Gianandrea Noseda/LSO & Chor |
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Verdi: Requiem
No.1 Requiem and Kyrie:
1.Requiem aeternam & Kyrie eleison
No.2 Dies Irae:
2. ⅰ.Dies irae
3. ⅱ.Tuba mirum
4. ⅲ.Mors stupebit
5. ⅳ.Liber scriptus
6. ⅴ.Quid sum miser
7. ⅵ.Rex tremendae
8. ⅶ.Recordare
9. ⅷ.Ingemisco
10.ⅸ.Confutatis
11.ⅹ.Lacrymosa
No.3 Offertorium:
12. ⅰ.Domine Jesu Christe
13. ⅱ.Hostias
14. No.4 Sanctus
15. No.5 Agnus Dei
16. No.6 Lux aeterna
No.7 Libera me:
17. ⅰ.Libera me
18. ⅱ.Dies irae
19. ⅲ.Requiem aeternam
20. ⅳ.Libera me
Erika Grimaldi (soprano), Daniela Barcellona (mezzo-soprano),
Francesco Meli (tenor) & Michele Pertusi (baritone)
London Symphony Chorus & London Symphony Orchestra
Gianandrea Noseda
ヴェルディ: レクイエム
第1曲:レクイエムとキリエ
1. レクイエムとキリエ
第2曲:怒りの日
2. 怒りの日
3. くすしきラッパの音
4. 審判者に答えるために
5. 書き記されし書物は
6. 哀れなる我
7. 御稜威の大王
8. 思い給え
9. 我は嘆く
10.判決を受けた呪われし者
11.涙の日
第3曲:奉献唱
12. 主イエス・キリスト
13. 賛美の生け贄と祈り
14. 第4曲:聖なるかな
15. 第5曲:神の子羊
16. 第6曲:絶えざる光を
第7曲:我を救い給え
17. 我を救い給え
18. 怒りの日
19. レクイエム
20. 我を救い給え
エリカ・グリマルディ(ソプラノ)、ダニエラ・バルチェッローナ(メゾソプラノ)、
フランチェスコ・メーリ(テノール)。ミケレ・ペルトゥージ(バス)
ジャナンドレア・ノセダ(指揮)
ロンドン交響楽団、ロンドン交響楽団合唱団(合唱指揮:サイモン・ホールジー)
ジャナンドレア・ノセダ、及びこの演奏にについて
キング・インターナショナルの販促用解説から以下引用しておく。
LSO 2016-17年シーズンの幕開けを飾ったノセダのヴェルレク!
豪華歌唱陣
LSOブラス・セクションの完璧無比な演奏!
LSOの首席客演指揮者に就任したジャナンドレア・ノセダ。ノセダによる、2016-17年シーズンの幕開けを飾った、ヴェルディのレクイエムの登場です。イタリアのスター歌手を集め、ロンドンの聴衆を熱狂の渦に巻き込み強烈な印象を与えた注目のライヴ録音です。
ノセダは2007年からトリノ王立歌劇場の音楽監督を務め、2016年の国際オペラ賞のコンダクターズ・オブ・ジ・イヤーを受賞、さらに2015年のアメリカ指揮者賞も受賞するなど、ますます世界が注目する存在。すでにノセダはブリテン:戦争レクイエムでLSOライヴにも登場し、その緻密かつ大胆な音楽運びでロンドン交響楽団との相性もバッチリなのは周知のところ。
そんなノセダがLSO 2016-17年シーズの幕開けに選んだのが、ヴェルディのレクイエム。ノセダは2011年にトリノ王立劇場管とヴェルディのレクイエムを取り上げているなど、まさに手に入った作品といえるところ。死の恐怖への抵抗と、死によってもたらされる天上の平和への祈りがこめられたヴェルディのレクイエム。ブラームスはこの作品を聴いて「天才だけがこのようなものを書くことできる」と言ったといいます。ノセダは繊細かつ時に暴力的なまでに激しく、作品に込められたすべてを引き出し、見事にまとめあげています。管楽器が活躍する「怒りの日」ではLSOのブラス・セクションがおそろしいまでに完璧な演奏を展開。
そしてノセダが信頼をよせる独唱者たちも豪華な顔ぶれ。ソプラノのグリマルディは1980年生まれ、モーツァルト、ロッシーニから、ミミ(ラ・ボエーム)まで、まさに今乗りに乗っているソプラノの一人といえるでしょう。1969年生まれのバルチェッローナはロッシーニでブレイクし、来日多数で日本でのファンも多く、最近ではヴェルディもよく歌っており、ヴェルディ・メッゾとしての地位も確立している逸材。テノールは艶のある声でMETはじめ世界で活躍、日本でも人気の1980年生まれのメーリ。そして1965年生まれのペルトゥージも世界最高峰のベルカント・バスとして世界で活躍する存在。4人とも圧巻の歌唱で聴かせます。
キングインターナショナル
第1曲~第2曲
この演奏は全編にわたり、上に引用したキング・インターの紹介文のとおりのダイナミックレンジの広い演奏となっている。レクイエムとキリエの入りは非常に静謐、音量自体が小さすぎて聴き取り辛いほど。前半レクイエムはインテンポより多少遅めで描き込みは丹念。後半のキリエは混成合唱と弦楽隊の溶け込みが美しい。
ディエス・イレはインテンポより少し速く力強い、というか爆発的なエナジーで開始。金管隊が一糸乱れず強烈なビームを放散し、これに呼応するグランカッサとティンパニのビートが連打で炸裂。この金管隊の精密で歪感のなさは金管世界最高峰のCSOにも比肩する超高性能ぶりといえる。
Tuba mirum(くすしきラッパの音)のトランペットもまた特筆ものの出来栄えで、激烈なのに精緻という相反する両要素を同時に満たす迫力の演奏。Mors stupebit(審判者に答えるために)を歌うBas=ミケレ・ペルトゥージの訴求力、Liber scriptus(書き記されし書物は)を歌うMs=ダニエラ・バルチェッローナの浸透力には思わず引き込まれてしまう。Quid sum miser(哀れなる我)ではMs、Ten、Sopの極めて美しい三重唱が展開される。Recordare(思い給え)は、しっとり湿潤なアダージオでSop、Msが二重唱を展開。高い技巧と綺麗な声に聴き惚れる。
Lacrymosa(涙の日)は、憂鬱なMsの動機提示から始まり、Basが追いかけ、そしてSopが重畳してきて最終的には四重唱、そこに更に混成四部合唱が被さり、重要かつ重厚なヴェルレクの1つのエレメントが描き込まれていく。オペラ指揮を生業とするノセダの真骨頂がしっかりと聴き取れる場面であり、このアルバムの頂点の一つでもある。
第3曲~第6曲
第3曲Offertorium(奉献唱)は、長調で歌われるいわば讃美歌、ロマン派の通常の交響曲やソナタ等では緩徐楽章に相当する部分。各独唱の持ち味が存分に聴けるし、今回起用されているソリストたちがノセダのお気に入りというのが納得できるドラマティック、いや「オペラ」チックで優美な歌唱力を披歴している。第4曲Sanctus(聖なるかな)も長調で明媚、かつ華やいだ混成合唱による讃美歌で主題旋律がフーガと言うかリチェルカーレで構成される対位法の短めの曲。第5曲Agnus Dei(神の子羊)は朗々としたMsとSopがユニゾンで紡ぐ純朴な讃美歌。途中、短調に暗転して同様にユニゾンで切々と歌い、後半に再度明転して閉じる。第6曲のLux aeterna(ルクス・エテルナ=絶えざる光を)は最終一つ手前の曲で、個人的にはヴェルレクの中の一つの頂点と考える曲。管弦楽よりも独唱に比重を置いた典礼文。Msが終始主旋律を紡ぎ、Basが絡み、更に中間部よりTenが重唱に加わる。
第7曲
最終曲の冒頭は葬儀のミサ、その後の赦祷で用いられる典礼文であるリベラ・メをヴェルディらしいドラマティックで暗澹たる和声で描いたもので、このレクイエムの中の最後の頂点となる一連の作品のきっかけと位置づけられる。そして再現部としての邪悪なディエス・イレが怒りに満ちてもう一度歌われ、そしてレクイエムの冒頭も静かに再現され、焼き尽された邪悪な者たちの跡をSopが静かにそして高らかに鎮めるように歌い上げる。コーダに相当する最終トゥッティは第7曲冒頭のリベラ・メの典礼文および旋律を再現させており、ここはSopが主導する多重フーガによる対位法で重層的に構成している。祈祷文Libera meを厳かに数度リフレインし、このレクイエム全体が静かに閉じる。
いやはや、なかなかにダイナミック、そして精緻で隙のない巧妙かつ音楽的にも円熟したヴェルレクだった。今後の新たな同曲のスタンダードとして位置づけられる好演奏である。やはりヴェルレクは宗教儀式の典礼文というよりかはオペラのような聴かせる歌唱を中心としたメロディアスな作品であり、オペラ指揮を主力とするノセダはなんともじょうずにバトンをとるものだと感心した。
以下、ライブ収録の模様をリンク切れになるまで貼っておく。
録音評
LSO Live LSO0800、SACDハイブリッド。録音は2016年9月18、20日、ベニューはお馴染のバービカン・センターでのライヴ収録とある。録音は常連のClassic Sound Ltd.の手になるが、プロデューサーはジェイムズ・マリンソンではなくてニコラス・パーカーとある(マリンソンは引退したのかもしれない)。エンジニア、トーンマイスターは従前と変わらずジョナサン・ストークス 、ニール・ハッチンソンのコンビで担当。128fsの純粋DSD録音で、従前のLSOライブよりも音場再現性がずば抜けて改善されている。そして、バービカンの広大で高貴なサウンドステージが実に綺麗に再現されているのだ。音色としては少々ドライで軽量、独唱などにはもう少し湿潤さが欲しい気もするが忠実度からするとこんなものなのかもしれない。直近に聴いたPENTATONEのファリャがあまりに優秀過ぎて霞んでいるが、実はこの盤もまた超高音質超優秀録音であることは紛れもない事実だ。 演奏も音質も非常に良い出来栄えでお勧めしたいところだが、再生は難しいかもしれない。
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