自宅PCの簡易水冷CPUクーラーの換装 |
現用製品はThermaltake water2.0 Extreme
この12cmファンを2基搭載する大型の簡易水冷CPUクーラーは、CPUをInterl Core i7 3930Kに一新した時に付けたもので、かれこれ5年経過している。その間、たまに冷え方が悪くなり、それはCPUグリスの固着や乾燥、変質といったことが原因だった。そのたびに相応の熱伝導率のグリスを塗り直せば冷却能力は回復していた。
具体的な症状だが、全体的に冷媒温度が高くなり、CPUアイドル時でも45℃くらいまでしか下がらない。高負荷をかけると一気に70℃くらいまで上がり、その後、負荷が解けてアイドルになっても冷媒温度がなかなか下がらない。正常時であれば、たとえ冷媒温度が90℃近くまで行ったとしても数秒~10数秒で35℃程度まで一気に冷える。
今回もグリスの劣化だと思って塗り直した。以前から愛用してきたGELIDのGC-EXTREMEが廃番となったので、熱伝導率=15W/m・Kを誇るJunPusのナノダイヤモンドグリス、DX1を買ってきて塗り直したが効果は全くなかった。非金属グリスで最高伝導率のものに換えても症状が治まらないとするならこれはCPUクーラー自体を疑うしかない。因みに12cmファンは常に監視していて正常で、風量も出ている。
グリスの種類により塗り直しから馴染むまで時間を要する場合もあるとの判断で一週間様子を見たが変化はない。
そうこうするうち、water2.0のウォーターブロック(吸熱部+ポンプ)からカラカラと異音を発するようになった。というか、以前から微かに鳴っていたけれども気が付かなかった可能性が高い。エアーを噛んでいるような感じの音だが、ブレードないし軸受が損傷している可能性がある。いずれにしても冷媒の循環流量が減少している様子だ。
選んだのはCooler Master MasterLiquid Pro 240
簡易水冷は継手を外して中の様子を見たり冷媒を継ぎ足したりは出来ないので丸ごとの交換しかない。
CPUクーラーは一旦おかしくなると直ちに運用継続が不可となるため信頼性の高い製品を選ぶべきだ。現行のThermaltakeも信頼に足る製品だったが、やはり5年も経つと怪しくなる。
そこで、堅牢性を中心に検討していたが、クーラーマスターのこの製品はポンプの長寿命を謳っていて、なおかつドスパラ店頭にキャンペーン価格で並んでいることがわかった。ということで売り切れる前にさっそく確保してきた。
以下、販売サイトのプロモーション・ページから特徴を引用:
長寿命を実現するデュアルチャンバーポンプ
新たに設計された2層構造の液冷ヘッドを採用するデュアルチャンバーポンプを搭載。熱された冷却液と冷えた冷却液を分離し、ポンプ駆動部分には冷たい層に配置。製品寿命の課題となる、熱によるポンプへのダメージを軽減し、ポンプの製品寿命 175,000時間(MTTF)を実現しています。
精巧なマイクロチャンネル採用の水冷ヘッド
超微細加工のマイクロチャンネルにより、ヒートシンク部分の表面積が約6.5倍(メーカー従来比)まで拡大され熱伝導効率をアップ。また、本格水冷キットの技術を応用し、冷却液を上から吹き付けるように流す設計を採用。マイクロチャンネルに接する冷却液の流れを向上させ、より効率的にCPUから熱を吸収できるようになっています。
ラジエータに独自形状のスクウェアフィンを採用
ラジエータに独自形状のスクウェアフィンを採用。独自のフィン形状にすることで、冷却液が流れるチューブとフィンの接触面を増やすと同時に通気性も改善。より静かなファンでも十分な冷却が可能になります。
排熱に適した風量と風圧を実現する冷却ファン
新モデルの冷却ファン「MasterFan Pro 120 Air Balance」を同封。特殊形状のファンにより、ラジエータの排熱に最適な風量と風圧のバランスを持った気流を生み出すほか、優れた静音性を実現します。
こちらはクーラーマスターのMasterLiquid Pro 240専用ページ。
以下の写真は製品パッケージを開梱したところ。
現行CPUクーラーの取り外し
マザボのASUS P9X79のCPUソケットの上側にはチップセットを冷やす大きなヒートシンク(写真では青色)があり、ケース内部上面に取り付けるものと干渉しやすい。そのため、water2.0 Extremeは、ラジエータだけをケース内部上面に取り付け、ファンはケース外部に取り付けて両者を供締め、即ち、ケースをサンドイッチする格好で取り付けている。
システムをシャットダウンし、ケース(Cooler Master CM690)の左右、及び前面パネル、上面パネルを外す。そしてまずはwater2.0 Extremeを取り外す。ラジエータとファンは8個のネジで供締めされている。
最後のネジを外すときにはラジエータが重みでケース下方へ不意に落下して、マザボ上のチップ類等を破損しないよう細心の注意を払う。次いでウォーターブロックを外す。グリスはこの前塗り直したばかりなのでこれを再利用する。吸熱部に付着したグリスはヘラで掻き集めCPUへ塗りつけておく。
後は4P電源コネクタ、USB配線を外し、他の既存配線と絡まったところをほどいてから完全に取り出す。埃にまみれているケース上面パネル内や普段開けないその他の部分を掃除機とエアダスターで掃除。
新CPUクーラーの取り付け
続いてMasterLiquid Pro 240の取り付けにかかる。作業自体は付属する簡易マニュアルに従ってやれば難しくはない。この製品の場合、手締めネジだけで取り付けができるように配慮されている。しかし、MasterLiquidもまたマザボとの干渉を避けるためにwater2.0と同様、ラジエータとファンはケースの上面パネルを介して供締めにする方案でないと付かない。
ケースの上面パネルには14cmファンまで取り付けられる仕様となっており、通風部はパンチングメタルとなっている。その外側の部分の12cm角形ファン用のネジ穴の下にラジエータ、上にファンを乗せ、それぞれの取付穴を一直線に合わせてからボルトを差し込み供締めにする。文章で書くと簡単だが、これは一筋縄では行かないなかなか難しい作業だ。
即ち、重量のあるラジエータを片手でケース内部から支えながら微動させて取付穴を探し、これをケース穴に揃えるのがまず難しく、更にその上にファンを乗せてファンの取付穴をケース穴に合わせるのは至難の業。目検で穴の一致を確認したならすかさずボルトをファン側から差し込み、手で数回回してネジ山が噛んだことを確認する。
一か所が合えば、後は対角線上の取付穴を探し、微修正しながら穴位置を合わせてネジを噛ませて仮締めしていく。そういった作業を残りのネジの本数分だけ繰り返していくと全ての取付穴にボルトが嵌る。
左右のズレ、ガタがないことを確認しながらドライバーでボルトを本締めして行く。ここまでで要した時間は30分ほど。なおこのネジはwater2.0で使用していたものを流用し、クーラーマスター純正の手締めネジは使わない。ケース天板の厚みを加えると十分な締め付け強度を得るには僅かに短いのである。この後はウォーターブロックの取り付けにかかる。
Core i7 3930Kのソケットは一世代前のLGA2011で、付属する専用の雄-雄ネジのステム(支柱)4本をあらかじめ手締めして立てておく。ここにウォーターブロックの底部周囲のブラケットを嵌めて四隅を専用の袋ナットで手締めするというやり方。その前に、water2.0から回収したグリスを塗り、吸熱部の保護シールを剥がしCPUとグリグリして馴染ませる。
CPUと吸熱部を一度引き離してグリスの回り具合を確認し、うまく塗れていないところにグリスを少々補充してまたグリグリする。均等に塗れたら対角線上の袋ナットを少しずつ回して本締めする。手の力だけで廻せるところまで廻しておしまい。後はファン電源は二股延長ケーブルを介してCPUファン・コネクタ、ポンプ電源はシャーシファン・コネクタに繋ぐ。
water2.0はUSB接続されたウォーターブロック内のセンサーと専用ドライバが通信してポンプやファンを独自制御し温度管理する仕組みであり、BIOSの温度管理は使っていなかった。それは、water2.0はCPU温度ではなく冷媒の温度でファン回転数を制御するというポリシーだったからだ。今度のMasterLiquid Pro 240はシンプルで、ファン制御はBIOSに任せる思想だ。
換装後のMasterLiquid Pro 240の場合は専用ソフトはないので、マザボのツールを使って温度制御を行うことになる。ASUSのBIOSツールは充実しており、グラフを見ながら温度設定ができるなど自由自在だ。その後は頗る好調で35~38℃くらいで熱平衡に達し、高負荷の後もリカバリーが速く、これなら期待できる。今後CPUソケットを変更するまでは頑張って欲しい。
▶ 本稿で取り上げた製品
メーカー: Cooler Master
製品名: MasterLiquid Pro 240
型番: MLY-D24M-A20MB-J1
ラジエータ寸法(LxWxH): 275x118.5x27mm
対応CPUソケット:
Intel LGA 2066 /2011-v3/2011/1366/1151/1150/1156/1155/775
AMD FM2+ / FM2 / FM1 / AM3+ / AM3 / AM2+/ AM2
ラジエータ素材: アルミニウム
ファン寸法: 120x120x25mm
ファン速度: 650~2000RPM(PWM)±10%
ファン風量: 66.7 CFM(Max), 113.32 m3/h(Max)
ファン風圧: 2.34 mmH2O±10%(Max)
ファン寿命: MTTF値:490,000時間、L-10値:70,000時間
ファン騒音値: 6~20dBA
ファンコネクタ: 4-Pin
ファン定格電圧: 12VDC
液冷ヘッド寸法(LxWxH): 94.8x68x56.9mm
ポンプ寿命: MTTF値:175,000時間、L-10値:50,000時間
ポンプ騒音値: < 12dBA
ポンプ定格電圧: 12VDC
ポンプ消費電力: 6.0W
EAN Code: 4719512051672
UPC Code: 884102028205
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今度簡易クーラーに換装しようと調べております。
同じくX79で3930Kを今度4930Kか4960Xに換装します。
時代遅れですが、スペック的に自分には十分です。
せすが先日怪しい出品者から4960Xを購入し起動しましたら、ON OFFを繰り返し最後にマザボがご臨終になりました。
最悪の状況になり、今同じマザボを探しております。
グラボや電源が無事でしたので、まだなんとか助かっております。
今は前のシステム、LGA775 Q9650で書き込んでおります。
ラジエター部分の画像を拝見すると、ファンが排気になってますよね。
普通は車でもラジエターの前に吸気のファンがあり、冷却するようになってます。
ケース内空気の吸い込みで、冷却能力は半減しませんか?
水冷を入れる参考にしたいです。
簡易水冷や水冷ラジエータは、マニュアル・取説によれば、殆どが吸気またはセット外設置を推奨しているようです。というのは外気温はケース内温度よりも多くの場合は低いからです。因みに自家用車の場合は推進方向から風が入るため吸気というのが合理的なんでしょうが、PCケースの場合には重点的に冷やすものが何か?で決めるべきでしょう。私のこのPCセットの場合、実はSASでRAID5を組んでいる関係上、ケース前面のファンを吸気で冷やすことが重要で、底面、左右側面ファンも吸気にしていて、背面ファン、簡易水冷ラジエータ、電源ユニットが排気設定になっていて、通常時は前面ファンが割と高速で回っているためケース内は正圧に保たれています。が、CPU負荷が上がると排気が勝って負圧に傾きます。CPUの冷却効率は良くないですが、ほんの数秒もすれば冷却されて温度が下がるのでファン速度は低下、静かになり再び正圧に戻ります。ということで、常にCPU使用率を振り切って使っている場合を除いては排気吸気には拘っていません。もし常時、CPUを高負荷で使われる場合には冷媒ホースを引き回してケース外にファンと共に取り付けされることをお勧めします。何故なら、吸気で使った場合、CPUの熱がケース内に籠って他のパーツ(例えばM/B上の電解コンデンサ等)への悪影響が懸念されるからです。