Ravel: Daphnis et Chloé@François-Xavier Roth/Les Siècles & Ensemble Aedes |

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Ravel: Daphnis et Chloé
Premiere partie.
1.Introduction
2.Danse religieuse
3.Vif - Danse generale
4.Danse grotesque de Dorcon - Scene
5.Danse legere et gracieuse de Daphnisclose
6.Lent (devant le groupe radieux que forment
7.Danse de Lyceion
8.Scene [Les Pirates]
9.Nocturne [Une lumiere irreelle enveloppe le paysage]
10.Danse lente et mysterieuse des Nymphes
11.Interlude
Deuxieme partie.
12.Introduction - guerriereclose
13.Danse suppliante de Chloe
14.Lent [Soudain l'atmosphere semble chargee d'elements insolites]
Troisieme partie.
15.Lever du jour - Scene
16.Pantomine [ Daphnis et Chloe miment l'aventure de Pan et de Syri
17.Tres lent [Chloe figure par sa danse les accents de la flute]
18.Chloe tombe dans les bras de Daphnis
19.Anime - Danse generaleclose
Marion Ralincourt (flute)
Les Siècles & Ensemble Aedes, François-Xavier Roth
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮) レ・シエクル、アンサンブル・エデス
ダフニスとクロエについて
以下、Wikipediaから引用:
▶物語:ダフニスとクロエ(Ποιμενικά κατά Δάφνιν και Χλόην、もしくは Δάφνις και Χλόη 英語表記では Daphnis and Chloe)
2世紀末から3世紀初め頃の古代ギリシアで書かれた恋愛物語。ロンゴス(Λόγγος 英語表記では Longus、生没年不詳)作と伝えられているが、作者に関することはほとんど何もわかっていない。全4巻がほぼ完全な形で現存しており、エーゲ海に浮かぶレスボス島の牧歌的な情景を舞台に、少年と少女に芽生えた純真な恋とその成就が、恋敵との諍い・海賊の襲撃・都市国家間の戦争などの逸話を絡めて、抒情豊かに描かれている。邦訳は岩波文庫に『ダフニスとクロエー』(松平千秋訳)がある。ゲーテがこの作品を賞賛していたことが知られているほか、三島由紀夫がこの作品に想を得て小説『潮騒』(1954年)を執筆している。
▶音楽:ダフニスとクロエ(Daphnis et Chloé)
モーリス・ラヴェル作曲のバレエ音楽および同名の管弦楽曲。バレエ音楽は、ロンゴスの『ダフニスとクロエ』をもとにした全3場から成る作品で、ロシア・バレエ団により1912年にパリのシャトレ劇場にて初演された。管弦楽曲は、ラヴェル自身がバレエ音楽を編曲した作品であり、第一組曲(1911年初演)と第二組曲(1913年初演)が作られたが、現在演奏されることが多いのは第二組曲である。
グザヴィエ・ロトの録音
ロトのCDとしてはビゼー/シャブリエ、マーラーの巨人、それとドビュッシー:管弦楽組曲1番と交響詩「海」を聴いたことはあった。数は少ないが、いずれの演奏においてもグザヴィエ・ロトの解釈はレイショナルで贅肉がなく、そして細心のアナリーゼが施され、適度な抑揚と稠密な音楽表現が特徴の優れた演奏だった。
今回のダフクロは、前回の「海」と同じフランス印象楽派の流れを汲んだラヴェルの作品であり、そして演奏の設計思想も似通ったものと言える。これを、レ・シエクルというピリオド・アンサンブルを起用することで音色的にもストレートな演出効果を得ていると思われる。結果として、過度な情感表出はないが作品の盛り上がりや主眼とされる箇所への深耕は丹念になされていて、それでいてストレートでピュアなサウンドを獲得している演奏としているのは素晴らしい。
このダフクロは鮮烈で良い
あまり詳細には書かないが、第一部は、まずはゆったりとした例の超低音の蠢きから。その後の展開は、なかなかによく出来た爽やか系かつゆったりと冒険はないがコーラスの使い方が巧くて、派手な演出がないけれども手堅い。続いてDanse religieuse(宗教的な踊り)の一番目の盛り上がりのパワーの炸裂は申し分ない。弦が入って二番目の盛り上がりも手堅い。Danse generale(全員の踊り)で歩を速めて展開されるが、ここでは割と軽量系のリード。そして次に続く動機の提示はあっさり。anse grotesque de Dorcon(ドルコンのグロテスクな踊り)も執着せずに淡々と進む。
一部と二部の間のインターリュード(間奏)はコーラスが半分以上を占めるが、これが理性的で今まで聴いた中でもかなり良い出来だ。浮遊感に満ちた女声合唱からナチュラルホルンを中心としたブラス隊が歪感のない主旋律を徐々に入れてきて、これは素晴らしい出来栄えだ。
第二部は一部および間奏から一転してエキサイティングでハイテンポ、しかも色彩感に満ち溢れた明媚で激しい展開となる。もともとダフクロは二部が激しくて分かり易い構造なのだが、ロトはここを最大照度に上げてハイライトする設計としている。とても速く感じられるが、スコアと見比べると実際にはインテンポのようだ。しかし疾駆感というのだろうか、アチェレランドとリタルダンドが交錯するとなぜか速く感じてしまうのであった。
第三部はまたまた一転、静謐さを主眼とした設計思想で、更に、重厚で粘性を帯びた解釈としたようだ。徐々に増す緊迫感と、ちょっとだけ脇に外れたときの諧謔性がじょうずにバランスしている。例によってちょっと不安な旋律・和声、そして自由度の高い音楽が展開され、デモーニッシュな原曲に更なる不安感とグロテスクな非和声を重ねて謎めいたフィナーレを迎える。
まとめると、テンポを大きく揺らすアゴーギクは極少に抑えたうえで、主としてデュナーミクを使用してダイナミックレンジを稼ぎ、適度な緊迫感と速度感を演出した演奏となっている。なお、ピリオド楽器をそろえているというレ・シエクルだが、前回のドビュッシーでもそうであったが現代楽器との差異は殆ど感じられず、寧ろ尖鋭で時差のないストレートなビームは現代楽器以上のピュアなサウンドを発していると評価する。
以上、今回のダフクロは前回に聴いたドビュッシーとほぼ同じ設計思想と技法で演奏されていて、ロトのフランスものへの主義思想がはっきりと見えた感がある。ちょっと硬質なのだが、パリの独特のプレゼンスをものの見事に再演させているのであった。今後ともロトの演奏には着目していきたいと思う。
録音評
Harmonia Mundi、HMM905280、通常CD。録音は2016年、フィルハーモニー・ド・パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン、コンピエーニュ帝国劇場、セナール劇場、アミアン・カルチャーセンター、ライスハレ(ハンブルク)、スネイプ・モルティングス・コンサートホール(オールドバラ)(すべてライヴ)とある。シエクルの音が飛び切り先鋭的なのか、録音が極めて優秀なのかが判然としないのだが、とにかく細部にわたるディテールと微細で稠密な器楽音が印象的な超優秀録音である。今回、ロトの録音としては初めてハルモニアムンディを買ったがレーベルが変わってもロトのサウンドはやはりロトの音がするのだ。もう暫くはこればかり聴くつもり。

♪ よい音楽を聴きましょう ♫

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