Entrez dans la danse...@Anne Queffélec & Gaspard Dehaene |

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Entrez dans la danse...
1. Mompou: Cancion y danza No.4
2. Ravel: Pavane pour une infante défunte
3. Ravel: Valses nobles et sentimentales No.2
4. Debussy: The Snow is dancing (from Children's Corner)
5. Chabrier: Feuillet d'album
6. Ropartz: Dans l’ombre de la montagne: Ronde
7. Hahn: Le rossignol éperdu: La danse de l'amour et de l'ennui
8. Schmitt: Une semaine du petit elfe Ferme, Op.58:
- La ronde des lettres boiteuses *
9. Poulenc: Suite française (d'après Claude Gervaise), FP80:
- Pavane
10. Massenet: Valse folle
11. Poulenc: Suite française (d'après Claude Gervaise), FP80:
- Bransle de Champagne
12. Debussy: Petite Suite: Ballet *
13. Ravel: Menuet antique
14. Debussy: Khamma
15. Saint-Saëns: Valse nonchalante, Op.110
16. Satie: Pièces froides: Danses de travers No.1
17. Pierné, G: Valse-impromptu, Op.27 *
18. Hahn: Le rossignol éperdu: Danse de l'Amour et du Danger
19. Poulenc: Nocturne No.4 in C minor 'Bal fantôme'
20. Fauré: Dolly Suite, Op.56: No.6 'Le Pas Espagnol' *
21. Franck: Danse Lente M22 (1885)
22. Debussy: Epigraphes antiques (6): Pour la danseuse aux crotales *
23. Poulenc: Suite française (d'après Claude Gervaise), FP80: Sicilienne
24. Chausson: Quelques danses, Op.26: Pavane
Anne Queffélec (Pf) & Gaspard Dehaene (* Pf)
ダンスに加わって
1.モンポウ: 歌と踊り第4番
2.ラヴェル: なき王女のためのパヴァーヌ
3.ラヴェル: 優雅で感傷的なワルツ~第2曲
4.ドビュッシー: 子供の領分:雪が踊っている
5.シャブリエ: アルバムの一葉
6.ロパルツ: 山の日陰で:ロンド
7.アーン: うぐいす狂乱:愛と倦怠の踊り
8.フロラン・シュミット: 眠りの精の一週間:石板に書かれた文字のロンド
9.プーランク: フランス組曲:シャンパーニュのブランル
10.マスネ: 狂ったワルツ
11.プーランク: フランス組曲:パヴァーヌ
12.ドビュッシー: 小組曲:バレエ
13.ラヴェル: 古風なメヌエット
14.ドビュッシー: カンマ:舞曲
15.サン=サーンス: のんきなワルツOp.110
16.サティ: ゆがんだ舞曲:逃げ出したくなる歌
17.ピエルネ: 即興的なワルツOp.27
18.アーン: うぐいす狂乱:愛と悪の踊り
19.プーランク: 夜想曲集:幽霊の舞踏会
20.フォーレ: 組曲ドリー:スペインの踊り
21.フランク: ゆるやかな舞曲
22.ドビュッシー: 6つの古代の墓碑銘:クロタルを持つ舞姫のための
23.プーランク: フランス組曲:シシリエンヌ
24.ショーソン: いくつの舞曲:パヴァーヌ
アンヌ・ケフェレック(ピアノ)
ガスパール・ドゥアンヌ(ピアノ連弾=Trk 8,12,17,20,22)
ケフェレックの久し振りのアルバム
このアルバムは今春のラ・フォル・ジュルネのテーマである「ラ・ダンス 舞曲の祭典」に沿って制作された一枚。実際の音楽祭=地元のナント、および東京・有楽町など=にて、ケフェレック自身が弾いた曲たちを先取りして事前に録音したものとなる。
右の写真にある通り、パッケージにはラ・フォル・ジュルネ音楽祭の公式テーマCDであることを証するステッカーが貼付されている。もう、なんて言うのか表現に困る素敵なアルバムなのだ。小難しい解説をしている場合ではない、というのが正直な感想。これは前回のサティのアルバムと同等あるいは凌駕する出来栄え。
なお、ケフェレックは相応に高齢となったが、素敵な歳のとり方をしている人で、個人的には一級のフランス系ロマン派ピアニストとして敬愛し、また昔からずっと憧憬の対象でもあるのだ。義妹のブリジット・エンゲラーが早世だったので、ずっと健やかでいて欲しいと願う。このアルバムには良く知っている曲も入っているが、知らない曲も多く収録されている。ここで言わんとしている舞踏と背景音楽の関係について、なるほどなと思わされる点が多くあった。つまり舞曲、いやダンスは、どういった律動と和声、雰囲気で象られたものなのかがちょっと垣間見られて勉強になるアルバムということ。以下、印象に残った演奏を順不同に書いておく。
モンポウ~ドビュッシー~ラヴェル・・・早速やられた・・
モンポウは独特の作家。生涯で舞曲風の作品を間欠的にたくさん書いていて、のちに似た風情の曲を集約して曲集にまとめている。これもそのうちの一つ。明媚で屈託がない佳作で、カタルーニャ地方の民謡をベースとしているという純朴な曲。ケフェレックの超絶的な軽いタッチと歌心、リズム感には参ってしまう。
2トラック目にある、ラヴェルのこの曲はあまりに有名で、「亡き~」と表記するのが一般的。しかしラヴェルは生前に特定の人物の死を悼んだ曲ではないと表明しており、その後の時代考証ではイスパニア地方の舞曲で単にこういった風情のものがあった、という程度の曲想というのが真相らしい。よって昨今では「なき~」との表記が増えているんだそうだ。ケフェレックのこの演奏設計は独特で、ペダルを殆ど使わない冒頭は今までの誰の解釈にも似ていない。ホンキートンク・ピアノのような安定しない音程が意識的に与えられ、サスティンが鍵盤押下によってのみ実現される離散的な主旋律は強い寂寥感を表出している。テーマである「ダンス」というには律動感が少ない曲だが、理屈抜きにフランス印象派のフレーバーが味わえる抜きん出た解釈と演奏。
同じラヴェルの名作、優雅で感傷的なワルツの2番は静謐な解釈で、しかも付帯音を全く伴わないピュアな演奏設計。出てくるサウンドは純音の最たるものでエナジー感は非常に低いが、この美しい旋律のワルツを静かに歌い上げようという毅然としたケフェレックの姿勢がうかがえる。
ドビュッシーの子供の領分:雪は踊っているも独特のテンポ。昨今ではメカニカルで速いテンポで超絶的なタッチで弾かれることが流行のようだが、ケフェレックはインテンポからちょっと遅めで、かつ微細なアゴーギクを伴いペダリング極少で弾いていく。これを聴いていると雪が舞い落ちる速度は一定ではないということが分かる。こういった多面的で縦横無尽な解釈をさらりとやってのけてしまうところが実に鮮烈だ。
シャブリエ~アーン~プーランク2題~マスネ・・・耽美の極致
シャブリエ:アルバムの一葉は、1891年作の5曲の遺作(Cinq Pièces pour Piano)の中の一曲で、もの悲しくも美しすぎる旋律が特徴。
ケフェレックは一転して深いペダリングで内声部にたっぷりとしたサスティンを含ませ、極上のレガートで紡いでいく。ロパルツは初めて聴く作家。ドビュッシーと同世代を生きたフランスの作家だそうだ。ロンドは明媚で影のないヴィヴィッドな曲で、文字通り輪舞曲として浮き立つ曲。
レイナルド・アーン(Reynaldo Hahn, 1875年8月9日~1947年1月27日)は、ベネズエラ生まれでフランスで活躍した作曲家、1885年11月、パリ音楽院入学、マスネやサン=サーンスに師事とある。うぐいす狂乱:愛と倦怠の踊り~という難しい題名の曲はこのアルバム中では変わっていて、半分程度が非和声で構成。題名通り確かにやるせない憂鬱な気分の短調主体の曲。こういったまとまりに欠けるような曲はケフェレックが得意とする領域かもしれない。なんとも不可思議だが香り立つこのピアニズムはどうであろうか。
プーランク:フランス組曲:シャンパーニュのブランルは民族楽的で個性的な主旋律が執拗にリフレインされるメランコリックな小品。拍子が複雑でポリリズム的な舞曲と言えなくもない。一つ後のパヴァーヌはこれと似た感じで憂愁を湛え、更に深い翳を伴った暗い作品。ケフェレックの静謐で瞑想的なトレースが光る。
連弾の5題
このアルバムにはケフェレックがガスパール・ドゥアンヌと連弾する曲が不連続に5つ点在する。ここでは、そのうちの4曲について触れておくこととする。
フロラン・シュミットは初めて聴く作家。眠りの精の一週間:石板に書かれた文字のロンドは全音音階に近い印象学派的な和声をもった3拍子系の舞曲をパワフルに連弾する。中央辺りのドビュッシーの4手連弾作品集=小組曲:バレエは、鮮明で明快、屈託のない素直な曲をガスパール・ドゥアンヌの強靭かつ柔軟な下支えの下、ケフェレックが外連味なく少しやんちゃに弾いている。
ピエルネは初めて聴く作家。即興的なワルツOp.27を聴く限りフランス印象楽派の一角とみて間違いはなさそうで、師事したマスネに通じる、必要以上に捻らない素直な旋律展開が特徴。これも3拍子系の舞曲と言って良い。そしてフォーレの組曲ドリーも連弾作品集。この作品集の最後を飾る「スペインの踊り」はまさにエスパニョールの香りが満載、風光明媚で音と光の洪水のような連弾であり、間違いなくこのアルバムの頂点を形成する一曲。パワフルで繊細、そして二人の鋭利な感性に快哉だ。
全て素晴らしいが、敢えて白眉2題
ラヴェル: 古風なメヌエット=作家の若い頃の習作的作品とされる三部形式の小曲。第1部の主題が毅然としたノンレガートで気持ちよいくらいに響き渡る。中間部である第2部=トリオのメランコリックな部分の弾き込みと内声部の丁寧なトレースが優しい。そして再現部の第3部に再びやって来た毅然としたノンレガートで叩き出される主題が実に爽快、気持ちいいのだ。
サン=サーンス: のんきなワルツOp.110は、左手が容易な三拍子の伴奏で右手が難しい三拍子系主旋律で三連符や付点、分散和音が連続するきらきらとした佳曲。技巧的に安定していないと主題と内声部との棲み分けが崩れてしまうが、ケフェレックの打鍵テクニックは盤石。小刻みで精密、それでいて歌心のある超高速スケールに聴き惚れ、引き込まれてしまう。
録音評
MIRARE MIR320、通常CD。録音は2016年10月/アルセナル(メッツ)とある。最近のミラーレの音質の優秀性は抜きん出でいる。具体的には品質管理が更に強化されてムラがないこと、そして気持ちが良くてレイショナルな音作りが徹底していることだ。このアルバムの場合には、陽性の色彩感を基調として豊かなアンビエントと三次元的な音場空間を再現しているのが最大の特徴。一基もしくは二基のスタインウェイが発する音がこれほど豊潤で屈託のないものなのか、ということをとくと思い知らされる。スタインウェイを神経質で硬質な録り方をするのか、あるいは音楽を奏でる極上のツールとして録るのかはトーンマイスターのセンスと腕だ。この盤は言うまでもなく後者に属する好取り組み事例と言える。内容も音質もまさに珠玉のアルバムとなっているのだ。素晴らしいのひとこと。
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