4月7日オープンの新店、時雨に行ってきた。なお店主は荏原中延の名店・多賀野での勤務経験があって、その系譜を引くらしい。この日は野球の試合が14:00からということで京浜東北線の電車は猛混雑。関内駅もその周辺も人で溢れかえっていた。
まずはビール

店への到着は13:00頃で先客はゼロ。直後、野球観戦前の客が入店するも盛況というほどではない。気候が良くまずまず暑かったので生ビールの食券、それと券売機左上隅の看板メニューと思しき中華蕎麦の食券を購入しテーブル席に座る。なお、その他には塩そば、ホロホロ南蛮キジつけ蕎麦のしょうゆ、および塩があり、ラインナップ充実はこれからか。ビールは程なく届いた。
醤油ベースの中華蕎麦
店内に貼ってある口上書きによれば、ホロホロ鳥や比内地鶏を丁寧に煮込んでスープをとり、10数種類の魚介節や乾物を煮出した出汁で割り、旨味を重ねているとのこと。中華蕎麦には生醤油・再仕込み醤油などの4種類の醤油を合わせた熟成醤油ダレ、塩そばの塩ダレは粟国、ウユニ塩湖、モンゴルの3種類の塩を使ったものだそうだ。待つこと暫し、中華蕎麦がサーブされた。見た目に凛として美しい。


オイルを多めに浮かし、湯気が殆ど立たないスープを一掬いする。とても熱い。確かに能書きにある通り、多元的な滋味が口いっぱいに広がる。穏健で澄明なこの旨味成分は無化調で出していることはたちどころに判る。チャーシューは厚手のものが2枚。上等なモモまたはロース部位のようだが繊維は割と固めで、噛み締めると豚本来の旨味が沁み出てくる。なお塩分は控えめ。
鶏チャーシューは八幡巻の風情

変わっているのは鶏チャーシューで、これは人参、牛蒡、隠元を鶏もも肉で巻いて煮付け、固めてスライスしたものだ。要は家庭で作る八幡巻と同じような調理法なんだろうと思う。僅かしか入っていない牛蒡の風味が立っていて鶏ベースのスープと良く合うのだ。もともと鶏肉と牛蒡の相性は良いので定番的な取り合わせと言えようか。そういえば、魚介の節系の風味は殆ど感じられなかった。

麺は自家製のようだ。低加水の中細ストレート麺で断面は真四角。食感はぽくぽくしていて噛み心地が良く、また喉越しもつるりとして美味しい。小麦には「春よ恋」を使用しているとか。分量多めのオイルの効能からかストレート麺ながらスープへの濡れ性は非常に良好で、この穏和で繊細なスープをぐいぐいと持ち上げていく。鶏スープの滋味とこの麺自体の旨味がうまく溶け合っている。

相当にハイレベルなラーメンであるが、強いて言うならばフックが足りない。即ち、円やかすぎて塩分不足に感じられ、風味や旨味は良好な半面、フォーカスが少し暈けている。もちろん、オペレーションが落ち着いたら味が変わってフックが強くなる可能性は大きいのであるが。近いうちに塩そば、ほろほろ南蛮など他のメニューも是非試してみたい。
お店データ

中華蕎麦 時雨
横浜市中区不老町2-10-5 三陣ビル1F
電話:045-264-4809
営業:11:00〜14:30、18:00〜21:30
(スープ売り切れ次第終了)
定休:日曜
最寄:JR関内 4分、市営BL 伊勢佐木長者町 3分

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