自家製麺 SHIN(新)@反町 |
反町はいつのまにかラーメン激戦区へ
反町駅から東に進み店の方を望むと行列が見える。もしや、と危惧したがその行列はラーメン星印のものだった。途中、古株の田ぶしにも行列が。この界隈には田ぶし、ShiNaChiKu亭くらいしかなかったが、昨今では中島家が移転してきたりとラーメン激戦区の様相を呈している。到着は12:30頃、店内の待ちは2名だけだった。我々を見つけた店主から「まだあるわよー」コールが飛ぶ。
なんとか今年度バージョンのしじみ塩にありつけるようで安堵。今年のしじみ塩は昨年の後期バージョンと基本設計も構造も同じだそうだが、私は去年の前期バージョン、即ち鰯の煮干しタイプしか食べておらず、これをアゴに切り替えた後期バージョンは残念ながら逃している。従ってアゴが持つ、他の素材の風味を際立たせて増幅する効果については初めて試すこととなる。
しじみ塩 2017年バージョン
一方、今年のこのアゴのスープベースは蜆の種々の特徴がハイライトされ鮮やかなコントラストを見せる。どの素材も確かな存在感を提示するにはするが、それぞれが遊離することなく等しい勢力にて高次元で拮抗、結果的には多元性を保ったうえで融合している点が店主ならではのセンスだ。蜆特有のフローラルで軽量な滋味、仄かな苦味が舌に浸潤してくる。さすがと言わざるを得ない。
蜆スープのみならず、付け合せまで巧妙に計算され尽くしている
上等の豚肉の脂身のない部位だけで作られたローストポークは低温調理法によるものらしく、しっかりとした繊維感を残しつつも柔らかく楽に噛み切ることができ、かつジューシーな旨味に満ちているという極めて高水準な出来栄えの一品。繊細な蜆スープに合わせる具材としてはベスト、即ちスープの熱で油脂が溶出しないようにとの絶妙な配意。これしかないと納得。
昨年同様、宍道湖の上質な蜆を現地の熟達の漁師から取り寄せているというが、今年は衆知の通り山陰の天候は荒れ模様、積雪も酷い状況でなかなか安定的な確保が難しいとのこと。金曜には蜆が届かず、しじみ塩は泣く泣く休みにしたと店主が嘆いていた。いやはや、美味しい本物の蜆はそうそう楽には手に入らないということで、これまた納得。
このラーメンは、単に蜆を使って煮出したスープで作りました、などという安易な代物ではなく、素材としての蜆の特質をどうすれば最大限生かし、また麺と合うように仕上げるにはどうしたらよいか、という観点で非常に周到に研究された一品なのだ。店主は、自分が食べたい味を作っているだけ!と豪快に笑い飛ばすが、実は彼女の精妙で肥えた舌の証左がこの一杯に詰め込まれている。
お店データ
自家製麺 SHIN(新)
横浜市神奈川区反町1-3-8
電話:045-548-3973
営業:11:30~14:30
18:00~21:00(日曜は夜営業なし)
定休:月・火(祝日でも休業)
最寄:東急東横線 反町4分
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