大喜 根塚店@富山 |
大喜の創業者から暖簾分けを許された唯一の店
富山の黒くてしょっぱいラーメンといえば大喜。その源流は富山市の中心街・西町から始まっている。発祥の地は現在、ある外食産業が暖簾ごと買い受けて西町大喜・西町本店として営業を継続している。先月、奥田ビルの喜八を訪れた際のレポートにも書いた通り、創業者=高橋青幹氏の直系の弟子とされる人が興したラーメン店は富山市内に二店舗ある。そのうちの一つが前回訪問の喜八、そして創業者が存命中に暖簾分けを許可したと言われているのが今回訪問した大喜根塚店となる。
富山市の中心部から少し南に行った半分住宅地のようなロケーションに現在の店がある。昔とは違って移転後は小奇麗で和モダンな店舗に建て替わっていた。駐車場が広くて車が停めやすい。暖簾を割って中に入り着席前に注文を告げる。大喜は基本的に中華(小または普通とも称する)、中華大しかない。この日は小と告げてからカウンタの適当なところに座った。待つこと暫し、オーダー品が到着。
黒くない茶濁したスープに浮かぶ麺はオリジナルを彷彿とさせる固茹
この店が暖簾分けしたのは随分と前、もう半世紀ほど経つと思う。私がまだ若い頃の根塚店のラーメンは西町の大喜と全く同じで、真っ黒でしょっぱい味だった。しかし、現在の根塚店のこれは見た限りではスープは茶色い。なので、昨今の言い方だと富山ブラックとは言えない風貌をしていることになる。実際には醤油味なので大喜の延長線上の味だが、飲めないほどの強い塩分ではない。
添え付けのチャーシューはもも・バラの混合部位を甘辛く煮込んだもの、あるいはその後に実際に焼いたものかもしれないが、豚肉特有の柔らかい旨味が満ちている。不揃いの乱切りなのは古代の大喜に近いが、元々はもう少し厚切りだった気がする。チャーシューの塩分はそれほどきつくはなくて食べやすく、この味は万人に受け入れやすいものだろう。
太目のメンマは見た目には古代の大喜とそっくりだが、これまた味付けがしょっぱくなくて普通。噛み応えという点においても古代・大喜よりも柔らかく、にゅわっとしたものだ。特筆すべきは麺のクォリティ。元々の大喜の麺はこんな小麦の風味がしたよな、と事後的に再確認したくなるような懐かしい食感なのだ。ばきばきっとしたワイルドな歯触りとぽくぽくした喉越しは秀逸。
大喜を源流とするラーメンの総括
現在の西町大喜・西町本店はかなりしょっぱくて古代の大喜オリジナルに近い雰囲気。しかし醤油の仇塩辛さが相当に勝っていてワイルド過ぎるし、麺やチャーシューのクォリティは古代の大喜からは少々落ちる。喜八は古代・大喜の落ち着いた時間帯のラーメンスープの味を最も近い状態で再現していて、チャーシューなどの添え付けのクォリティも高い。
大喜根塚店は大喜のオリジナルを期待すると肩透かし。これはこういった種類のラーメンだと思って食べるべきだ。つまり、現在の大喜根塚店のラーメンは古代・大喜のオリジナル主義を貫くラーメンではない。実際に黒くはないし、各構成エレメントの塩分も低く抑制されていて誰にでも受け入れやすい味だ。要するにオリジナルの大喜はこんなに美味しいラーメンではなかった。根塚店は古代の大喜を源流とはしているが、消費者の動向、時代的要請に沿って正常進化を続けている実直な”普通”のラーメン屋なのだ。言うまでもないが、大喜根塚店は現在の西町大喜のグループとは経営上、資本上、運営上の全てにおいて何の関係性もない。
お店データ
大喜 根塚店
富山市根塚町4-2-8
電話:076-491-2929
営業:11:00~20:00 (LO:19:50)
定休:水曜
最寄:国道41号線 富山市民病院前交差点を布瀬町方向
(イエローハット富山店の角を曲がる)
富山地鉄バス:
富山市民病院前バス停 徒歩約5~7分
富山市民病院口バス停 徒歩約5~7分
富山地鉄市内軌道線(市電):
小泉町停留所から1,148m(約15分)
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