Stimmen der Seele@Michel Corboz/Ensemble Vocal de Lausanne Etc |
http://tower.jp/item/4190141/
Stimmen der Seele - Voices of the Soul, Choral Meditation
J.S.Bach: Mass in B minor BWV232
01. Gloria: Aria - Laudamus te
02. Agnus Dei: Coro - Dona nobis pacem
Hydn: Missa Sanctae Caeciliae in C major Hob. XXII/5
03. Angus Dei
Puccini: Messa di Gloria (op. posthuma)
04. Kyrie
Mendelssohn: Three Psalms Op.78: II
05. Richte mich Gott (Psalm 43) for 8-part choir
Poulenc: Gloria in G major
06. Domine Deus
Verdi: Messa da Requiem
07. Agnus Dei: Agnus Dei
Faure: Requiem Op.48
08. IV. Pie Jesu
09. VI. Libera me
10. VII. In Paradisum
Brahms: Ein deutsches Requiem Op.45
11. Ihr habt nun Traurigkeit
Faure:
12. Ave verum Op.65 No.1
Bomtempo: Requiem to the memory of Luiz Vaz de Camos Op.23
13. Offertorium: Domine Jesu Christe
14. Offertorium: Hostias
Mozart: Requiem in D minor K.626
15. Sequenz: Recordare
16. Sequenz: Lacrimosa
Sopranos:
Sandrine Piau 01
Brigitte Fournier 06
Angela Maria Blasi 07,13,14
Magali Dami(Sop) 08
Christa Goetze(Sop) 11
Efrat Ben-Nun(Sop) 15
Mezzo Sopranos:
Ursula Kunz 07
Liliana Bizineche-Eisinger 14
Contralt:
Elisabeth Graf 15
Tenors:
Reinaldo Macias 14
Jeffrey Francis 15
Baritones:
Peter Harvey 09
Marcus Fink(Bar) 15
Basses:
Marcus Fink 03
Michel Brodard 14
Ensemble Instrumental de Lausanne 01,02,08~12
Ensemble Vocal de Lausanne 01,02,05,08~12,15,16
Orchestra & Chorus of the Gulbenkian Foundation, Lisbon 03,04,06,07,13,14
Orchestre de Chambre de Geneve 15,16
Michel Corboz(Cond)
ミシェル・コルボ/合唱作品によるメディテーション
J.S.バッハ:『ミサ曲ロ短調BWV.232』より
ハイドン:『聖チェチーリアの日のミサ曲』より「アニュス・デイ」
プッチーニ:『グローリア・ミサ』より「キリエ」
メンデルスゾーン:『詩篇43番』
プーランク:『グローリア』より「神なる主、天の王者」
ヴェルディ:『レクイエム』より「アニュス・デイ」
フォーレ:『レクイエム』より
ブラームス:『ドイツ・レクイエム』より「このように、あなた方にも今は」
フォーレ:『アヴェ・ヴェルム』
ボンテンポ:『レクイエム』より
モーツァルト:『レクイエム』より
ミシェル・コルボ(指揮)
ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
リスボン・グルベンキアン財団室内管弦楽団・合唱団
ジュネーヴ室内管弦楽団
宗教歌曲の巨匠=ミシェル・コルボを知ったのは割と最近のことで、MusicArenaを書き始めて暫く経った後だった。
オペラを始めとして歌曲または合唱曲は割と不得意な分野であり、若い頃から器楽のクラシックは聴くものの声楽ものは忌避してきた経緯がある。しかし、コルボが振ったシンフォニア・ヴァルソヴィアによるフォーレのレクイエム(2007年のMIRARE盤)でその苦手意識は払拭され始めた。このフォーレを含みコルボの手になる演奏は次のような録音を今まで聴いてきている。
▶ フォーレ:レクイエム (2007年)
▶ シューベルト:ミサ6番 (2008年)
▶ バッハ:ロ短調ミサ (2009年)
▶ フランク&グノー:十字架上のキリストの最後の7つの言葉 (2010年)
コルボの演奏に関しては、つまみ食いといって良い程度の聴き込みしかしておらず、かつ、過去にどのような足跡を残しているかも殆ど知らないでいた。たまたまWebを覗いていたら、ワーナーに買収されたエラートから安価で良質な演奏を集めたという「insp!ration」シリーズというコンピレーションのセレクト盤が発売され始めた。たまたまその中にコルボの過去の名演の美味しいところを抜粋したと思われる盤があったので迷わず注文した。
上に挙げた過去に聴いている名曲、およびブラームスのドイツレクイエム、モツレク以外は殆ど初めて聴く曲でとても新鮮。ハイドンの聖チェチーリアの日のミサ曲は曲名は目にしていたものの聴くのは初めて。その中にあるアニュス・デイはキリスト教でよく唱詠される祈祷文あるいはミサ曲、そして各大家が書いたレクイエムには必ず含まれる歌唱パートの名称だ。これは、ハイドンは影のない日向の音楽家であったとのイメージを覆す深い翳りを表現している旋律・和声で驚いてしまった。私のハイドン像とはこれほど浅薄なものであったというわけだ。
そしてプッチーニに関しても同様に、ここまでの深い祈祷文を曲にしているとは思わなかった。但し必要以上の暗さや絶望的な深刻度が感じられないのはさすがにオペラ作家ならではの特質なのかもしれない。この曲はプッチーニ作と言われなければ後期ロマン派の誰かの歌曲と思い込んでしまうほどメロウでドラマティックな展開。劇作家の書いた宗教曲とはこのようなものなのだろうか。今後の研究テーマとする価値はありそうだ。
初めて聴いたボンテンポのレクイエムは明媚でフラットなコラール風な作品だった
そして、ボンテンポという耳慣れない作家の作品は目から鱗だった。調べてみるとフルネームはジョアン・ドミンゴス・ボンテンポ(João Domingos Bomtempo)といい。1775-1842という生涯だったようだ。ベートーヴェンが1770~1827とされているからだいたい同時期に生きた音楽家だったわけだ。レクイエムと題されるが、作風としては確かに着目はされないであろう地味で平坦なコラール風作品に仕上がっている。これしか聴いていないので断言はできないものの、他に突出した傑作を書いた風には思われない。だが、なんとも言えない典雅で落ち着いた風情の宗教歌唱、特に四声の独唱が同じく四声の中規模合唱に溶け込む妙味が秀逸な造作となっている。同時代を生きたベートーヴェンも合唱幻想曲から第九の四楽章に辿りついたように、このころは現在に繋がる四部合唱および四声独唱のパワフルな様式が確立された時代だったのかもしれない。
冒頭に挙げた耳慣れた著名作品だが、現在のコルボの方がアグレッシヴで劇的、深い襞を伴っていると感じる。ここにある過去の録音は、只管(ひたすら)に真っ直ぐで衒いがなく、そして素朴で真摯だ。昔のコルボが少しは見えてきたが、これで全貌を知ったとは思わない。今日のコルボが繰り広げている解釈・演奏との対比が聴けてなんとも有意義だった。どちらが良いとか悪いとかを論ずるつもりはないし、事実、優劣は付け難い。
録音評
ERATO(Warner) 2564649000、通常CD。このCDはコンピレーションで、出典の原盤は様々なため録音データは明示されていない。古くは30~20年程前の録音と思われるが、どのトラックも音質が揃っていて現代リマスタリング技術の優秀性に舌を巻く。原盤がもともとワイドレンジではないのでそれ以上を望むべくもないのだが、周波数レンジ的には極低音のオルガン、ヴィオローネ(コントラバスと同等音域の古楽器)の鳴動がしっかりと捉えられていて、しかもスピーカーで再生してみると現代録音と遜色がない波動が来る。音場空間に関しても現代優秀録音とさほど変わらない距離感が創成されていて驚く。こういうリマスタ盤ばかりではないだろうが、内容、音質共に秀でていて非常にお買い得な一枚だ。
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