2016年 08月 27日
Schubert: Piano à quatre mains@Claire Desert & Emmanuel Strosser |
MIRAREの年初の新譜から、デゼールとシュトロッセのデュオでシューベルトが晩年に多く書いた4手連弾曲集。

http://tower.jp/item/4147356/
Schubert: Piano à quatre mains
1. Fantaisie, en fa mineur, pour piano a quatre mains D.940 Op.103
Allegro molto moderato - Largo - Allegro vivace - Tempo I
Variations sur un theme original en la bemol majeur D.813 Op.35
2. Theme - Allegretto
3. Variation 1
4. Variation 2
5. Variation 3 - Un poco piu lento
6. Variation 4 - Tempo I
7. Variation 5
8. Variation 6 - Maestoso
9. Variation 7 - Piu lento
10. Variation 8 - Allegro moderato
11. Allegro, en la mineur, pour piano à quatre mains D.947 Op.144
"Lebenssturme" Allegro ma non troppo
Divertissement sur des motifs originaux francais pour piano à quatre mains
D.823 Op.84 (II. Theme et Variations: Andantino)
12. Theme - Andantino
13. Variation 1
14. Variation 2
15. Variation 3
16. Variation 4 - Un poco piu lento
Claire Désert & Emmanuel Strosser (Pf)
シューベルト:
幻想曲 ヘ短調 Op.103,D.940
創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 Op.35,D.813
アレグロ イ短調「人生の嵐」Op.144,D.947
フランス風の主題によるディヴェルティメント ホ短調 D.823
~アンダンティーノと変奏曲 ロ短調 Op.84
クレール・デゼール(ピアノ)、エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)
シューベルトは僅か31歳で早世したある種の天才作家であった。冒頭に入っている幻想曲D.940は彼の逝去の年=1828年に書かれている。シューベルトは歴史的な分類としては一応、ロマン派に位置付けられてはいるが、実際に残された作品の多くはその曲想がオーソドックスであり、同時代を生きたベートーヴェンからの強い影響もあってか、ウィーン楽派の正統ないし本流とみなすことができる。
彼のそういった純朴で古典的な作品群の中ではとてもロマンティックで甘美な作品がこの幻想曲D.940だ。詳細は割愛するが、ハンガリーの貴族エステルハージ伯爵一家へ子供のピアノ教師として1818年、1824年と招聘されるうち、伯爵の娘の一人であるカロリーネに強い恋心を抱いてしまった。その出来事と成就できない自身の憔悴の思いをモチーフにこの作品を書いたとされる。献呈は逝去の年=1828年、カロリーネに対してされている。デゼールとシュトロッセは喜怒哀楽を強調して抑揚豊かにこの複雑な心象風景をドラマティックに、かつ重厚に織りなしていく。
続く8つの変奏曲D.813は作曲年代が1824年で、エステルハージ家の娘たちのピアノ練習向けに書いたとされるグラン・デュオD.812と同じであることからやはり同様に教則本的な位置付けで書かれたものではないかと思われる。但し、グラン・デュオがシンフォニックで重厚な大規模ソナタ形式であり、演奏会あるいはシューベルティアーデ向けとも見受けられる内容なのに対し、変奏曲D.813は可憐で軽量な習作、または初級練習曲としての位置づけと思われる。幻想曲とは打って変わって、デゼールとシュトロッセは肩の力を抜いて軽やかで温和な旋律/和声を展開していく。本当に美しい。
アレグロ イ短調はやはり逝去の年=1828年に書かれたとされる連弾曲で、副題の「人生の嵐」は後の1840年に出版社が初版を出すときに命名したものと言われている。彼の短い数奇な人生を表現するかのこの副題はその後広く受け入れられて今日に至る。冒頭の幻想曲D.940と合わせて連弾曲の最高傑作のうちの一つに数えられている。デゼールとシュトロッセは死期の迫ったシューベルトの心の奔流を慟哭として描き出しており、これは実に激しい。しかし決して破綻は見せず、モデレートさを保ちつつ暗闇の中を剛健に進む。
最後に入るディヴェルティメント ホ短調D.823についてはたまに演奏会や録音でも取り上げられる連弾曲だが、作曲年代や作曲の背景などはよく知らない。いくつか疑問があり、まずフランス風とはどういった気風なのか、またディヴェルティメント=喜遊曲は、通常は明晰な長調で屈託のない曲想のはずなのにアンニュイな短調主題のこの曲の狙いは何なのか、といった点。しかし、途中、長調に転調する箇所もあるので完全な短調とも言えないこと、また、あまり深刻で重々しくはないことからディヴェルティメントとの命名が全く不適切とまでは言えない。いずれにせよ壮大な構造体を形成しているわけではないライトな変奏曲であるのは間違いのないところ。作風的には二つ目に入っている8つの変奏曲に近いものがあって、デゼールとシュトロッセは軽やかに穏やかに歩を進め、最終変奏を静かに閉じる。
このアルバムは、内容的にも演奏的にもとてもアーティスティック、かつエレガントな香りが際立った名演で、何度聴いても溜息が出るほど美しく、そして切ない。
(録音評)
MIRARE MIR280、通常CD。録音は2015年1月、フランス、ショレのサン=ルイ劇場(Theatre Saint-Louis a Cholet)とある。ピアノの音が軽く、一瞬、古色蒼然としたフォルテピアノに聴こえる。しかし、よくよく聴くと綺麗に調律された小型の現代ピアノであることが分かる。スタインウェイのようなメタリックでクールな音ではなく、中高域に独特のブリリアンスがありながら中低域が引き締まっていて歪感が少ないことからザウターではないかと思われる。音場は広めでサウンドステージが左右にスプレッドする。残響はほどほどだが空間感が素晴らしく、また混濁のないクリアな弦から発せられる音粒が漆黒の背景に逐次吸い込まれていく様子をつぶさに捉えている。演奏プログラムはアーティスティックだが収録もまた薫り高い。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/4147356/
Schubert: Piano à quatre mains
1. Fantaisie, en fa mineur, pour piano a quatre mains D.940 Op.103
Allegro molto moderato - Largo - Allegro vivace - Tempo I
Variations sur un theme original en la bemol majeur D.813 Op.35
2. Theme - Allegretto
3. Variation 1
4. Variation 2
5. Variation 3 - Un poco piu lento
6. Variation 4 - Tempo I
7. Variation 5
8. Variation 6 - Maestoso
9. Variation 7 - Piu lento
10. Variation 8 - Allegro moderato
11. Allegro, en la mineur, pour piano à quatre mains D.947 Op.144
"Lebenssturme" Allegro ma non troppo
Divertissement sur des motifs originaux francais pour piano à quatre mains
D.823 Op.84 (II. Theme et Variations: Andantino)
12. Theme - Andantino
13. Variation 1
14. Variation 2
15. Variation 3
16. Variation 4 - Un poco piu lento
Claire Désert & Emmanuel Strosser (Pf)
シューベルト:
幻想曲 ヘ短調 Op.103,D.940
創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 Op.35,D.813
アレグロ イ短調「人生の嵐」Op.144,D.947
フランス風の主題によるディヴェルティメント ホ短調 D.823
~アンダンティーノと変奏曲 ロ短調 Op.84
クレール・デゼール(ピアノ)、エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)
シューベルトは僅か31歳で早世したある種の天才作家であった。冒頭に入っている幻想曲D.940は彼の逝去の年=1828年に書かれている。シューベルトは歴史的な分類としては一応、ロマン派に位置付けられてはいるが、実際に残された作品の多くはその曲想がオーソドックスであり、同時代を生きたベートーヴェンからの強い影響もあってか、ウィーン楽派の正統ないし本流とみなすことができる。
彼のそういった純朴で古典的な作品群の中ではとてもロマンティックで甘美な作品がこの幻想曲D.940だ。詳細は割愛するが、ハンガリーの貴族エステルハージ伯爵一家へ子供のピアノ教師として1818年、1824年と招聘されるうち、伯爵の娘の一人であるカロリーネに強い恋心を抱いてしまった。その出来事と成就できない自身の憔悴の思いをモチーフにこの作品を書いたとされる。献呈は逝去の年=1828年、カロリーネに対してされている。デゼールとシュトロッセは喜怒哀楽を強調して抑揚豊かにこの複雑な心象風景をドラマティックに、かつ重厚に織りなしていく。
続く8つの変奏曲D.813は作曲年代が1824年で、エステルハージ家の娘たちのピアノ練習向けに書いたとされるグラン・デュオD.812と同じであることからやはり同様に教則本的な位置付けで書かれたものではないかと思われる。但し、グラン・デュオがシンフォニックで重厚な大規模ソナタ形式であり、演奏会あるいはシューベルティアーデ向けとも見受けられる内容なのに対し、変奏曲D.813は可憐で軽量な習作、または初級練習曲としての位置づけと思われる。幻想曲とは打って変わって、デゼールとシュトロッセは肩の力を抜いて軽やかで温和な旋律/和声を展開していく。本当に美しい。
アレグロ イ短調はやはり逝去の年=1828年に書かれたとされる連弾曲で、副題の「人生の嵐」は後の1840年に出版社が初版を出すときに命名したものと言われている。彼の短い数奇な人生を表現するかのこの副題はその後広く受け入れられて今日に至る。冒頭の幻想曲D.940と合わせて連弾曲の最高傑作のうちの一つに数えられている。デゼールとシュトロッセは死期の迫ったシューベルトの心の奔流を慟哭として描き出しており、これは実に激しい。しかし決して破綻は見せず、モデレートさを保ちつつ暗闇の中を剛健に進む。
最後に入るディヴェルティメント ホ短調D.823についてはたまに演奏会や録音でも取り上げられる連弾曲だが、作曲年代や作曲の背景などはよく知らない。いくつか疑問があり、まずフランス風とはどういった気風なのか、またディヴェルティメント=喜遊曲は、通常は明晰な長調で屈託のない曲想のはずなのにアンニュイな短調主題のこの曲の狙いは何なのか、といった点。しかし、途中、長調に転調する箇所もあるので完全な短調とも言えないこと、また、あまり深刻で重々しくはないことからディヴェルティメントとの命名が全く不適切とまでは言えない。いずれにせよ壮大な構造体を形成しているわけではないライトな変奏曲であるのは間違いのないところ。作風的には二つ目に入っている8つの変奏曲に近いものがあって、デゼールとシュトロッセは軽やかに穏やかに歩を進め、最終変奏を静かに閉じる。
このアルバムは、内容的にも演奏的にもとてもアーティスティック、かつエレガントな香りが際立った名演で、何度聴いても溜息が出るほど美しく、そして切ない。
(録音評)
MIRARE MIR280、通常CD。録音は2015年1月、フランス、ショレのサン=ルイ劇場(Theatre Saint-Louis a Cholet)とある。ピアノの音が軽く、一瞬、古色蒼然としたフォルテピアノに聴こえる。しかし、よくよく聴くと綺麗に調律された小型の現代ピアノであることが分かる。スタインウェイのようなメタリックでクールな音ではなく、中高域に独特のブリリアンスがありながら中低域が引き締まっていて歪感が少ないことからザウターではないかと思われる。音場は広めでサウンドステージが左右にスプレッドする。残響はほどほどだが空間感が素晴らしく、また混濁のないクリアな弦から発せられる音粒が漆黒の背景に逐次吸い込まれていく様子をつぶさに捉えている。演奏プログラムはアーティスティックだが収録もまた薫り高い。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2016-08-27 14:01
| Solo - Pf
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