2016年 01月 18日
Burgmüller: 18 Etudes de genre, Op.109@Mikiko Yamamoto |
Rawnotesレーベルから昨夏にリリースされたブルクミュラーの18の練習曲(全曲)。弾くのはピアニストで音楽教育家でもある山本実樹子。

http://tower.jp/item/3950541/
Burgmüller:
18 Etudes de genre, Op.109
1. Confidence
2. Les Perles 2.The Pearls
3. Le Retour du Patre(Shepherd's Return)
4. Les Bohemiens(The Gypsies)
5. La Source(The Spring)
6. L'enjouee(The Merry Maiden)
7. Berceuse(Lullaby)
8. Agitato
9. La Cloche des Matines(Morning Bell)
10. La Velocite(Velocity)
11. La Serenade
12. Le Reveil dans les Bois(Awakening in the Woods)
13. L'Orage(The Storm)
14. Refrain du Gondolier(Song of the Gondolier)
15. Les Sylphes(Sylphs)
16. La Separation(Parting)
17. La Marche(March)
18. La Fileuse(Spinning Song)
Mikiko Yamamoto(Pf)
ブルクミュラー:18の性格的な練習曲Op.109全曲
1. うちあけ話
2. 真珠
3. 羊飼いの家路
4. ボヘミアン
5. 泉
6. おてんば
7. 子守唄
8. アジタート
9. 夜明けの祈りの鐘
10. 全速力
11. セレナーデ
12. 木立の中の目覚め
13. 雷雨
14. ゴンドラ漕ぎの歌
15. 風の精たち
16. 別離
17. マーチ
18. 紬歌
山本実樹子(ピアノ)
ブルクミュラー・・・、私が幼少期の頃はまわりの皆が"ブルグミューラー"と呼んでいた。ブルクミュラーはドイツ生まれなので、Burg...と書いてブルクと発音する。つまり"g"は濁らないのが順当なんだということは大学に入ってドイツ語の授業を聴いて初めて知った。
そのブルクミュラーだが、日本で有名なのは「25の練習曲Op.100」の方であり、日本でピアノを学んだ人ならば知らない人はいない。この本はヤマハ音楽教室が必ず使うことで有名だが、ヤマハの後に個人の先生に付いて習っていた私も例外ではなく、25の練習曲にはお世話になったし、いまだに記憶に強く残っている。というのはバイエルやツェルニー100番などに比べ、楽しい教則本としては数えるほどしかないうちの一冊だったからだ。
余談だが、ブルクミュラー以外で楽しみにしていた一冊は、小川一朗編「音楽表現練習へのピアノ小曲集」という群青色と黄色の表紙の教則本。この本の副題が「バイエル併用」だったことから、バイエルが音楽表現の鍛錬にいかに役立たないか、またつまらないかを示していて、そのシニカルなキャッチフレーズの付け方が余りに巧妙だと子供心に感心したものだった。
山本実樹子さんはfacebookで友達関係にある演奏家で、またエキサイト・ブログ繋がりもあるかた。昨夏にリリースのお知らせを頂戴してから、忘れていたわけではないがなかなか手配に至らず、年末にようやく入手できたのがこのCDというわけだ。
山本さんのプロフィールを以下に紹介:
--
桐朋女子校等学校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。米国ワシントン州立大学大学院に留学。園田高弘ピアノコンクールで優勝。園田高弘賞を受賞。現在は、日本、アジア、ヨーロッパ各地でのリサイタル、ソリストとしてオーケストラとの共演、国内外演奏家との共演、全国各地でのコンクールの審査、多数のCDリリース、絵本の出版、音楽誌への執筆、「フランツ・リスト生誕200年記念企画」として4年連続の本格的な芝居とコンサートのコラボレーションなどの脚本執筆プロデュースの他、「親と子のピアノ名曲コンサート」に400回を超えて出演中、独自のファンタジーワークを取り入れたユニークな指導法が評価され公開セミナー等も増え、幅広く活動中。ピアノを末永博子、井口基成、井口秋子、富本陶、井上直幸、ロビン・マッケイブ、園田高弘の各氏に、室内楽を小林道夫、岩崎淑、三善晃の各氏に、チェンバロとパイプオルガンをキャロル・テリーに師事。ミントの森Music Schoolでは、生後間もなくからのわらべうたベビーマッサージ、生後6ヶ月からのベビーリトミックから、楽しい英才クラス、創造性に富んだ自己表現へとつながるピアノレッスン、大人のための優雅なティータイム付きレクチャーレッスンなどオリジナリティあふれるクラスを運営する一方、全国各地でのコンサートやセミナー、ラジオ番組のパーソナリティを務めるなど、精力的な活動を展開されている音楽家。
--
井口基成に師事されたとあるが、この人の名も随分と懐かしい。ブルクミュラーの後くらいだったろうか、井口基成編 ソナチネ集の1と2をやった。勿論、このソナチネ集も楽しみにしていた副教則本であり、クーラウ、クレメンティ、ドゥシェック、ディアベリ、ベートーヴェンなど、ちょっと規模の大きい、大人っぽい曲がどっさり入っていた。ディアベリあたりがすらすら弾けてくるとちょっと格好良くて自慢したくなったほど。当時の教則の基幹ラインがツェルニーであったことはかなりの苦痛で、よって音楽性、物語性のある教則本が途中で挫けないための「おやつ」だった。しかし、ツェルニーをやったことはその後の人生において、忍耐を厭わない性格の涵養になったものといまだに確信し、感謝もしているが。
閑話休題。ブルクミュラーの18の練習曲は25の練習曲のそれぞれが見せる簡素で素直な面影はあるものの、テクニカルからいっても曲想の大きさから言っても別物で、言い方は悪いかもしれないが音楽作品として本格的で鑑賞に耐えうる優れた連作と言える。それぞれは譜面が短く、従って時間的にはちゃんとしたソナタ形式はとり得なく、殆どがシンプルな三部形式。但し、ものによりごく短かなコーダは付いている。
IMSLPで譜面を表示し目で追いながらCDを聴いたが、それぞれの曲にはテクニカルなテーマがちゃんとあって、つまりトリル、分散和音、オクターブユニゾン、上昇・下降スケール、クロマティック、シンコペーション、付点、16部音符、左手・・など、小さな手による制約を加味した25の練習曲とは異なり相当本格的な内容であるし、これはツェルニーでいえば30番よりも高度、40番程度の要求水準かと思われ、またエモーショナルではシューマン子供の情景やクライスレリアーナ的な深耕が要求される内容かもしれない。
各曲には作家自身の手により題名が付されており、これはショパンのOp.10やOp.25のように後世の人がつけた愛称ではない。このため、作家が意図したイメージが練習者にダイレクトに伝わり、例えば「雷雨」と言われれば実体験に基づいた雷鳴や雨粒の当たる音を直接に連想するし、「泉」と言われれば滾々と湧き出る井戸や清水の豊かな印象を思い浮かべるであろう。一方、「うちあけ話」、「別離」といった、人によっていろいろと違った解釈と印象を抱くであろう抽象的なテーマもあって、想像力の食指を多岐に伸ばして欲しいと企図されているようだ。
facebookで山本さんから「どの曲がお好きですか?」と問われ、アジタート、全速力、木立の中の目覚めがお気に入りと答えた。だが、どの曲もそれぞれに味があって優劣はつけがたいものがある。ある種、ショパン的な輝きとメロディアスな旋律、和声展開だと思うが、過度に揺れる暗いメランコリックさはない。練習曲と言うにはあまりに整ったピアノ作品集であって、これはもっと広く弾かれ、聴かれてもいい作品だと認識した。この曲集を聴くのは初めてなので比較はもちろんできないが、山本さんの演奏は素晴らしい。彼女は歴とした職業ピアニストであり、技巧面はもとより表現幅やアーティキュレーションの多彩さにおいても一級の音楽家。ピアノはドイツのザウター社製220オメガ。重心がしっかりしていて、華美さや派手さはないが、まろび出るような多元的で芯のしっかりした音を出すピアノ。
録音風景は山本さんご自身のエキサイトブログ:ピアニスト山本実樹子のmiracle日記参照のこと。
(録音評)
Rawnotesレーベル RAWJ-0026、通常CD。録音担当はStudio407、録音エンジニア:Takahiro Sakai、サウンドアシスタント:Mitsuyo Sakai、機器:マイク:Earthworks M50, M30、DAC:RME Fireface UFX、DAW:Avid Pro Tools 10とある。エンジニアとしてクレジットのあるSakai(酒井)氏は、長年ワーナーミュージックに在籍され、その後ソニー基礎研でピアノ録音を専門的に研究されてた人物。リリースはRawnotesというインディーズゆえか、アルバムの仕上がりの洗練度という点においては一般レーベルと比較すべきではない。しかしフィルター処理や残響調整等を殆ど行っていないためか寧ろ鋭敏で新鮮、一級の音質となっている。環境計測用として設計されたマイクであるEarthworksは、DPA(旧B&K)と同様に非常に優秀だ。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3950541/
Burgmüller:
18 Etudes de genre, Op.109
1. Confidence
2. Les Perles 2.The Pearls
3. Le Retour du Patre(Shepherd's Return)
4. Les Bohemiens(The Gypsies)
5. La Source(The Spring)
6. L'enjouee(The Merry Maiden)
7. Berceuse(Lullaby)
8. Agitato
9. La Cloche des Matines(Morning Bell)
10. La Velocite(Velocity)
11. La Serenade
12. Le Reveil dans les Bois(Awakening in the Woods)
13. L'Orage(The Storm)
14. Refrain du Gondolier(Song of the Gondolier)
15. Les Sylphes(Sylphs)
16. La Separation(Parting)
17. La Marche(March)
18. La Fileuse(Spinning Song)
Mikiko Yamamoto(Pf)
ブルクミュラー:18の性格的な練習曲Op.109全曲
1. うちあけ話
2. 真珠
3. 羊飼いの家路
4. ボヘミアン
5. 泉
6. おてんば
7. 子守唄
8. アジタート
9. 夜明けの祈りの鐘
10. 全速力
11. セレナーデ
12. 木立の中の目覚め
13. 雷雨
14. ゴンドラ漕ぎの歌
15. 風の精たち
16. 別離
17. マーチ
18. 紬歌
山本実樹子(ピアノ)
ブルクミュラー・・・、私が幼少期の頃はまわりの皆が"ブルグミューラー"と呼んでいた。ブルクミュラーはドイツ生まれなので、Burg...と書いてブルクと発音する。つまり"g"は濁らないのが順当なんだということは大学に入ってドイツ語の授業を聴いて初めて知った。
そのブルクミュラーだが、日本で有名なのは「25の練習曲Op.100」の方であり、日本でピアノを学んだ人ならば知らない人はいない。この本はヤマハ音楽教室が必ず使うことで有名だが、ヤマハの後に個人の先生に付いて習っていた私も例外ではなく、25の練習曲にはお世話になったし、いまだに記憶に強く残っている。というのはバイエルやツェルニー100番などに比べ、楽しい教則本としては数えるほどしかないうちの一冊だったからだ。
余談だが、ブルクミュラー以外で楽しみにしていた一冊は、小川一朗編「音楽表現練習へのピアノ小曲集」という群青色と黄色の表紙の教則本。この本の副題が「バイエル併用」だったことから、バイエルが音楽表現の鍛錬にいかに役立たないか、またつまらないかを示していて、そのシニカルなキャッチフレーズの付け方が余りに巧妙だと子供心に感心したものだった。
山本実樹子さんはfacebookで友達関係にある演奏家で、またエキサイト・ブログ繋がりもあるかた。昨夏にリリースのお知らせを頂戴してから、忘れていたわけではないがなかなか手配に至らず、年末にようやく入手できたのがこのCDというわけだ。
山本さんのプロフィールを以下に紹介:
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桐朋女子校等学校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。米国ワシントン州立大学大学院に留学。園田高弘ピアノコンクールで優勝。園田高弘賞を受賞。現在は、日本、アジア、ヨーロッパ各地でのリサイタル、ソリストとしてオーケストラとの共演、国内外演奏家との共演、全国各地でのコンクールの審査、多数のCDリリース、絵本の出版、音楽誌への執筆、「フランツ・リスト生誕200年記念企画」として4年連続の本格的な芝居とコンサートのコラボレーションなどの脚本執筆プロデュースの他、「親と子のピアノ名曲コンサート」に400回を超えて出演中、独自のファンタジーワークを取り入れたユニークな指導法が評価され公開セミナー等も増え、幅広く活動中。ピアノを末永博子、井口基成、井口秋子、富本陶、井上直幸、ロビン・マッケイブ、園田高弘の各氏に、室内楽を小林道夫、岩崎淑、三善晃の各氏に、チェンバロとパイプオルガンをキャロル・テリーに師事。ミントの森Music Schoolでは、生後間もなくからのわらべうたベビーマッサージ、生後6ヶ月からのベビーリトミックから、楽しい英才クラス、創造性に富んだ自己表現へとつながるピアノレッスン、大人のための優雅なティータイム付きレクチャーレッスンなどオリジナリティあふれるクラスを運営する一方、全国各地でのコンサートやセミナー、ラジオ番組のパーソナリティを務めるなど、精力的な活動を展開されている音楽家。
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井口基成に師事されたとあるが、この人の名も随分と懐かしい。ブルクミュラーの後くらいだったろうか、井口基成編 ソナチネ集の1と2をやった。勿論、このソナチネ集も楽しみにしていた副教則本であり、クーラウ、クレメンティ、ドゥシェック、ディアベリ、ベートーヴェンなど、ちょっと規模の大きい、大人っぽい曲がどっさり入っていた。ディアベリあたりがすらすら弾けてくるとちょっと格好良くて自慢したくなったほど。当時の教則の基幹ラインがツェルニーであったことはかなりの苦痛で、よって音楽性、物語性のある教則本が途中で挫けないための「おやつ」だった。しかし、ツェルニーをやったことはその後の人生において、忍耐を厭わない性格の涵養になったものといまだに確信し、感謝もしているが。
閑話休題。ブルクミュラーの18の練習曲は25の練習曲のそれぞれが見せる簡素で素直な面影はあるものの、テクニカルからいっても曲想の大きさから言っても別物で、言い方は悪いかもしれないが音楽作品として本格的で鑑賞に耐えうる優れた連作と言える。それぞれは譜面が短く、従って時間的にはちゃんとしたソナタ形式はとり得なく、殆どがシンプルな三部形式。但し、ものによりごく短かなコーダは付いている。
IMSLPで譜面を表示し目で追いながらCDを聴いたが、それぞれの曲にはテクニカルなテーマがちゃんとあって、つまりトリル、分散和音、オクターブユニゾン、上昇・下降スケール、クロマティック、シンコペーション、付点、16部音符、左手・・など、小さな手による制約を加味した25の練習曲とは異なり相当本格的な内容であるし、これはツェルニーでいえば30番よりも高度、40番程度の要求水準かと思われ、またエモーショナルではシューマン子供の情景やクライスレリアーナ的な深耕が要求される内容かもしれない。
各曲には作家自身の手により題名が付されており、これはショパンのOp.10やOp.25のように後世の人がつけた愛称ではない。このため、作家が意図したイメージが練習者にダイレクトに伝わり、例えば「雷雨」と言われれば実体験に基づいた雷鳴や雨粒の当たる音を直接に連想するし、「泉」と言われれば滾々と湧き出る井戸や清水の豊かな印象を思い浮かべるであろう。一方、「うちあけ話」、「別離」といった、人によっていろいろと違った解釈と印象を抱くであろう抽象的なテーマもあって、想像力の食指を多岐に伸ばして欲しいと企図されているようだ。
facebookで山本さんから「どの曲がお好きですか?」と問われ、アジタート、全速力、木立の中の目覚めがお気に入りと答えた。だが、どの曲もそれぞれに味があって優劣はつけがたいものがある。ある種、ショパン的な輝きとメロディアスな旋律、和声展開だと思うが、過度に揺れる暗いメランコリックさはない。練習曲と言うにはあまりに整ったピアノ作品集であって、これはもっと広く弾かれ、聴かれてもいい作品だと認識した。この曲集を聴くのは初めてなので比較はもちろんできないが、山本さんの演奏は素晴らしい。彼女は歴とした職業ピアニストであり、技巧面はもとより表現幅やアーティキュレーションの多彩さにおいても一級の音楽家。ピアノはドイツのザウター社製220オメガ。重心がしっかりしていて、華美さや派手さはないが、まろび出るような多元的で芯のしっかりした音を出すピアノ。
録音風景は山本さんご自身のエキサイトブログ:ピアニスト山本実樹子のmiracle日記参照のこと。
(録音評)
Rawnotesレーベル RAWJ-0026、通常CD。録音担当はStudio407、録音エンジニア:Takahiro Sakai、サウンドアシスタント:Mitsuyo Sakai、機器:マイク:Earthworks M50, M30、DAC:RME Fireface UFX、DAW:Avid Pro Tools 10とある。エンジニアとしてクレジットのあるSakai(酒井)氏は、長年ワーナーミュージックに在籍され、その後ソニー基礎研でピアノ録音を専門的に研究されてた人物。リリースはRawnotesというインディーズゆえか、アルバムの仕上がりの洗練度という点においては一般レーベルと比較すべきではない。しかしフィルター処理や残響調整等を殆ど行っていないためか寧ろ鋭敏で新鮮、一級の音質となっている。環境計測用として設計されたマイクであるEarthworksは、DPA(旧B&K)と同様に非常に優秀だ。
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by primex64
| 2016-01-18 23:15
| Solo - Pf
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