2015年 10月 06日
Schumann: Vn-Con@Isabelle Faust, Pablo Heras-Casado/Freiburger Barock O. |
Harmonia Mundiの春の新譜から、ファウストのシューマンVnコンとPトリオ。通常CDとVnコンのライブ・シーンを収めたDVDとの2枚組。

http://tower.jp/item/3830566/
Schumann:
Violin Concerto in D minor, WoO 23
Piano Trio No.3 in G minor, Op.110
Isabelle Faust (Vn)
(Vn-Con) Freiburger Barockorchester, Pablo Heras-Casado(Dir)
(P-Trio) Jean-Guihen Queyras (Vc), Alexander Melnikov (Pf)
ロベルト・シューマン(1810~56):
ヴァイオリン協奏曲 WoO 1 ニ短調
ピアノ三重奏曲 第3 番 ト短調 op.110
イザベル・ファウスト(Vn、1704年製ストラディヴァリウス:スリーピング・ビューティー)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc、ジョフレド・カッパ、1696年製)
アレクサンドル・メルニコフ
(FortePiano、ジャン=バティスト・シュトライヒャー:ウィーン:1847年、
エドヴィン・ボインク・コレクション)
パブロ・エラス=カサド(指揮) フライブルク・バロック・オーケストラ
ファウストは定点観測している優秀なVnソリストの一人で、今回のこれも期待していたが入手するのが遅くなったという盤。しかし、シューマンのVnコンに関しては作品自体にそれほど華があるものではなくて、ファウストはどう料理するするのであろうか、という興味しかなかった。
蓋を開けてみたら、そうか、こういった解釈と演奏もありなのだと膝を打つ内容。シューマンは女々しいところと男性的なところが明確に交錯する作風の作家で、例えば恋敵だったブラームスのように微細な心象を中性的に連続した流れの中で顕すことの機微には長けていなかったと評価している。それは、中年以降に脳の病に苦しみ、まともな著作が出来なかったことをさしおいてもなお彼が持っていた本質的な特徴だと思っていた。
余り期待せずに封を切って針を下したこの演奏は、ファウストはさすがだと言わざるを得ない素敵なシューマンの一面を聴かせてくれた演奏だった。前述の通り、シューマンの譜面はめちゃめちゃ明るく溌剌としているか、あるいは暗くどんよりと落ち込んでいるかのどちらかを端的に表現する気風があって、そのどちらも現代においては評価されている。
冒頭のVnコンは、暗鬱、いかめしい入りの1楽章、メロウでなよっとした2楽章、そこから途切れずに展開されてくるワルツ風の終楽章とかなり分裂気味の構成なのだが、そこはシューマンであってお洒落かつ軽妙なまとめ方である。ファウストらの演奏設計はシューマンが持っている中性的な部分に敢えてフォーカスを当てようとしているようで、明暗を敢えて強く分けず、連綿とした一本の線で描き切っているのだ。
つまり長調と単調の境目を特段に入念に拡大して切れ目なく描いているということ。彫りが深い解釈とはこういったことを言うのかもしれない。そして、選んだ楽団がパブロ・エラス=カサド指揮のフライブルク・バロック・オーケストラということで古楽系の楽器の選別、特別に調製されたヴィンテージ楽器のハーモニーが素晴らしく、全てのレーンにガット弦を張ったファウストのスリーピング・ビューティーと音色が溶け合っていて素晴らしいのだ。
実は、このアルバムは、後述するが、ある特定テーマのシリーズものの第一弾として企画、リリースされたものだそうだ。後半のPトリオの出来栄えは出色といってよく、こんなにも克明にシューマン作品に迫った演奏はそうそうないと思う。とにかく、ファウストのリーダーシップの強さは凄いのだが、メルニコフとジャン=ギアン・ケラスとの掛け合いは必聴もの。特に同じ弦のケラスとのシンクロニシティは凄いの一言。VcとVnと楽器が異なるにもかかわらず、一挺の楽器から音が出ているがごとく揃っている場面が多い。また、メルニコフが駆るエラール製のフォルテピアノは言われなければそうとわからないほど調整が良好な個体であり、現代ピアノとの差異は思ったより少ないが、暖色系の音色は弦との親和性は高い。
メロウなシューマンの特質をじょうずに引き出したお洒落でわくわくするような軽妙かつハイセンスな演奏に仕上がっている。若い才能が混じり合うとこういっためくるめく演奏が出てくる可能性が高まるという好事例だ。
因みに、DVDの方はCDの録音とは全く別に収録されたライブ演奏会の模様で、会場は客を入れたベルリン・フィルハーモニック。こちらの演奏会は緊張感が余り感じられないアットホームな雰囲気でのびのびとしながらも、生来の性格からか求道的に歩を進める真面目なファウストの姿が捉えられている。
なお、このアルバムは全3枚のCDをリリースしようというプロジェクトの第一弾だそうだ。つまり、ファウスト、ケラス、メルニコフがシューマンのPf、Vn、VCの三つの協奏曲+三つのピアノトリオを録ろうという予告的なチクルス。因みに第二弾はメルニコフによるPコンで既に夏にリリースされているので近いうちに取り上げる。
(録音評)
Harmonia Mundi HMC902196、通常CD+DVD。CDは2014年5,8,9月/テルデックス・スタジオ・ベルリン、ボーナスDVDは2014年5月8日、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録画。音質だが、VnコンよりかはPトリオの方が数段優れていて、これは三角関係のVn、Vc、Pfが立体的で綺麗な音像を形成、目に見えるくらいピンフォーカスな録音なのだ。ではVnコンは悪いのかというと決してそうではなくて水準を大きく超える優秀録音だ。但し、ライブのDVDほどの生々しさはないのはテルデックスで録っているからであって、寧ろ音楽専用CDの品質を最高レベルに仕上げたいとの思慮からと思われる。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

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Schumann:
Violin Concerto in D minor, WoO 23
Piano Trio No.3 in G minor, Op.110
Isabelle Faust (Vn)
(Vn-Con) Freiburger Barockorchester, Pablo Heras-Casado(Dir)
(P-Trio) Jean-Guihen Queyras (Vc), Alexander Melnikov (Pf)
ロベルト・シューマン(1810~56):
ヴァイオリン協奏曲 WoO 1 ニ短調
ピアノ三重奏曲 第3 番 ト短調 op.110
イザベル・ファウスト(Vn、1704年製ストラディヴァリウス:スリーピング・ビューティー)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc、ジョフレド・カッパ、1696年製)
アレクサンドル・メルニコフ
(FortePiano、ジャン=バティスト・シュトライヒャー:ウィーン:1847年、
エドヴィン・ボインク・コレクション)
パブロ・エラス=カサド(指揮) フライブルク・バロック・オーケストラ
ファウストは定点観測している優秀なVnソリストの一人で、今回のこれも期待していたが入手するのが遅くなったという盤。しかし、シューマンのVnコンに関しては作品自体にそれほど華があるものではなくて、ファウストはどう料理するするのであろうか、という興味しかなかった。
蓋を開けてみたら、そうか、こういった解釈と演奏もありなのだと膝を打つ内容。シューマンは女々しいところと男性的なところが明確に交錯する作風の作家で、例えば恋敵だったブラームスのように微細な心象を中性的に連続した流れの中で顕すことの機微には長けていなかったと評価している。それは、中年以降に脳の病に苦しみ、まともな著作が出来なかったことをさしおいてもなお彼が持っていた本質的な特徴だと思っていた。
余り期待せずに封を切って針を下したこの演奏は、ファウストはさすがだと言わざるを得ない素敵なシューマンの一面を聴かせてくれた演奏だった。前述の通り、シューマンの譜面はめちゃめちゃ明るく溌剌としているか、あるいは暗くどんよりと落ち込んでいるかのどちらかを端的に表現する気風があって、そのどちらも現代においては評価されている。
冒頭のVnコンは、暗鬱、いかめしい入りの1楽章、メロウでなよっとした2楽章、そこから途切れずに展開されてくるワルツ風の終楽章とかなり分裂気味の構成なのだが、そこはシューマンであってお洒落かつ軽妙なまとめ方である。ファウストらの演奏設計はシューマンが持っている中性的な部分に敢えてフォーカスを当てようとしているようで、明暗を敢えて強く分けず、連綿とした一本の線で描き切っているのだ。
つまり長調と単調の境目を特段に入念に拡大して切れ目なく描いているということ。彫りが深い解釈とはこういったことを言うのかもしれない。そして、選んだ楽団がパブロ・エラス=カサド指揮のフライブルク・バロック・オーケストラということで古楽系の楽器の選別、特別に調製されたヴィンテージ楽器のハーモニーが素晴らしく、全てのレーンにガット弦を張ったファウストのスリーピング・ビューティーと音色が溶け合っていて素晴らしいのだ。
実は、このアルバムは、後述するが、ある特定テーマのシリーズものの第一弾として企画、リリースされたものだそうだ。後半のPトリオの出来栄えは出色といってよく、こんなにも克明にシューマン作品に迫った演奏はそうそうないと思う。とにかく、ファウストのリーダーシップの強さは凄いのだが、メルニコフとジャン=ギアン・ケラスとの掛け合いは必聴もの。特に同じ弦のケラスとのシンクロニシティは凄いの一言。VcとVnと楽器が異なるにもかかわらず、一挺の楽器から音が出ているがごとく揃っている場面が多い。また、メルニコフが駆るエラール製のフォルテピアノは言われなければそうとわからないほど調整が良好な個体であり、現代ピアノとの差異は思ったより少ないが、暖色系の音色は弦との親和性は高い。
メロウなシューマンの特質をじょうずに引き出したお洒落でわくわくするような軽妙かつハイセンスな演奏に仕上がっている。若い才能が混じり合うとこういっためくるめく演奏が出てくる可能性が高まるという好事例だ。
因みに、DVDの方はCDの録音とは全く別に収録されたライブ演奏会の模様で、会場は客を入れたベルリン・フィルハーモニック。こちらの演奏会は緊張感が余り感じられないアットホームな雰囲気でのびのびとしながらも、生来の性格からか求道的に歩を進める真面目なファウストの姿が捉えられている。
なお、このアルバムは全3枚のCDをリリースしようというプロジェクトの第一弾だそうだ。つまり、ファウスト、ケラス、メルニコフがシューマンのPf、Vn、VCの三つの協奏曲+三つのピアノトリオを録ろうという予告的なチクルス。因みに第二弾はメルニコフによるPコンで既に夏にリリースされているので近いうちに取り上げる。
(録音評)
Harmonia Mundi HMC902196、通常CD+DVD。CDは2014年5,8,9月/テルデックス・スタジオ・ベルリン、ボーナスDVDは2014年5月8日、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録画。音質だが、VnコンよりかはPトリオの方が数段優れていて、これは三角関係のVn、Vc、Pfが立体的で綺麗な音像を形成、目に見えるくらいピンフォーカスな録音なのだ。ではVnコンは悪いのかというと決してそうではなくて水準を大きく超える優秀録音だ。但し、ライブのDVDほどの生々しさはないのはテルデックスで録っているからであって、寧ろ音楽専用CDの品質を最高レベルに仕上げたいとの思慮からと思われる。
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by primex64
| 2015-10-06 23:40
| Concerto - Vn
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