2015年 07月 21日
Jolivet: Works for Flute@G.Mashayekhi-Beer, Mika Mori |
珍しく国内盤からでカメラータ・トウキョウ、ジョリベとフランセのフルート作品集。演奏はギゼラ・マシャエキ=ベアと森美加。なおこの盤は「レコード芸術」2014年11月号にて準特選に選ばれている。

http://tower.jp/item/3710027/
Andre Jolivet (1905?1974):
Sonata for Flute and Piano
1. Fluide
2. Grave
3. Violent
Cinq Incantations
1. Pour accueillir les negociateurs ? et que l’entrevue soit pacifique
2. Pour que l’enfant qui va naitre soit un fils
3. Pour que la moisson soit riche qui naitra des sillons que le laboureur trace
4. Pour une communion sereine de l’etre avec le monde
5. Aux funerailles du chef ? pour obtenir la protection de son ame
Chant de Linos
Cabrioles
Fantaisie-Caprice
Jean Francaix (1912~1997):
Divertimento
1. Toccatina: Allegrissimo
2. Notturno: Lento
3. Perpetuum Mobile: Vivo
4. Romanza
5. Finale
Gisela Mashayekhi-Beer(Fl), Mika Mori(Pf)
A.ジョリヴェ:
フルート・ソナタ
5つの呪文
交渉相手を迎えるために─そして会見が和解に達するように
生まれる子が男であるように
農夫の耕す田畑の収穫が豊かであるように
生命と天地との穏やかな合致のために
首長の死へ─その魂の庇護を得るために
リノスの歌
カブリオール
ファンタジー・カプリース
J.フランセ:
ディヴェルティメント
ギゼラ・マシャエキ=ベア(フルート)
森 美加(ピアノ)
奏者については以下のカメラータ・トウキョウの紹介文を参照のこと:
ジョリベに関しては、ファウストのショーソン/ジョリベのアルバムで初めて聴いた作家。なかなかに激しくて難解な作風の曲をたくさん書いたフランスの現代作家であり、今回のこの盤はそのジョリベが基本的に好きだったというフルート向けの作品だけを入れた曲集である。なおフィルアップにはフランセの作品を収めている。
冒頭のソナタ、1楽章は、中庸なテンポのピアノ伴奏から入る諧謔味のある、そして奇妙な静けさを持つ曲。日本の尺八風と言えなくはない。2楽章は緩徐楽章。第1主題はFl独奏で始まり、第2主題からPfが入る。ほぼ95%が不協和音だが増4度あるいは6度離散する上下動がゆっくりと繰り返されることで不気味なのだが、妙な調和感が生まれている。3楽章に入ると冒頭から緊迫したPfの低音弦と瞑想的なFlが交錯しつつ動機部が進む。そして、ちょっとしたパウゼから主題提示に入るが、ここが面白い。AHAAH AHAAHが繰り返される。この旋律はストラヴィンスキーの春の祭典の最終章とほぼ同じで律動(リズム)も同じだ。たぶん、そのまんま頂いたんだろう、フルートがダイナミックに刻む春祭と言っておこう。
ソナタの後には5つの呪文と称するFl独奏の小品が入る。なんとも霊妙。音楽と言えるかどうかは分からない微妙な音世界。おそらく、心証を無調性、かつ一定の律動で描いた民族的な音楽と思われる。ジョリベが追及していたとされる魔術や呪文に基づくお伽噺を体現したものなのかどうかはわからないが妙な不安感を煽る音楽だ。しかし不安は不安なんだが、どういう訳か落ち着くのだが。
リノスの歌は割とまともな有調性の音楽で、これまたフルートの霊妙さ加減を生かした音楽。デモーニッシュなピアノによる伴奏部が印象的なリズムを刻みつつ、自由に飛翔するフルート部が美しく、かつ快感を演出している。最後に向かって「普通の和声」に収斂して綺麗に終わる。カブリオールは激しく短い曲で、変な言い方だが美しい不協和音がさすがというべき小品。調和しないところが美点。ジョリベの最終曲、ファンタジー・カプリースは更にデモーニッシュ。だが、無調性と思われるが実は有調性で、どちらかというとポピュラーなポップスなどにジャズ風のアーティキュレーションを混ぜたインプロヴィゼーションに近いものがある。
フランセの曲想はジョリベとは異なり、完全な有調性。どれもが懐かしくシンプルで温かい。激しく、そして不可解なやるせなさを極めたジョリベの後にあっては口直し的に心地よい優美かつふくよかなメロディーラインが続く。ジョリベほどの刺激はないが、しかし、ドビュッシーやラヴェル、サティ、フォーレ、フランクといったパリの伝統楽派の連綿とした典型的なテクニック、即ち増4度展開、全音音階的手法が鏤められていて気持ちが良い。
(録音評)
Camerata Tokyo CMCD-28312 通常CD。録音は2014年4月、スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)とある。機材については、マイク=SCHOEPS CMC-52SUが2本だけを使った完全なワンポイント、ミキシングはSTUDER 962コンソール、ADCはRME FireFace UFX、録音機その他はPyramix6、24bit/192KHzとある。機材やサンプリングはさておき、録音品質としては実に地味で、ある種アマチュアの生録音的なリアルで飾らない感じ。これはメインラインのレーベルでは得難い新鮮な録音だ。森美加のスタインウェイが物凄く綺麗、そしてリアルな上部雑音と共に録られているが、やはりギゼラ・マシャエキ=ベアのフルートの狙いが秀逸であり、妙な高解像度に振れることなく、歌口の吹かれ音や擦れ音が実にナチュラルに捕捉されている。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3710027/
Andre Jolivet (1905?1974):
Sonata for Flute and Piano
1. Fluide
2. Grave
3. Violent
Cinq Incantations
1. Pour accueillir les negociateurs ? et que l’entrevue soit pacifique
2. Pour que l’enfant qui va naitre soit un fils
3. Pour que la moisson soit riche qui naitra des sillons que le laboureur trace
4. Pour une communion sereine de l’etre avec le monde
5. Aux funerailles du chef ? pour obtenir la protection de son ame
Chant de Linos
Cabrioles
Fantaisie-Caprice
Jean Francaix (1912~1997):
Divertimento
1. Toccatina: Allegrissimo
2. Notturno: Lento
3. Perpetuum Mobile: Vivo
4. Romanza
5. Finale
Gisela Mashayekhi-Beer(Fl), Mika Mori(Pf)
A.ジョリヴェ:
フルート・ソナタ
5つの呪文
交渉相手を迎えるために─そして会見が和解に達するように
生まれる子が男であるように
農夫の耕す田畑の収穫が豊かであるように
生命と天地との穏やかな合致のために
首長の死へ─その魂の庇護を得るために
リノスの歌
カブリオール
ファンタジー・カプリース
J.フランセ:
ディヴェルティメント
ギゼラ・マシャエキ=ベア(フルート)
森 美加(ピアノ)
奏者については以下のカメラータ・トウキョウの紹介文を参照のこと:
ギゼラ・マシャエキ=ベア
ドイツのパッサウ生れ。1983年から85年までザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に在学、ウィーン国立音楽大学にてヴォルフガング・シュルツに師事。ウィーン室内管弦楽団及びウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の首席フルート奏者を経て、1991年にウィーン国立音楽大学にてヴォルフガング・シュルツのアシスタントとなる。1993年にはスイスに滞在、チューリヒ歌劇場管弦楽団のソロ・フルート奏者を務めながらオーレル・ニコレのもとでさらに研鑽を積む。2005年、ウィーン国立音楽大学准教授、2009年にはヨゼフ・ハイドン・コンセルヴァトリウム准教授に就任。ヴォルフガング・シュルツ、エマヌエル・パユ、ハンスイェルク・シェレンベルガー、ハインリヒ・シフ、クレメンス・ハーゲン、森美加、ラファエル・フリーダーらと共に、またカペラ・アンドレア・バルカ(A・シフ創設)といったオーケストラと共に、ヨーロッパ各国をはじめ、日本、アメリカで精力的に演奏活動を展開している。
森美加
東京芸術大学附属音楽高校を経て同大学卒業。その後ウィーン国立音楽大学にてハインツ・メディモレック教授に師事。教授全員一致の最優秀にて卒業。在学中より数々のコンサートに出演、カーネギー・リサイタルホール、ウィーン・コンツェルトハウス、楽友協会ブラームスザール、東京文化会館等内外著名ホールにてリサイタル及び室内楽演奏会を精力的に行なう。1989年より草津国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに出演。数々の世界的奏者との共演を重ね、常に高い評価を得ている。ウィーン国立音楽大学伴奏専任講師。
ドイツのパッサウ生れ。1983年から85年までザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に在学、ウィーン国立音楽大学にてヴォルフガング・シュルツに師事。ウィーン室内管弦楽団及びウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の首席フルート奏者を経て、1991年にウィーン国立音楽大学にてヴォルフガング・シュルツのアシスタントとなる。1993年にはスイスに滞在、チューリヒ歌劇場管弦楽団のソロ・フルート奏者を務めながらオーレル・ニコレのもとでさらに研鑽を積む。2005年、ウィーン国立音楽大学准教授、2009年にはヨゼフ・ハイドン・コンセルヴァトリウム准教授に就任。ヴォルフガング・シュルツ、エマヌエル・パユ、ハンスイェルク・シェレンベルガー、ハインリヒ・シフ、クレメンス・ハーゲン、森美加、ラファエル・フリーダーらと共に、またカペラ・アンドレア・バルカ(A・シフ創設)といったオーケストラと共に、ヨーロッパ各国をはじめ、日本、アメリカで精力的に演奏活動を展開している。
森美加
東京芸術大学附属音楽高校を経て同大学卒業。その後ウィーン国立音楽大学にてハインツ・メディモレック教授に師事。教授全員一致の最優秀にて卒業。在学中より数々のコンサートに出演、カーネギー・リサイタルホール、ウィーン・コンツェルトハウス、楽友協会ブラームスザール、東京文化会館等内外著名ホールにてリサイタル及び室内楽演奏会を精力的に行なう。1989年より草津国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに出演。数々の世界的奏者との共演を重ね、常に高い評価を得ている。ウィーン国立音楽大学伴奏専任講師。
ジョリベに関しては、ファウストのショーソン/ジョリベのアルバムで初めて聴いた作家。なかなかに激しくて難解な作風の曲をたくさん書いたフランスの現代作家であり、今回のこの盤はそのジョリベが基本的に好きだったというフルート向けの作品だけを入れた曲集である。なおフィルアップにはフランセの作品を収めている。
冒頭のソナタ、1楽章は、中庸なテンポのピアノ伴奏から入る諧謔味のある、そして奇妙な静けさを持つ曲。日本の尺八風と言えなくはない。2楽章は緩徐楽章。第1主題はFl独奏で始まり、第2主題からPfが入る。ほぼ95%が不協和音だが増4度あるいは6度離散する上下動がゆっくりと繰り返されることで不気味なのだが、妙な調和感が生まれている。3楽章に入ると冒頭から緊迫したPfの低音弦と瞑想的なFlが交錯しつつ動機部が進む。そして、ちょっとしたパウゼから主題提示に入るが、ここが面白い。AHAAH AHAAHが繰り返される。この旋律はストラヴィンスキーの春の祭典の最終章とほぼ同じで律動(リズム)も同じだ。たぶん、そのまんま頂いたんだろう、フルートがダイナミックに刻む春祭と言っておこう。
ソナタの後には5つの呪文と称するFl独奏の小品が入る。なんとも霊妙。音楽と言えるかどうかは分からない微妙な音世界。おそらく、心証を無調性、かつ一定の律動で描いた民族的な音楽と思われる。ジョリベが追及していたとされる魔術や呪文に基づくお伽噺を体現したものなのかどうかはわからないが妙な不安感を煽る音楽だ。しかし不安は不安なんだが、どういう訳か落ち着くのだが。
リノスの歌は割とまともな有調性の音楽で、これまたフルートの霊妙さ加減を生かした音楽。デモーニッシュなピアノによる伴奏部が印象的なリズムを刻みつつ、自由に飛翔するフルート部が美しく、かつ快感を演出している。最後に向かって「普通の和声」に収斂して綺麗に終わる。カブリオールは激しく短い曲で、変な言い方だが美しい不協和音がさすがというべき小品。調和しないところが美点。ジョリベの最終曲、ファンタジー・カプリースは更にデモーニッシュ。だが、無調性と思われるが実は有調性で、どちらかというとポピュラーなポップスなどにジャズ風のアーティキュレーションを混ぜたインプロヴィゼーションに近いものがある。
フランセの曲想はジョリベとは異なり、完全な有調性。どれもが懐かしくシンプルで温かい。激しく、そして不可解なやるせなさを極めたジョリベの後にあっては口直し的に心地よい優美かつふくよかなメロディーラインが続く。ジョリベほどの刺激はないが、しかし、ドビュッシーやラヴェル、サティ、フォーレ、フランクといったパリの伝統楽派の連綿とした典型的なテクニック、即ち増4度展開、全音音階的手法が鏤められていて気持ちが良い。
(録音評)
Camerata Tokyo CMCD-28312 通常CD。録音は2014年4月、スタジオ・バウムガルテン(ウィーン)とある。機材については、マイク=SCHOEPS CMC-52SUが2本だけを使った完全なワンポイント、ミキシングはSTUDER 962コンソール、ADCはRME FireFace UFX、録音機その他はPyramix6、24bit/192KHzとある。機材やサンプリングはさておき、録音品質としては実に地味で、ある種アマチュアの生録音的なリアルで飾らない感じ。これはメインラインのレーベルでは得難い新鮮な録音だ。森美加のスタインウェイが物凄く綺麗、そしてリアルな上部雑音と共に録られているが、やはりギゼラ・マシャエキ=ベアのフルートの狙いが秀逸であり、妙な高解像度に振れることなく、歌口の吹かれ音や擦れ音が実にナチュラルに捕捉されている。
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by primex64
| 2015-07-21 22:17
| Solo - others
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