2015年 06月 22日
Ver Bin Ikh!@Myriam Fuks |
去年のavanti classicから、クレズマー音楽の大家=ミリアム・フックスが歌う歌曲集。SACDハイブリッド。

http://tower.jp/item/3669995/
Ver Bin Ikh!
Vi Ahin Zol Ikh Geyn
Far Dir Mayne Tayer Hanele aka Klezmer Csardas from Klezmer Karma
Malkele, Schloimele
Deim Fidele
Yetz Darf Men Leiben
Greene Bletter
Die Saposhkeler
Pintele Yid
Als In Einem Is Nicht Dou Ba Keiner
Dous Gezang Fin Mayne Hartz
Schlemazel
Nem Der Nisht Tsim Hartz
Hit Oup Dous Bisele Koyer
Schmiele
Ziben Gite Youren
Bublitchki
Ver Bin Ikh?
Der Rebe Menachem
Myriam Fuks
Ver Bin Ikh!
01. Vi Ahin Zol Ikh Geyn(私はどこへ行けばよいのか)
(S. Korn-Teuer aka Igor S. Korntayer/O. Strokh)
ゲスト:エフゲニー・キーシン(Pf)
02. Far Dir Mayne Tayer Hanele aka Klezmer Csardas from Klezmer Karma
(R. Lakatos/M. Fuks)
ゲスト:アリッサ・マルグリス(Vn)、ナタン・フロード(Vla)、
ポリーナ・レシェンコ(Pf)
03. Malkele, Schloimele (J. Rumshinsky)
ゲスト:サリーナ・コーン(歌)、フィリップ・カテリーヌ(ギター)、
オスカー・ネーメト(Bs)
04. Deim Fidele (B. Witler)
ゲスト:ローラ・フックス(歌)、ミヒャエル・グットマン(Vn)
05. Yetz Darf Men Leiben (B. Witler)
ゲスト:ポール・アンバッハ(歌)
06. Greene Bletter (M. Oiysher)
ゲスト:ロビー・ラカトシュ(Vn)
07. Die Saposhkeler' (D. Meyerowitz)
08. Pintele Yid (L. Gilrot/A. Perlmutter-H. Wohl)
ゲスト:ザハヴァ・ゼーヴァルト(歌)
09. Als In Einem Is Nicht Dou Ba Keiner (B. Witler)
10. Dous Gezang Fin Mayne Hartz (B. Witler)
ゲスト:ミリアム・ラカトシュ(歌)
11. Schlemazel (B. Witler)
ゲスト:エドゥアルト・ベーア(歌)
12. Nem Der Nisht Tsim Hartz (B. Witler)
13. Hit Oup Dous Bisele Koyer' (B. Witler)
ゲスト:ミシェル・ジョナス(歌)
14. Schmiele (G. Ulmer)
ゲスト:モナ・ミオデツキ(歌)、ロビー・ラカトシュ(Vn)
15. Ziben Gite Youren (D. Meyerowitz)
16. Bublitchki (Beygeleich) (Trad.)
ゲスト:アレクサンダー・グルニング(Pf)
17. Ver Bin Ikh? (B. Witler)
ゲスト:ミッシャ・マイスキー(Vc)、リリー・マイスキー(Pf)
18. Der Rebe Menachem (A. Gurning/M. Fuks-M. Rubinstein)
ゲスト:マルタ・アルゲリッチ(Pf)
ミリアム・フックス(Vo)
[01, 02, 16, 17, 18以外、以下アンサンブルメンバーが参加]
ロビー・ラカトシュ(1stVn)、クラウディア・バーロー(2nd Vn)、クリステル・ボルグレーヴェンス(Cl)、アルド・グラナート(アコーディオン)、ラースロー・バログ(ギター)、オスカー・ネーメト(Cb)
クレズマーは、イディッシュ(=ドイツ以外のドイツ語圏の方言であるイディッシュ語を母語とする人種)のうちアシュケナージ(=ディアスポラ、つまりエルサレムから追われて欧州に広く離散したユダヤ人のうち、東欧圏に定住した種族の呼称)の間で愛唱されてきた世俗音楽の一種で、アシュケナージの民謡をルーツとしているといわれる。更にその起源を遡るとバルカン半島北部を中心としたロマ(ジプシー音楽)とみられ、※1 そこから発展しながら東欧やドイツへと伝わったとみられる。ハイテンポな舞踊音楽からスローテンポのバラードまで種類は様々だが、概ねクラリネットとジプシークレズマー・ヴァイオリンがフィーチャーされ、すすり泣くような独特な奏法が印象的だった。
※1
ジプシーVnの大家、古舘由佳子さんから、クレズマーの起源はロマではない、とご指摘を頂戴したので訂正
クレズマーのスタイルで有名な曲には「ドナドナ」、映画「シンドラーのリスト」(スティーヴン・スピルバーグ監督)の劇中音楽などが挙げられるそうだ。また、ノーマン・ジュイソン監督「屋根の上のバイオリン弾き」"Fiddler on the Roof"を日本語化した劇が森繁久彌で大ヒット・ロングランとなったが、この物語がイディッシュのアシュケナージの世界を描いているとされている。
キングインターナショナルの販促テキストには以下のようにある:
このアルバムタイトル「Ver Bin Ikh?」はイディッシュ語であり、英語で言えば「Who am I?」とのこと。17トラック目にこのタイトル曲が収録されている。イディッシュ語の単語自体はドイツ語に似ている。イディッシュ語は古来はヘブライ文字を用いていたが、ITが普及した昨今ではラテン文字=普通のアルファベット26字を用いて表記することが当たり前になりつつあるようだ。Google翻訳のイディッシュ語はいまだにヘブライ文字セットだけが使用可能で、ラテン→ヘブライ文字の転写ができず翻訳は困難だ。それでも、ライナーノートには各曲の主要な意味が英語で解説されているのでそれを頼りに楽しんで聴ける。
曲想はどれもが哀愁に満ち溢れていてどこかノスタルジック、そして力強い。ミリアム・フックスの訛(だみ)声がなんとも言えない悲哀をそそる。ディアスポラたちはイスラエル起源のユダヤ人にして何世紀にも渡り広域ヨーロッパで離散して暮らしてきた。市民権を得たのは近現代に入ってからであり、彼らが舐めてきた辛酸や塗炭の苦しみの人生は想像を絶するものがある。そういったイディッシュたちのユダヤの歌は心の襞の非常に深い場所から発せられる慟哭なんだと思う。いつの日か祖国イスラエルを失地回復し、そしてそこへ帰る日を思い描きながら世代を継ぎながら伝承してきた悲しい叫び、歓喜、希望・・、そういった割り切れない情感がないまぜとなって現れているのがクレズマーなのだろう。
音楽的には土着臭が強くて、上に引用したようにエディット・ピアフが歌ったシャンソンほど洗練された雰囲気は殆どない。だが、訥々と情感表現するさびの部分や時折出現する希望の光を連想する部分においてはシャンソン的なインスピレーションがないわけではない。そして力強さは寧ろスラブ系やロマ(ジプシー)との類似性が強いと思われる。舞曲が由来と思われるタイプの曲ではアルゼンチン・タンゴ(=ピアソラ的)のような韻を踏むパートもあり、確かにバリエーションとしては広範にわたる。
日本における心の歌というと、第一に演歌を想起するのであるが、べたべたの演歌とは似ても似つかない洗練された曲展開と歌唱で、クレズマーは欧州の随所で見られる土着系と類似と思われるもの。しかし戦後昭和の三人娘、即ち、江利チエミ、美空ひばり、雪村いづみ が活躍したころに似た仄暗いエナジーが感じられる。勿論、旋律も和声もかなり違うのであるが。このアルバムの個々の曲についてはどれもが素晴らしく、聴いてみるしかないと言っておこう。
キングインターからの引用にある通り、フックスの脇を固めるパーソネルがもうあり得ないほどに充実している。※2 特にアルゲリッチとその仲間たちを幅広く招集できるのがavantiという私家レーベルの特徴と強み。こんなにオールスターを集めた世俗歌謡曲集というのは前代未聞だと思う。一応、以下に純クラシックで著名な共演者のリストを掲げておく。
※2
古舘由佳子さんの見立てでは、フックスがロビー・ラカトシュに心酔・リスペクトした関係で、ラカトシュの知己であるアルゲリッチやマイスキーが参集したのでは、とのこと。
アリッサ・マルグリス(Vn)
ミッシャ・マイスキー(Vc)
エフゲニー・キーシン(Pf)
ポリーナ・レシェンコ(Pf)
アレクサンダー・グルニング(Pf)
リリー・マイスキー(Pf)
マルタ・アルゲリッチ(Pf)






(録音評)
avanti classic 5414706-10352、SACDハイブリッド。録音は少し前で、2013年11月/2014年2, 3, 5月。ベニューは Studio Dada, Brussels, Studio Acoustic Records, Brussels, Salle Adyar, Parisと分散している。
音質だが、トラック間の差異は少ない。但し、器楽編成が曲ごとにかなり異なるため同じに聴こえるトラックは殆どなく、各々が個性的だ。
この盤はSACDレイヤーで聴くと、フックスの歌の語尾に含まれる独特の小さな破裂音や共演者たちの微妙な息遣いなどプレゼンスが異様に生々しく収録されているのが確認できる。CDレイヤーだとその辺のフレーバーが小さく整理されてしまい、まとまりという点においては良いが普通のボーカルものになってしまう。全体的なクォリティとしては avanti classic特有のささくれ立った臨場感が満喫できるものとなっている。いつものことながらこのレーベルは面白い録音を提示してくる。
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http://tower.jp/item/3669995/
Ver Bin Ikh!
Vi Ahin Zol Ikh Geyn
Far Dir Mayne Tayer Hanele aka Klezmer Csardas from Klezmer Karma
Malkele, Schloimele
Deim Fidele
Yetz Darf Men Leiben
Greene Bletter
Die Saposhkeler
Pintele Yid
Als In Einem Is Nicht Dou Ba Keiner
Dous Gezang Fin Mayne Hartz
Schlemazel
Nem Der Nisht Tsim Hartz
Hit Oup Dous Bisele Koyer
Schmiele
Ziben Gite Youren
Bublitchki
Ver Bin Ikh?
Der Rebe Menachem
Myriam Fuks
Ver Bin Ikh!
01. Vi Ahin Zol Ikh Geyn(私はどこへ行けばよいのか)
(S. Korn-Teuer aka Igor S. Korntayer/O. Strokh)
ゲスト:エフゲニー・キーシン(Pf)
02. Far Dir Mayne Tayer Hanele aka Klezmer Csardas from Klezmer Karma
(R. Lakatos/M. Fuks)
ゲスト:アリッサ・マルグリス(Vn)、ナタン・フロード(Vla)、
ポリーナ・レシェンコ(Pf)
03. Malkele, Schloimele (J. Rumshinsky)
ゲスト:サリーナ・コーン(歌)、フィリップ・カテリーヌ(ギター)、
オスカー・ネーメト(Bs)
04. Deim Fidele (B. Witler)
ゲスト:ローラ・フックス(歌)、ミヒャエル・グットマン(Vn)
05. Yetz Darf Men Leiben (B. Witler)
ゲスト:ポール・アンバッハ(歌)
06. Greene Bletter (M. Oiysher)
ゲスト:ロビー・ラカトシュ(Vn)
07. Die Saposhkeler' (D. Meyerowitz)
08. Pintele Yid (L. Gilrot/A. Perlmutter-H. Wohl)
ゲスト:ザハヴァ・ゼーヴァルト(歌)
09. Als In Einem Is Nicht Dou Ba Keiner (B. Witler)
10. Dous Gezang Fin Mayne Hartz (B. Witler)
ゲスト:ミリアム・ラカトシュ(歌)
11. Schlemazel (B. Witler)
ゲスト:エドゥアルト・ベーア(歌)
12. Nem Der Nisht Tsim Hartz (B. Witler)
13. Hit Oup Dous Bisele Koyer' (B. Witler)
ゲスト:ミシェル・ジョナス(歌)
14. Schmiele (G. Ulmer)
ゲスト:モナ・ミオデツキ(歌)、ロビー・ラカトシュ(Vn)
15. Ziben Gite Youren (D. Meyerowitz)
16. Bublitchki (Beygeleich) (Trad.)
ゲスト:アレクサンダー・グルニング(Pf)
17. Ver Bin Ikh? (B. Witler)
ゲスト:ミッシャ・マイスキー(Vc)、リリー・マイスキー(Pf)
18. Der Rebe Menachem (A. Gurning/M. Fuks-M. Rubinstein)
ゲスト:マルタ・アルゲリッチ(Pf)
ミリアム・フックス(Vo)
[01, 02, 16, 17, 18以外、以下アンサンブルメンバーが参加]
ロビー・ラカトシュ(1stVn)、クラウディア・バーロー(2nd Vn)、クリステル・ボルグレーヴェンス(Cl)、アルド・グラナート(アコーディオン)、ラースロー・バログ(ギター)、オスカー・ネーメト(Cb)
クレズマーは、イディッシュ(=ドイツ以外のドイツ語圏の方言であるイディッシュ語を母語とする人種)のうちアシュケナージ(=ディアスポラ、つまりエルサレムから追われて欧州に広く離散したユダヤ人のうち、東欧圏に定住した種族の呼称)の間で愛唱されてきた世俗音楽の一種で、アシュケナージの民謡をルーツとしているといわれる。
※1
ジプシーVnの大家、古舘由佳子さんから、クレズマーの起源はロマではない、とご指摘を頂戴したので訂正
クレズマーのスタイルで有名な曲には「ドナドナ」、映画「シンドラーのリスト」(スティーヴン・スピルバーグ監督)の劇中音楽などが挙げられるそうだ。また、ノーマン・ジュイソン監督「屋根の上のバイオリン弾き」"Fiddler on the Roof"を日本語化した劇が森繁久彌で大ヒット・ロングランとなったが、この物語がイディッシュのアシュケナージの世界を描いているとされている。
キングインターナショナルの販促テキストには以下のようにある:
ミリアム・フックスはユダヤ・クレズマー音楽の歌の女王。その存在感、歌唱力と表情は、クレズマー界のエディット・ピアフと言えましょう。そんな彼女がユダヤの歌をあつめた新譜をリリース。ヘブライ語の歌詞で力強く哀愁漂う歌を披露しています。注目なのが、共演陣!アルゲリッチ、キーシン、マイスキーら、超豪華な顔ぶれ。キーシンが、絶美のピアノの音色で哀愁漂う世界へといざなう前奏は、この世のものとは思えぬ美しさ。つづくフックスの歌もキーシンのピアノと非常にマッチしています。アルゲリッチもマイスキー父娘も世界に浸りきった演奏を展開。ちなみにキーシン、アルゲリッチ、マイスキーが歌手と共演した演奏のCD登場は初です。注目ポイント満載の1枚です!
このアルバムタイトル「Ver Bin Ikh?」はイディッシュ語であり、英語で言えば「Who am I?」とのこと。17トラック目にこのタイトル曲が収録されている。イディッシュ語の単語自体はドイツ語に似ている。イディッシュ語は古来はヘブライ文字を用いていたが、ITが普及した昨今ではラテン文字=普通のアルファベット26字を用いて表記することが当たり前になりつつあるようだ。Google翻訳のイディッシュ語はいまだにヘブライ文字セットだけが使用可能で、ラテン→ヘブライ文字の転写ができず翻訳は困難だ。それでも、ライナーノートには各曲の主要な意味が英語で解説されているのでそれを頼りに楽しんで聴ける。
曲想はどれもが哀愁に満ち溢れていてどこかノスタルジック、そして力強い。ミリアム・フックスの訛(だみ)声がなんとも言えない悲哀をそそる。ディアスポラたちはイスラエル起源のユダヤ人にして何世紀にも渡り広域ヨーロッパで離散して暮らしてきた。市民権を得たのは近現代に入ってからであり、彼らが舐めてきた辛酸や塗炭の苦しみの人生は想像を絶するものがある。そういったイディッシュたちのユダヤの歌は心の襞の非常に深い場所から発せられる慟哭なんだと思う。いつの日か祖国イスラエルを失地回復し、そしてそこへ帰る日を思い描きながら世代を継ぎながら伝承してきた悲しい叫び、歓喜、希望・・、そういった割り切れない情感がないまぜとなって現れているのがクレズマーなのだろう。
音楽的には土着臭が強くて、上に引用したようにエディット・ピアフが歌ったシャンソンほど洗練された雰囲気は殆どない。だが、訥々と情感表現するさびの部分や時折出現する希望の光を連想する部分においてはシャンソン的なインスピレーションがないわけではない。そして力強さは寧ろスラブ系やロマ(ジプシー)との類似性が強いと思われる。舞曲が由来と思われるタイプの曲ではアルゼンチン・タンゴ(=ピアソラ的)のような韻を踏むパートもあり、確かにバリエーションとしては広範にわたる。
日本における心の歌というと、第一に演歌を想起するのであるが、べたべたの演歌とは似ても似つかない洗練された曲展開と歌唱で、クレズマーは欧州の随所で見られる土着系と類似と思われるもの。しかし戦後昭和の三人娘、即ち、江利チエミ、美空ひばり、雪村いづみ が活躍したころに似た仄暗いエナジーが感じられる。勿論、旋律も和声もかなり違うのであるが。このアルバムの個々の曲についてはどれもが素晴らしく、聴いてみるしかないと言っておこう。
キングインターからの引用にある通り、フックスの脇を固めるパーソネルがもうあり得ないほどに充実している。※2 特にアルゲリッチとその仲間たちを幅広く招集できるのがavantiという私家レーベルの特徴と強み。こんなにオールスターを集めた世俗歌謡曲集というのは前代未聞だと思う。一応、以下に純クラシックで著名な共演者のリストを掲げておく。
※2
古舘由佳子さんの見立てでは、フックスがロビー・ラカトシュに心酔・リスペクトした関係で、ラカトシュの知己であるアルゲリッチやマイスキーが参集したのでは、とのこと。
アリッサ・マルグリス(Vn)
ミッシャ・マイスキー(Vc)
エフゲニー・キーシン(Pf)
ポリーナ・レシェンコ(Pf)
アレクサンダー・グルニング(Pf)
リリー・マイスキー(Pf)
マルタ・アルゲリッチ(Pf)







avanti classic 5414706-10352、SACDハイブリッド。録音は少し前で、2013年11月/2014年2, 3, 5月。ベニューは Studio Dada, Brussels, Studio Acoustic Records, Brussels, Salle Adyar, Parisと分散している。
音質だが、トラック間の差異は少ない。但し、器楽編成が曲ごとにかなり異なるため同じに聴こえるトラックは殆どなく、各々が個性的だ。
この盤はSACDレイヤーで聴くと、フックスの歌の語尾に含まれる独特の小さな破裂音や共演者たちの微妙な息遣いなどプレゼンスが異様に生々しく収録されているのが確認できる。CDレイヤーだとその辺のフレーバーが小さく整理されてしまい、まとまりという点においては良いが普通のボーカルものになってしまう。全体的なクォリティとしては avanti classic特有のささくれ立った臨場感が満喫できるものとなっている。いつものことながらこのレーベルは面白い録音を提示してくる。

♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2015-06-22 23:43
| Vocal
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タイトル : バッハとヘンデルの音楽性の違いを考える
ヘンデル『メサイア』Handel "Messiah" 年末のクラシック音楽といえば「第9」を聞く人が圧倒的に多く、コンサートも「第9」一色の感があります。しかし私は、年末に「第9」を聴きたいと思ったことは一度もありません。私にとって年末に聴きたい音楽といえば迷わず「メサイア」で、過去に通算5回「メサイア」を聴いています。意外に12月の「メサイア」のコンサートは少なく、唯一時間的に聴くことができるのがこのサントリーホールの演奏です。... more
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