2015年 05月 25日
Franck: Sonata for Vn & Pf Etc@Renaud Capucon, Khatia Buniatishvili |
エラートの昨秋のリリースから、バックログとなっていたもう一枚のフランク。今や中堅のトップスターと目されているルノー・カピュソンと新星のごとくスターダムにのし上がったカティア・ブニアティシヴィリのデュオ。

http://tower.jp/item/3682423/
Franck: Sonata for Violin & Piano in A major
Grieg: Violin Sonata No.3 in C minor, Op.45
Dvorak: Romantic Pieces (4) for Violin & Piano, Op.75
Renaud Capucon (Vn) & Khatia Buniatishvili (Pf)
フランク: ヴァイオリン・ソナタ イ長調
グリーグ: ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調Op.45
ドヴォルザーク: 4つのロマンティックな小品Op.75
ルノー・カピュソン(Vn)
カティア・ブニアティシヴィリ(Pf)
ルノー・カピュソンはここでは従来からカプソンと表記してきたが、カピュソンが正しいそうなので今後はそちらで統一する。ということは弟のゴーティエに関してもカピュソンが正しいということ。ブニアティシヴィリに関してはソニー・クラシカル専属であるためエラートがレンタルして実現した録音ということになる。
結論から言うと、ここ数年のフランクVn&Pfソナタの新録音の中では間違いなく最右翼に入る出来栄えで本当に素晴らしい演奏。いや、ここ数年に限らずとも、巨匠時代からの名演と呼ばれる演奏と比較しても勝るとも劣らない現代センスによる優秀演奏であると評価できるだろう。技巧面は勿論のこと、エモーショナルなインサイト、随所に見られる丹念な磨き込みと息を飲むアーティキュレーション、そして、なんといってもダイナミズムに溢れる演奏設計上の構築美が秀逸で、これは非の打ち所がない。
ルノー・カピュソンはルガノの常連であり今まで数多くの演奏を聴いてきたので今更彼の特徴を論うことはしないが、メゾ~コントラルト帯域を想起させられるような女声に似た襞の深いヴィブラート、ナチュラルなテンポ・ルバートを駆使したメロディアスでスウィーティーな演奏が特徴だ。前回取り上げたリサ・ジェイコブスが割と彫りの浅い直進的な持続音だったのに対し、ルノー・カピュソンのVnはまさに揺蕩う独唱と比喩すべきスケールの大きな柔らかい表現幅を聴かせている。
このフランクのもう一つの特徴はカティアのピアノにあって、それが仄暗くも深い洞察と強い動機をもってカピュソンの幻想的なソロを堅固に下支えしているということ。2楽章では抑制的な第1主題から、暫し後に出現する第2主題では一転して怒涛の情感表出、そして3楽章レチタティーヴォにおけるやるせない弾き回しについても隙がないくせに艶を乗せることも忘れておらず、カピュソンのふっくらとしたスケールどりに更なる膨らみを与えていて翳が濃い。そして終楽章のコーダに至る一連のパートでは両者、特にブニアティシヴィリのテンペラメントが断続的に狂おしく炸裂、なんとも悩ましく豊満かつ妖艶なトゥッティなのだろうか。
個人的にはこの作品はVnとPfは対等の関係性を維持して演奏すべしと常々思っている。そういった観点においてはこの演奏はどちらかが一方的に主導権を握るという主従の関係ではなく、互いの立ち位置を互いに尊重したコーペラティブな建て付けとなっていることから理想的と評価する。ま、カピュソンが主導権を力ずくで得ようとしたところで我の強いカティアがそれを許容するはずもないのであろうが。一線級のソリスト二人が高度に協調するとここまで隈取の強い素晴らしい演奏が出来上がるということだ。
フィルアップにはグリーグとドヴォルザークの作品を持ってきている。フランクのイ長調ソナタにはフォーレやRシュトラウス、ドビュッシー、ブラームス、シューマンあたりの正統ロマン派Vnソナタ、あるいはロシア系であればショスタコVnソナタなどをカップリングする例がポピュラーだと思うのだが、この盤のような民族楽派を並べたケースはあまり見たことがない。
実際に聴くとそんなに悪くはないけれども、イ長調ソナタとの文脈の連続性が殆どなくて唐突感がある。ただ、この二人はルガノやラ・フォル・ジュルネでのデュオ経験が多く、かつその中で良く演奏していた実績ある曲たちだそうで手堅いところでフィルアップしたということなんだろう。これらの楽想はイ長調ソナタとはまるで異なるものだが、それでも二人は非常に巧者であり協調性も抜群だ。因みに、最後に位置する4つの小品は肩肘の力が抜けた実に楽しく良い演奏。
(録音評)
Erato 2564625018、通常CD。録音は2014年4月28-30日、ベニューはAuditorium Campra, Conservatoire Darius Milhaud, Aix-en-Provenceとある。くっきりとした音の通るホールで、なおかつアンビエントが豊かな空間に二人がぽっと浮いた格好で熱演を展開する姿が明瞭に描き出されている。エラートの従来からの音作りとは少し違っていて現代的な立体三次元的な空間構築はかなりハイセンスな録り方だ。イ長調ソナタのファン、カピュソンのファン、また妖艶なカティアのピアノを聴きたいというファンにはお勧めの一枚。音もかなり良いのでオーディオファンにもお勧めだ。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

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Franck: Sonata for Violin & Piano in A major
Grieg: Violin Sonata No.3 in C minor, Op.45
Dvorak: Romantic Pieces (4) for Violin & Piano, Op.75
Renaud Capucon (Vn) & Khatia Buniatishvili (Pf)
フランク: ヴァイオリン・ソナタ イ長調
グリーグ: ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調Op.45
ドヴォルザーク: 4つのロマンティックな小品Op.75
ルノー・カピュソン(Vn)
カティア・ブニアティシヴィリ(Pf)
ルノー・カピュソンはここでは従来からカプソンと表記してきたが、カピュソンが正しいそうなので今後はそちらで統一する。ということは弟のゴーティエに関してもカピュソンが正しいということ。ブニアティシヴィリに関してはソニー・クラシカル専属であるためエラートがレンタルして実現した録音ということになる。
結論から言うと、ここ数年のフランクVn&Pfソナタの新録音の中では間違いなく最右翼に入る出来栄えで本当に素晴らしい演奏。いや、ここ数年に限らずとも、巨匠時代からの名演と呼ばれる演奏と比較しても勝るとも劣らない現代センスによる優秀演奏であると評価できるだろう。技巧面は勿論のこと、エモーショナルなインサイト、随所に見られる丹念な磨き込みと息を飲むアーティキュレーション、そして、なんといってもダイナミズムに溢れる演奏設計上の構築美が秀逸で、これは非の打ち所がない。
ルノー・カピュソンはルガノの常連であり今まで数多くの演奏を聴いてきたので今更彼の特徴を論うことはしないが、メゾ~コントラルト帯域を想起させられるような女声に似た襞の深いヴィブラート、ナチュラルなテンポ・ルバートを駆使したメロディアスでスウィーティーな演奏が特徴だ。前回取り上げたリサ・ジェイコブスが割と彫りの浅い直進的な持続音だったのに対し、ルノー・カピュソンのVnはまさに揺蕩う独唱と比喩すべきスケールの大きな柔らかい表現幅を聴かせている。
このフランクのもう一つの特徴はカティアのピアノにあって、それが仄暗くも深い洞察と強い動機をもってカピュソンの幻想的なソロを堅固に下支えしているということ。2楽章では抑制的な第1主題から、暫し後に出現する第2主題では一転して怒涛の情感表出、そして3楽章レチタティーヴォにおけるやるせない弾き回しについても隙がないくせに艶を乗せることも忘れておらず、カピュソンのふっくらとしたスケールどりに更なる膨らみを与えていて翳が濃い。そして終楽章のコーダに至る一連のパートでは両者、特にブニアティシヴィリのテンペラメントが断続的に狂おしく炸裂、なんとも悩ましく豊満かつ妖艶なトゥッティなのだろうか。
個人的にはこの作品はVnとPfは対等の関係性を維持して演奏すべしと常々思っている。そういった観点においてはこの演奏はどちらかが一方的に主導権を握るという主従の関係ではなく、互いの立ち位置を互いに尊重したコーペラティブな建て付けとなっていることから理想的と評価する。ま、カピュソンが主導権を力ずくで得ようとしたところで我の強いカティアがそれを許容するはずもないのであろうが。一線級のソリスト二人が高度に協調するとここまで隈取の強い素晴らしい演奏が出来上がるということだ。
フィルアップにはグリーグとドヴォルザークの作品を持ってきている。フランクのイ長調ソナタにはフォーレやRシュトラウス、ドビュッシー、ブラームス、シューマンあたりの正統ロマン派Vnソナタ、あるいはロシア系であればショスタコVnソナタなどをカップリングする例がポピュラーだと思うのだが、この盤のような民族楽派を並べたケースはあまり見たことがない。
実際に聴くとそんなに悪くはないけれども、イ長調ソナタとの文脈の連続性が殆どなくて唐突感がある。ただ、この二人はルガノやラ・フォル・ジュルネでのデュオ経験が多く、かつその中で良く演奏していた実績ある曲たちだそうで手堅いところでフィルアップしたということなんだろう。これらの楽想はイ長調ソナタとはまるで異なるものだが、それでも二人は非常に巧者であり協調性も抜群だ。因みに、最後に位置する4つの小品は肩肘の力が抜けた実に楽しく良い演奏。
(録音評)
Erato 2564625018、通常CD。録音は2014年4月28-30日、ベニューはAuditorium Campra, Conservatoire Darius Milhaud, Aix-en-Provenceとある。くっきりとした音の通るホールで、なおかつアンビエントが豊かな空間に二人がぽっと浮いた格好で熱演を展開する姿が明瞭に描き出されている。エラートの従来からの音作りとは少し違っていて現代的な立体三次元的な空間構築はかなりハイセンスな録り方だ。イ長調ソナタのファン、カピュソンのファン、また妖艶なカティアのピアノを聴きたいというファンにはお勧めの一枚。音もかなり良いのでオーディオファンにもお勧めだ。
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by primex64
| 2015-05-25 22:54
| Solo - Vn
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