(5月1日のランチ日記)母親が用事があって車で出かけるという。殆ど行ったことのない場所ゆえナビゲーターとして同行せよとのこと。富山市の西側に位置する呉羽丘陵を越えた辺り(=呉西地区という)に馴染みはないそうで、たまにしか帰らない私も不案内なのだが。
一つ目の用事を足して二つ目は八尾町。おわら風の盆で有名な、山間部に位置する坂の街。富山の市街地から向かうのは簡単だが、呉西地区の田舎から市街地に戻らず行こうとすると狭い旧街道を経由する必要があって難しそう。ちょうどお昼に掛かったが朝食は遅かったので軽めに食べようかと話しながら車を走らせていた。

すると、富山大学医学部附属病院の手前に懐かしい名前を書いた看板が。「珈琲店 たかなわ」とある。この店は私が高校進学した年か、あるいはその前の年あたりに創業したと思われ、学校から富山の中心部を流れる松川沿いの少し下ったところにあった。本当はいけないのだが学校帰りに時折立ち寄った記憶がある。

そんな老舗の喫茶店が田んぼと梨畑しかないこんな田舎に支店を出しているとは奇異な感じもしたが、駐車場は入れやすく広々していたので停めて入ることに。裏口から入店すると森閑とした店内には先客はゼロ。初老の店長と思しき男性が一人で切り盛りしている様子。メニューを見るとサンドイッチ、トースト類が充実。

頼んだのは鉄板焼ナポリタンで、フードメニューの中で唯一パン系ではないもの。待つこと暫し、サラダ、鉄板に乗ったパスタが登場。たっぷりのトマトソースを纏い、酸味が効いた昭和の香り漂うこの風味を味わうのは久しぶりという感じだ。発祥の横浜でもここまで懐古趣味的な酸っぱいナポリタンは珍しい。

もっとクタクタに炒めると色が赤から淡いオレンジに変化し、酸味が飛んで甘みが増し横浜洋食のあの味になるのだが、そうなる前に火を止めるとこの懐かしい甘酸っぱい味になる。これはこれでありなのだ。ベーコンやピーマン、玉ねぎ、マッシュルームなどがごろごろ入っていてこれもまた昭和ノスタルジー。

コーヒーはキーコーヒー製とすぐにわかる浅煎りで、コロンビアが主体となる丸い酸味を帯びたブレンド。仄かな香りとしっかり抽出された味はサイホンで淹れた珈琲の特徴がよく出ている。首都圏の街角で青色のKEY COFFEEのロゴを見かけることはまずなくなったが、こういった田舎に来るとまだ健在というわけだ。

珈琲店 たかなわ 古沢店
富山市古沢672-4
電話: 076-434-1650
営業: 10:00~22:00(平日)~21:00(日祝)
定休: 木曜
最寄: 富山市ファミリーパーク 8分
JR高山線 婦中鵜坂 40分(3.2km)

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