北陸新幹線 東京-富山 |
そんな父親の墓前に初乗車の感想を報告しようという、半ば自己満足の富山行きを思い立ち、えきねっとで切符をとったのが2週間前。乗るだけなら日帰りで十分だが、折角なので泊って旬の魚を頂くことに。
えきねっとでは指定券をリアルタイムで買える。富山に向かう北陸新幹線の車種は二つで、速達タイプの「かがやき」、それと停車の多い「はくたか」がある。興味本位で朝から晩までの指定席の予約状況を覗いてみた。噂通り全指定席の20~25%程度しか埋まっておらず、殆ど空気運搬状態。例外的に5月3日の下りについてはどの列車も70~80%の指定状況であり、さすがに大型連休には混みあう。それは、北陸新幹線開通以前の上越新幹線・越後湯沢乗換の北越急行線「はくたか」だって連休や盆暮れは満席となるので特段に驚くようなことではないのだが。
東京駅に到着し、東北(秋田・山形)・上越・北陸新幹線のホームへ昇ると帰省客が大挙して列車を待っている。ひときわ注目を集めているのが北陸新幹線の新造車両であるE7/W7系電車。子供連れを中心とした人たちが先頭部に集まり、こぞって写真やビデオを撮影している。
E7/W7系新幹線電車は随分と前に川崎重工や東急車輛などが設計した名車=E2系をベースとして設計製造された北陸新幹線専用車両。従来の長野行き新幹線の「あさま」がE2系8両編成だったのに対し、E7/W7は全列車・車種ともに12両編成としている。現在それほどの乗車ニーズがあるとも思われないが将来を見越してのことか。
先頭車両はマスコミでも露出が多いので既にお馴染み。形状はE2系と500系の中間をとったような、日立のストリームライン形状に近い無難なもの。E5系やN700系に見られる奇抜なアローライン(カモノハシ形状)ではなく、それは、北陸新幹線が新幹線整備法に準拠したいわゆる整備新幹線であることに由来するという。
すなわち、整備新幹線の上限の営業速度は今となっては遅めの260km/hと法律で規制されているため、アローラインのような尖鋭的な形状を要しないということ。世の鉄道マニアからしてみればもっと斬新で驚くような設計が望まれるところであったかもしれないが、まま常識的な線で落ち着いたといえるだろう。
さて、乗車した真新しいE7/W7系は金沢へ向かって最後尾から2両目の普通車=2号車。乗客を目でざっと数えてみたところ15名ほど。確かにこれでは空気を運んでいるといわれても仕方のない状況で少々お寒い。予約したシートは富山に入った時に立山連峰が見えるようにと進行方向左側の窓際E席。荷物を網棚に上げて座る。
左右のシート幅は広く、それに足元もしっかり伸ばしきることができて快適だ。これは東海道山陽のN700などよりも更に広い仕様だ。乗り込む前に覗き込んだ先頭車両のグランクラスとは比較にはならないが普通席でこのゆったり感は破格だ。幅が広いのは東海道山陽と異なって車体傾斜装置が装備されないためだそうだ。
定刻になり、車両は音もなく滑り出す。N700Aも静かだがこのE7/W7も静かで揺れも少ない。
上野駅停車。ここから荒川を渡るまでは時速90km/h程度、戸田から大宮までは最大でも110km/hのゆったりした速度で静かに進む。程なくして音もたてず大宮駅に滑り込んで暫し停車。2号車へ新たに乗り込んでくる乗客はいなかった。
大宮を出発すると最大加速にかかる。モーター音が強く鳴り響くが音自体は軽いのであまり気にならない。揺れも感じるが周期が長くて東海道ほど小刻みでなく気になるものではない。
大宮・高崎間はほぼ真っ直ぐで平坦、かつ東海道が270km/h(今は285km/hへ増速)、こちらが260km/hと、同列での比較はできないが。ちょっと減速して高崎駅構内を通過。
間もなく山間部に入り勾配に差し掛かる頃には再び最大加速となり、安中榛名駅は一瞬で通過。強い登り勾配のトンネルを軽やかに昇り切るともう軽井沢の別荘地。少し減速して軽井沢駅構内を通過、再加速し一路長野駅を目指す。確かにE7/W7の登坂能力はE2系譲りであり余裕が感じられる。
この電車は速度要件が厳しくはないので車両設計の自由度、余裕度は高く、既存新幹線にはないラグジュアリーな乗り心地を備える。長野駅停車。ここからはトンネルが間欠的に続き、上越妙高を通過後、日本海沿いまでは長いトンネルばかりだ。トンネル突入時の衝撃音、トンネル内の騒音の増加も殆どなく快適だ。
視界が開けるとそこは糸魚川の海岸沿い。狭い地面にへばりつく民家を見ながらすぐに駅構内を通過、そしてまたトンネル地帯に差し掛かる。再度視界が開けたところはもう富山平野だ。立山連峰は霞んでいてはっきりは見えず残念だが、天候は良い。
もっとも、立山連峰が頂上付近まで含め、よく見える日は一年でもそうそうないのだが。
黒部宇奈月温泉駅を通過後、窓から写真を撮っていたらゆっくり減速を始め、チャイムが鳴ってあと数分で富山駅到着とのアナウンス。あまりにあっけなく速いので驚く。列車は高架のまま富山市街地へとゆっくりと進入。真新しい富山駅の駅舎へと吸い込まれる。衝撃もなく静かに停止。富山は1分停車なのでゆっくりと降車。東京方面の端の2号車だったためエスカレーターまでは随分と歩くことに。
新幹線ホームは2面4線で、内側がかがやき、はくたか用、外側が富山・金沢を往復する「つるぎ」というシャトル便の発着専用だ。北陸新幹線開業により並行在来線は第三セクターへと移管され、富山始発で関西・中京方面へ向かう特急は全廃された。そのため利用客を始発の金沢へと運ぶ必要が生じ、「つるぎ」が新設された。
つるぎは、東京・金沢便の運行ダイヤを縫う格好で1時間に1~2本が設定され、富山・金沢間を全車種合わせて1時間3本程度を確保するよう編成される。富山を出ると新高岡、終点金沢で所要時間にして22~23分。かがやきは新高岡は基本通過で金沢まで19~20分で走り抜ける。なお、組成はE7/W7の12両で他と共通となっている。
富山駅から実家へは徒歩でも15分ほどの距離だが、母親が車で迎えに来てくれていた。駅の周辺は整備が終わっておらず駐車場が遠いため、歩いて車まで行き、乗り込んで出発するまでだいぶ時間がかかる。たぶん、歩いたほうが実家までは速く着くと思われる。
(続く)
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