2015年 03月 01日
Scandale: Alice Sara Ott, Francesco Tristano |
昨秋のDGの新譜から、ASOことアリス紗良オット、およびクロスオーバーな若手人気ピアニスト=トリスターノによる2台4手連弾集でスキャンダルと銘打ったアルバム。なお、ASOも日系ドイツ人の著名ソリストであり、今回がその3回目にして最後。

http://tower.jp/item/3663038/
Scandale: Alice Sara Ott // Francesco Tristano
Tristano: A soft shell groove
Stravinsky: The Rite of Spring, piano duet version
Rimsky Korsakov: Scheherazade, Op.35
- The Legend of the Kalendar Prince, arr. for four hands
Ravel: La Valse, for two pianos
Alice Sara Ott (Pf, Steinway D-274)
Francesco Tristano (Pf, YAMAHA CFX)
アリス=紗良・オット & フランチェスコ・トリスターノ / スキャンダル
・トリスターノ: ア・ソフト・シェル・グルーヴ
・ストラヴィンスキー: 春の祭典
・R=コルサコフ: カランダール王子の物語(シェエラザードから)
・ラヴェル: ラ・ヴァルス
アリス=紗良・オット(ピアノ)
フランチェスコ・トリスターノ(ピアノ)
これは秋口に出たユーロ発のインターナショナル・リリース盤だが、アジア地域ではこれに先駆けて5月には発売となっていた。その一か月後、日本を皮切りにアジア各地で本プログラムによるリサイタルが挙行された。その模様はWebにそこそこ掲載されているので興味ある人は調べてみてほしい。ASOとトリスターノはこのスキャンダル・プロジェクトを引っ提げて、目下世界ツアーの真っただ中で忙しい日々が続いているんだそうだ。またアルバムタイトルの「スキャンダル」とはなんたるかなど、この辺の経緯はAll aboutのASOの特集に詳細なインタビュー記事が掲載されているので説明はそちらに譲る。
全く期待せずに聴き始めたのだが、これが意外に健闘していて面白い。ア・ソフト・シェル・グルーヴはクラシックではなくて、ラップのアプローチによるミニマル音楽に分類される作品で、トリスターノがこのプロジェクト向けに書いた連弾用オリジナル曲。聴きようによってはキース・ジャレットのような雰囲気。気のせいか、こういったインフォーマルな曲を弾いているASOはなぜか生き生きしている。結構いい出来栄えだ。
このプロジェクトのメインと思われるハルサイだが、トゥッティを除き割と離散的で音価が疎(まば)らな印象だ。もともとASOは左手の打鍵圧がか細くそこが課題と思っていたが、この盤では連弾の低域パートをトリスターノが担当しているせいかその辺は目立たない。しかし、それでも全体的に音数が少なく感じられ、トリスターノもまた剛健なタッチ/サウンドで鳴らすピアニストではないのかもしれない。特にハルサイは持続音というよりかは強いインパルスを連続打鍵することで成り立っているトランスクリプションゆえ、こういったスタティックで細身な弾き方では迫力に今一つ欠ける。昨今では5台10手連弾によるThe 5 Brownsの演奏、独奏にして連弾並みの音数を誇るジョルジュ・プルーデルマッハーの演奏を聴いて印象深かったので尚更離散的に聴こえたということかもしれないが。
次のシェエラザードのカランダール(カレンダー)王子の物語にしても同様で、やはり離散的で音数は多くはない。不運なことにこの盤を聴く直前に同じ曲をインマゼール指揮アニマ・エテルナの重厚なピリオド演奏で聴いてしまっていて、その脳内定位が解除されないうちにASO盤を聴いたものだから余計に薄口に感じてしまったのであろうか。
この盤の中で一番出来が良いのがラ・ヴァルスだ。この作品は前者二つの特徴であったインパルス応答の反復的点描ではなく、アナログ的なスケール遷移による重ね塗りの面描写が特徴となるため、この二人の細身な弾き方であってもジャストフィットするようだ。このピアノ・トランスクリプション版についてはいくつか印象に残っているものがある。連弾ではなくて独奏版ではヌーブルジェのサントリー・ライブが呪術的・神憑り的な超絶技巧、ちょっと前のルガノでのアルゲリッチ/ティエンポの連弾が野太く大きな構図で良かったが、ASO/トリスターノのこの演奏も繊細かつ優雅で、なかなか行けている演奏だ。
(録音評)
DG 4793541、通常CD。録音は2013年9月、ベルリンのTeldex Studio。録音エンジニアにはTobias Lehmannとあり、即ちTeldex Studio Berlinが録音からマスタリングまでを一貫して担当したということ。従って今回に関してはエミール・ベルリーナの名はクレジットされていない。音質はいかにもテルデックスという透過性の高いものであり、音像定位は小さめ、音場展開も割と深いほうで、DG盤として良好なたぐいだ。ヤマハの新鋭CFXの野太い低音を特徴づけるためには、出来れば低域をこんなにカットせずもう少し伸ばしてほしかったところだが、トリスターノの強烈な足踏みなどノイズが随所に盛大に入っているので致し方ないところか。音楽的にはちょっと変わった試みであり、また録音品質としてもまずまず優秀なのでピアノ好きなオーディオファンへはそこそこお勧め。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3663038/
Scandale: Alice Sara Ott // Francesco Tristano
Tristano: A soft shell groove
Stravinsky: The Rite of Spring, piano duet version
Rimsky Korsakov: Scheherazade, Op.35
- The Legend of the Kalendar Prince, arr. for four hands
Ravel: La Valse, for two pianos
Alice Sara Ott (Pf, Steinway D-274)
Francesco Tristano (Pf, YAMAHA CFX)
アリス=紗良・オット & フランチェスコ・トリスターノ / スキャンダル
・トリスターノ: ア・ソフト・シェル・グルーヴ
・ストラヴィンスキー: 春の祭典
・R=コルサコフ: カランダール王子の物語(シェエラザードから)
・ラヴェル: ラ・ヴァルス
アリス=紗良・オット(ピアノ)
フランチェスコ・トリスターノ(ピアノ)
これは秋口に出たユーロ発のインターナショナル・リリース盤だが、アジア地域ではこれに先駆けて5月には発売となっていた。その一か月後、日本を皮切りにアジア各地で本プログラムによるリサイタルが挙行された。その模様はWebにそこそこ掲載されているので興味ある人は調べてみてほしい。ASOとトリスターノはこのスキャンダル・プロジェクトを引っ提げて、目下世界ツアーの真っただ中で忙しい日々が続いているんだそうだ。またアルバムタイトルの「スキャンダル」とはなんたるかなど、この辺の経緯はAll aboutのASOの特集に詳細なインタビュー記事が掲載されているので説明はそちらに譲る。
全く期待せずに聴き始めたのだが、これが意外に健闘していて面白い。ア・ソフト・シェル・グルーヴはクラシックではなくて、ラップのアプローチによるミニマル音楽に分類される作品で、トリスターノがこのプロジェクト向けに書いた連弾用オリジナル曲。聴きようによってはキース・ジャレットのような雰囲気。気のせいか、こういったインフォーマルな曲を弾いているASOはなぜか生き生きしている。結構いい出来栄えだ。
このプロジェクトのメインと思われるハルサイだが、トゥッティを除き割と離散的で音価が疎(まば)らな印象だ。もともとASOは左手の打鍵圧がか細くそこが課題と思っていたが、この盤では連弾の低域パートをトリスターノが担当しているせいかその辺は目立たない。しかし、それでも全体的に音数が少なく感じられ、トリスターノもまた剛健なタッチ/サウンドで鳴らすピアニストではないのかもしれない。特にハルサイは持続音というよりかは強いインパルスを連続打鍵することで成り立っているトランスクリプションゆえ、こういったスタティックで細身な弾き方では迫力に今一つ欠ける。昨今では5台10手連弾によるThe 5 Brownsの演奏、独奏にして連弾並みの音数を誇るジョルジュ・プルーデルマッハーの演奏を聴いて印象深かったので尚更離散的に聴こえたということかもしれないが。
次のシェエラザードのカランダール(カレンダー)王子の物語にしても同様で、やはり離散的で音数は多くはない。不運なことにこの盤を聴く直前に同じ曲をインマゼール指揮アニマ・エテルナの重厚なピリオド演奏で聴いてしまっていて、その脳内定位が解除されないうちにASO盤を聴いたものだから余計に薄口に感じてしまったのであろうか。
この盤の中で一番出来が良いのがラ・ヴァルスだ。この作品は前者二つの特徴であったインパルス応答の反復的点描ではなく、アナログ的なスケール遷移による重ね塗りの面描写が特徴となるため、この二人の細身な弾き方であってもジャストフィットするようだ。このピアノ・トランスクリプション版についてはいくつか印象に残っているものがある。連弾ではなくて独奏版ではヌーブルジェのサントリー・ライブが呪術的・神憑り的な超絶技巧、ちょっと前のルガノでのアルゲリッチ/ティエンポの連弾が野太く大きな構図で良かったが、ASO/トリスターノのこの演奏も繊細かつ優雅で、なかなか行けている演奏だ。
(録音評)
DG 4793541、通常CD。録音は2013年9月、ベルリンのTeldex Studio。録音エンジニアにはTobias Lehmannとあり、即ちTeldex Studio Berlinが録音からマスタリングまでを一貫して担当したということ。従って今回に関してはエミール・ベルリーナの名はクレジットされていない。音質はいかにもテルデックスという透過性の高いものであり、音像定位は小さめ、音場展開も割と深いほうで、DG盤として良好なたぐいだ。ヤマハの新鋭CFXの野太い低音を特徴づけるためには、出来れば低域をこんなにカットせずもう少し伸ばしてほしかったところだが、トリスターノの強烈な足踏みなどノイズが随所に盛大に入っているので致し方ないところか。音楽的にはちょっと変わった試みであり、また録音品質としてもまずまず優秀なのでピアノ好きなオーディオファンへはそこそこお勧め。
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by primex64
| 2015-03-01 18:45
| Solo - Pf
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