J.S.Bach: Concerto for Ob & Vn BWV1060a Etc.@Lisa Batiashvili |
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Lisa Batiashvili: Bach
Bach, J S:
Concerto for Oboe & Violin in C minor, BWV1060
Cantata BWV156 'Ich steh mit einem Fuß im Grabe': I. Sinfonia
Violin Concerto No. 2 in E major, BWV1042
Sonata for solo violin No. 2 in A minor, BWV1003
Bach, C P E:
Trio in B minor for flute, violin and basso continuo, Wq 143
Bach, J S:
St Matthew Passion, BWV244: Erbarme dich
Lisa Batiashvili (vn)
François Leleux (ob)
Emmanuel Pahud (fl)
Peter Kofler (cem)
Kammerorchester des Bayerischen Rundfunks, Radoslaw Szulc(dir)
リサ・バティアシュヴィリ/バッハ
J.S.バッハ:
(1)オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV1060a
(2)カンタータ第156番《わが片足は墓穴にありて》ヘ長調 BWV156~シンフォニア
(3)ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV1042
(4)無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003
C.P.E.バッハ:
(5)ヴァイオリン、フルートと通奏低音のためのトリオ・ソナタ 変ロ短調 Wq143
J.S.バッハ:
(6)マタイ受難曲 BWV244から「憐れみ給え、わが神よ」
リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
フランソワ・ルルー[オーボエ(1)、オーボエ・ダモーレ(6)]
エマニュエル・パユ[フルート(5)]
セバスチャン・クリンガー[チェロ(5)]
ペーター・コフラー[チェンバロ(5)]
バイエルン放送室内管弦楽団[(1)(2)(3)(6)]
ラドスワフ・ショルツ[コンサートマスター(1)(2)(3)(6)]
リサについて、MusicArenaではソニー・クラシカル時代から準定点観測対象としてきている。というわけで、ソニーとDG、その他、ネゼ=セガンのアルバムのフィルアップに登場したりと割と枚数を多く持っている。ソニー時代にはそれほどの共感を得ていたわけではないが、DG移籍後のブラVnコン w/ティーレマン+SKDあたりからはワールドクラスのロマン派Vnソリストとして着目している。そんなリサがここへきてバッハなんだそうで、なるほどこれらのプログラムによる演奏会の巷間での評判は頗るよろしいようだ。そんななか、集大成的なアルバムをDGから出してきた。録音年月を見ると色々な機会を捉えて録り溜めていたようである。
このアルバムはロマン派アプローチによるバロック演奏の典型例であるが、だからと言って邪道だとか耳触りだけ良くて中身が希薄だ、などの批判はあたらない。しっかりとした骨格でロマン派的にバッハを捉えた好演であり、聴き応えのする出来栄えと言っておこう。但し、Vnソナタ#2 BWV1003についてはダブルストップがまだまだ甘くて全体のフレージングを断片化させず通すのが難しい状況。無伴奏を完璧に踏破するには今しばらく時間と鍛錬が必要と痛感した次第。
それ以外のアンサンブルは思いのほかチームワークが良好であり、掛け合いの妙から綺麗に揃ったアインザッツ、メンバー全員で共有されるアーティキュレーションの流麗さなど、特筆すべき美点がいっぱい見つかるのだ。本題からはずれるが、BWV1006aにおけるもう一挺のソロ楽器であるフランソワ・ルルーが吹くObが主役のリサの立ち位置を奪い取るほどに巧くて美味しくて参ってしまう。ルルーはDECCA時代のムローヴァのアルバムで同じBWV1006aを吹いており、そういった点においては同曲のエキスパートなのかもしれない。因みに、ルルーはリサの夫君である。
ところで、BWV1006aは、著名どころがバッハ作品集を編むときには常套句らしくてだいたい入っており、色々と事例が挙げられる。ヒラリー・ハーンのバッハ・アルバムはちょっと無機質で走り過ぎの感があった。ユリア・フィッシャーのDECCA移籍第一弾はロマン派解釈のライトな内容だったがユリアのVnだけは骨格が太くて良かった。昨今ではレイチェル・ポッジャーのダブル/トリプルのコンチェルト・アルバムが正統派対位法を踏襲した出色の出来栄えであった。しかし、なんといっても辛口で硬派にしてハイエナジーなムローヴァのコンチェルト・アルバムが個人的にはいまだ金字塔だ。このアルバムのBWV1006aはこの中でどれに匹敵するのかというと、それは間違いなくユリアの録音だ。
一般的にも受け入れられやすくて、そこそこアカデミック、そして対位法の楽しさを体現するためには規模感的にも選曲的にも適切な内容の良いアルバムだと思う。
(録音評)
DG 4792479、通常CD。録音は少し古くて、2013年12月 ドイツ、グリューンヴァルト、アウグスト・エバーディング・ホール[(1)(2)(3)]、2014年1月 ミュンヘン、ヒンメルハート教会[(4)(5)]とある。録音はオケの関係からかBR KLASSIK(バイエルン放送)とDGの共同制作であり、BRのロゴがクレジットされている。音質だが、エミール・ベルリーナだけでは成し得ない高い透明度と高解像度が基調となっていて、音調としても暗めで地味なもの。音場空間の捉え方が秀逸でありアンビエント成分も自然で豊かだ。DGのリリースとしては異例の高音質盤だ。
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