雲龍@中華街 |
では、ということで中華街外周をぐるりと回って天仁茗茶のビルの天龍菜館に向かうも店の前の歩道の仮設テーブルまで埋まっていて諦める。仕方ないので善隣門から中央突破で大通りへ。入ってすぐの楽園の前には大行列で、玄関先まで人が溢れている。中山路から関帝廟通りに入る。この通りもクロスする主だったストリートも客で埋め尽くされていて、店はどこもかしこも大行列の様相。
香港路や市場通りの脇の路地も客で溢れ返っていて小さな隠れた店も行列。滅多なことでは行列が出来ない偏屈な徳記の路地にも行列。ひょっとして愛群は?と思ったが、ここも例外ではなくて店舗前に行列。脇から中の女将に聞いたら1階も2階も満杯でいつ空くとも知れないという。もう広東には拘らず目抜き通りから離れるしか手はないと判断し市場通りの延長の元町側へと折れる。
梅蘭本店は長蛇の列。その先には新天地と萬来亭の長蛇の列が見える。ふと梅蘭の向いの雲龍に目をやると行列はない。営業しているかどうか暖簾越しに覗き込むと先客が1組2名だけだ。がらがらと扉を開けてやってますか?と聞くと勿論オーケーとのこと。ラッキーだった。この店は席数が極少なので普段からだいたい駄目なのだが、こんな日に限り穴場となったようだ。
着席してまずはビール、そして巻き揚げの小、家内は生馬(サンマー)麺、私は排骨(パイコー)麺、そして炒飯を一皿頼みシェアすることに。ビールには薄味で風味の良い搾菜が付く。客がいなかったので料理はすぐに出てくる。まず炒飯の友のスープ。混じりけのない麺のスープベースをプレーンでどうぞ、とのこと。鶏ガラが強く香る化調抜きあるいは極僅かで素性のよいスープだ。
熱々の巻き揚げがデリバーされる。豚肉、椎茸、海老、筍などを網脂で巻き衣をつけてさっと揚げた名品。レモンと焼塩が添えられる。素材の味が複雑に溶け合う優しい味で、これをはふはふ言いながら頬張ると至福の時がやってくる。味は薄く付いているが塩をぱらりと振ると引き締まって多元的な風味が更に引き立ち美味しい。巻き揚げにはキリンラガーで決まりだ。
炒飯、排骨麺、サンマー麺と僅かな時間差でもってサーブされる。厨房は一人か二人でやっているはずだが妙に手際が良くて速いのだ。炒飯は期待通りのぱらぱら仕上げで薄味。中華ハムが多量に入っていて塩分を適度に供給し、これが卵コーティングとの相性も抜群で堪らなく進むのだ。器は小さいように見えるが実際には深さがあって分量的にも二人でシェアして丁度良いくらい。
排骨は骨付きの本物に粉をはたいてそのまま揚げ、盛る前にカットしたものだ。因みに写真の右端の長いのが肋骨。これにくっついた肉の滋味が排骨麺の真骨頂で、これを齧りながら食べるのが流儀。カレー風味の排骨は絶品中の絶品で、スープにほんのり揚油とカレーの匂いは移るが基本がしっかりした鶏ガラ風味は全くマスクされない。
細ストレート麺は低加水のぽくぽくしたもので、聞いたらこの先の萬来亭製麺所から取っているという。旨い細麺だ。これに鶏ガラ清湯と排骨の旨みが乗り移って得も言われぬ滋味を形成するのだ。この麺ならばラーメン専門店に十分拮抗しうるクォリティと言える。しかし、この麺のビジュアルはどこかで見たことがある。そう、反町のあの新興名店の一品に似ている。
サンマー麺のスープもこの絶品鶏ガラであり、ベースの品質は同じ。だが、そこへ多種多様の野菜類のエキスが溶け出し、そして醤油と餡で調えられたこの味は横浜元祖の生馬麺を彷彿とさせる、いやそれを凌駕するほどの旨みが堪能できる一品だ。湯麺ならばもうちょっと太い低加水が合うと思うが、硬さが長時間維持されるこのストレート細麺は餡かけの生馬麺には好適だ。
非常に混雑した街の中、空いた店で味わう超満足のランチであった。中華街は非常にディープな世界であり、まだまだ知られていない名店が数多く隠れているのである。
雲龍
横浜市中区山下町132
電話: 045-641-9055
営業: 火水金土: 11:30~14:30、17:00~20:00
日祝: 11:30~20:00
定休: 月、木
最寄: みなとみらい線 元町・中華街駅5分
JR石川町10分
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