2014年 09月 05日
Mendelssohn & Adams: Vn-Cons@Chad Hoopes, Kristjan Jarvi/MDR SO. |
naïveの春の新譜から、新進気鋭のVn奏者=チャド・フープスのデビュー盤。

http://tower.jp/item/3494863/
Mendelssohn: Violin Concerto in E minor, Op.64
J. Adams: Violin Concerto
Chad Hoopes (Vn)
MDR Sinfonieorchester, Kristjan Jarvi
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調op.64
J.アダムズ: ヴァイオリン協奏曲
チャド・フープス(Vn)
ライプツィヒMDR交響楽団 クリスティアン・ヤルヴィ(指揮)
使用楽器:1713年製ストラディヴァリウス《Cooper Hakkert, ex Ceci》
PfやVnの有能な新人に関してはこのところ女流が目立っていたが、ここへ来て刮目すべき若き男子が現れた。チャド・フープスはアメリカのミネアポリス生まれの19歳。彼はYoung Artists Division of the Yehudi Menuhin International Violin Competition 2008(ユーディ・メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門)で優勝している。この時は13歳ということになる。コンサート活動はかなりのキャリアとなるがレコーディング・デビューはまさにこのnaïve盤ということになる。
このデビュー盤のカップリングは実にチャレンジングだ。メンコンについては誰もが知る名曲にして大曲だが、現代曲作家=ジョン・アダムスを入れるとはなんたる冒険だろうか。なぜにこの奇妙なカップリングにしたかについては彼自身はライナーに述べているが、途中からアダムスの述懐と混ざってきていて良くは理解できなかった。それでもそこから引用すると、典型的な3楽章形式であること、あくまでもロマン派的でメロディックであること、そしてアダムスについては自分の出身国であるアメリカの作曲家であること、だそうだ。
メンコンは実にオーソドックスだけれども力があって、かつ繊細。20歳に届かない青年の演奏とはとても思われない堂々たる出来栄えだ。ヴィブラートの襞は割と浅めで厭味はなくて若々しく、音程に影響を与えるほどの揺らぎもないことから過去の巨匠たちの咽び泣くようなお涙頂戴タイプのメンコンではなく現代調の直線性に秀でたソロと言える。但し、楽器の音色はとても柔和かつ朗々と太く際立った美しさ。ストラドのクーパー・ハッカートと読むのであろうか。
オケはMDRで、深くて味のある琥珀色の響きと言っておこうか。この楽壇をリードするのは鋭利で澄明な感性のクリスティアン・ヤルヴィ。彼は実兄のパーヴォ・ヤルヴィの悠然たる巨匠性とは一味違っていて直進性の強い指揮で有名だし、またバランス感覚と穏健さを身上とした父親のネーメ・ヤルヴィとも全く違っていて前衛的、そして鮮烈だ。
アダムスのVnコンは現代曲と言って良いけれども、辛うじて調性が保たれていて拍子は明確。部分的には調性は破綻はしているけれども、すんでのところで調和のとれた和声を取り戻し、危うくも微妙なパッセージと対旋律を繋いでいくというパターンだ。これはジャズ的でもあって、似たものを探すのは難しいが、敢えて言うとアイヴズのプレゼンスの延長線上で規模拡大した感じと言えようか。
このコンチェルトだが、全3楽章で急・緩・急という馴染みある伝統的構成の中に前衛的で多元的な音世界を構築しているのである。こういった解釈の難しい曲を楽に弾き抜けて行くところがフープスの非凡なところであって、このカップリングの意味するところがよく理解出来るのだ。この盤のメインは明らかにアダムスのVnコンであり、これは本当に白眉、快哉を送りたい。
オケのMDRライプツィヒの渋い音色、特に妙に綺麗な弦とアダムスの2楽章が妙にマッチしていてぞくぞくする。そして前述の通り野心的で尖ったクリスティアン・ヤルヴィのリードはこういった現代曲に相応しく、とても嵌っている。アダムスの終楽章で炸裂するエナジーとパワー感はMDR、C.ヤルヴィ、そしてフープスのシナジー効果からか息を呑む鮮烈さ。超お勧めの一枚だ。
(録音評)
naïve V5368、通常CD。録音は2013年11月 MDR スタジオ、ライプツィヒ(Augustusplatz)とある。録音機材に関してはマイク:DPA4006、Neumann M149, TLM170, U87、Schoeps MK4, MK21、プリアンプ&ADC:StageTec 32bit TrueMatch-A/D、編集機:Sequoiaとある。音質の第一印象はちょっと暖色系だが、聴き込むと次第に透徹された空間が眼前に現れて息を呑むリアルさ。スタジオ録りとは思われない広大なサウンドステージが縦横に展開され、幅も奥行も3000人規模のコンサートホールで録られたものと区別はつかないほど。現在のnaïveの品質管理は更に徹底されていて素晴らしいのひとこと。
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Mendelssohn: Violin Concerto in E minor, Op.64
J. Adams: Violin Concerto
Chad Hoopes (Vn)
MDR Sinfonieorchester, Kristjan Jarvi
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調op.64
J.アダムズ: ヴァイオリン協奏曲
チャド・フープス(Vn)
ライプツィヒMDR交響楽団 クリスティアン・ヤルヴィ(指揮)
使用楽器:1713年製ストラディヴァリウス《Cooper Hakkert, ex Ceci》
PfやVnの有能な新人に関してはこのところ女流が目立っていたが、ここへ来て刮目すべき若き男子が現れた。チャド・フープスはアメリカのミネアポリス生まれの19歳。彼はYoung Artists Division of the Yehudi Menuhin International Violin Competition 2008(ユーディ・メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門)で優勝している。この時は13歳ということになる。コンサート活動はかなりのキャリアとなるがレコーディング・デビューはまさにこのnaïve盤ということになる。
このデビュー盤のカップリングは実にチャレンジングだ。メンコンについては誰もが知る名曲にして大曲だが、現代曲作家=ジョン・アダムスを入れるとはなんたる冒険だろうか。なぜにこの奇妙なカップリングにしたかについては彼自身はライナーに述べているが、途中からアダムスの述懐と混ざってきていて良くは理解できなかった。それでもそこから引用すると、典型的な3楽章形式であること、あくまでもロマン派的でメロディックであること、そしてアダムスについては自分の出身国であるアメリカの作曲家であること、だそうだ。
メンコンは実にオーソドックスだけれども力があって、かつ繊細。20歳に届かない青年の演奏とはとても思われない堂々たる出来栄えだ。ヴィブラートの襞は割と浅めで厭味はなくて若々しく、音程に影響を与えるほどの揺らぎもないことから過去の巨匠たちの咽び泣くようなお涙頂戴タイプのメンコンではなく現代調の直線性に秀でたソロと言える。但し、楽器の音色はとても柔和かつ朗々と太く際立った美しさ。ストラドのクーパー・ハッカートと読むのであろうか。
オケはMDRで、深くて味のある琥珀色の響きと言っておこうか。この楽壇をリードするのは鋭利で澄明な感性のクリスティアン・ヤルヴィ。彼は実兄のパーヴォ・ヤルヴィの悠然たる巨匠性とは一味違っていて直進性の強い指揮で有名だし、またバランス感覚と穏健さを身上とした父親のネーメ・ヤルヴィとも全く違っていて前衛的、そして鮮烈だ。
アダムスのVnコンは現代曲と言って良いけれども、辛うじて調性が保たれていて拍子は明確。部分的には調性は破綻はしているけれども、すんでのところで調和のとれた和声を取り戻し、危うくも微妙なパッセージと対旋律を繋いでいくというパターンだ。これはジャズ的でもあって、似たものを探すのは難しいが、敢えて言うとアイヴズのプレゼンスの延長線上で規模拡大した感じと言えようか。
このコンチェルトだが、全3楽章で急・緩・急という馴染みある伝統的構成の中に前衛的で多元的な音世界を構築しているのである。こういった解釈の難しい曲を楽に弾き抜けて行くところがフープスの非凡なところであって、このカップリングの意味するところがよく理解出来るのだ。この盤のメインは明らかにアダムスのVnコンであり、これは本当に白眉、快哉を送りたい。
オケのMDRライプツィヒの渋い音色、特に妙に綺麗な弦とアダムスの2楽章が妙にマッチしていてぞくぞくする。そして前述の通り野心的で尖ったクリスティアン・ヤルヴィのリードはこういった現代曲に相応しく、とても嵌っている。アダムスの終楽章で炸裂するエナジーとパワー感はMDR、C.ヤルヴィ、そしてフープスのシナジー効果からか息を呑む鮮烈さ。超お勧めの一枚だ。
(録音評)
naïve V5368、通常CD。録音は2013年11月 MDR スタジオ、ライプツィヒ(Augustusplatz)とある。録音機材に関してはマイク:DPA4006、Neumann M149, TLM170, U87、Schoeps MK4, MK21、プリアンプ&ADC:StageTec 32bit TrueMatch-A/D、編集機:Sequoiaとある。音質の第一印象はちょっと暖色系だが、聴き込むと次第に透徹された空間が眼前に現れて息を呑むリアルさ。スタジオ録りとは思われない広大なサウンドステージが縦横に展開され、幅も奥行も3000人規模のコンサートホールで録られたものと区別はつかないほど。現在のnaïveの品質管理は更に徹底されていて素晴らしいのひとこと。
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by primex64
| 2014-09-05 23:02
| Concerto - Vn
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