2014年 06月 08日
Golden Age of Danish Partsongs@Paul Hillier/Ars Nova Copenhagen |
デンマーク国営レーベルであるDacapoからの新譜SACDハイブリッドで、ヒリアー/アルス・ノヴァ・コペンハーゲンによるパートソング集。19世紀中盤から20世紀前半にかけてのデンマーク作家による曲だけで構成している。

http://tower.jp/item/3466725/
The Golden Age of Danish Partsongs
Nielsen:
Min Jesus, lad mit hjerte fa
Sundt Blod. Jeg barer med smil min byrde from FS 70
Underlige aftenlufte (Wondrous Evening Air)
Kuhlau:
Nu lovsalen skygger
O, den skonne, skonne maj (Majsang)
Weyse:
Wandrers Nachtlied - Uber alle Gipfeln ist Ruh
Barcarole (Natten er saa stille)
Lysets Engel gaar med Glans
Hartmann, J P E: from Religious and Popular Poems, Op.86
I varen knoppes en lind sa gron
Jeg ved, jeg corder dig aldrig kaer
Gade, N:
Kong Valdemars jagt 'Paa Sjolunds fagre sletter'
Dronning Dagmars Dod
from Funf Gesange, Op.13
No.2 Die Wasserrose/No.4 Im Herbst/No.5 Im Wald
Laub, T: Stille, hjerte, sol gar ned
Heise, P: Natten var mild og kjar
Schultz, S: Yndigt dufter Danmark
Norholm I: Mine danske kilder, Op.128
De Lette skyer
Wi saais nu
Fugleflokke
Innocens den liggende
Fadet fra Hangchou
Ars Nova Copenhagen, Paul Hillier
デンマークのパートソングにおける黄金時代
カール・ニールセン(1865-1931):
おおわがイエス、わが心を導きたまえ
我は笑顔で重荷に耐える
夕べの空気は奇妙な思いを形作る
フリードリッヒ・クーラウ(1786-1832):
あずま屋が影を作ってくれるように
五月の歌
C.E.F.ヴァイセ(1774-1842):
さすらい人の夜の歌
舟歌
光り輝く明るい天使が降りてくる
J.P.E.ハルトマン(1805-1900): 民謡集 Op.86から
春の時、緑の萌芽
私は決してあなたが愛さないことを知っている
ニルス.W.ゲーデ(1817-1890):
ヴァルデマール王の狩り
デンマーク民謡: 若きダグマールの女王の死(ゲーデ編)
5つの歌曲 Op.13から第2番「蓮の花」、第4番「秋に」、第5番「森にて」
トーマス・ラウプ(1852-1927): 静かなわが心、今日が沈む
ペーター・ハイゼ(1830-1879): 穏やかな最愛の夜
スヴェン.S.シュルツ(1913-1998): デンマークの素敵な香り
イブ・ネアホルム(1931-): 5つの歌 Op.128
光の雲/神は豊かな土壌に/鳥の群れ/無邪気に寝転ぶ/杭州からの一皿
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン/ポール・ヒリアー(指揮)
パートソングとは、ホモフォニーによる合唱曲の形式の一つである。ホモフォニーとは普段から余り耳にしない形式と思われるが、要するに平たく言うと最高音部(=大概はソプラノ・パート)が主旋律をとって、他が和声部を歌って支えるというアカペラの楽曲形式。ホモフォニーに対する用語としては、まずポリフォニーが有名な言われ方であって、これは対位法のような対旋律部が存在するという定義だし、モノフォニーは独唱(ソロ)、またはユニゾンということになる。
ニールセンとクーラウ以外は初めて目にする作家たちで、勿論彼らの作品を聴くのも初めて。デンマークからは日常的世界的に愛聴される曲を書いた作家は輩出されていないので仕方のないことかもしれないが。恐らくはその点にヒリアー/Dacapoレーベルの狙いがあって、事実上埋もれてしまっている彼らの作品、また彼らそのものを発掘して世に出していきたいということなのだろう。
ニールセンの作品は宗教的な祈りに近い色の感じられる静かな作品である種の重厚さも感じられる。ハルトマンの作品はシンプルながら明晰な和声が美しく響く佳作。ゲーデの作品は抑揚の付いたナラティブな歌曲であり深く浸透する情感が特徴。それぞれに特徴や形質はあるけれども冒頭のニールセン~スヴェン.S.シュルツまでは全体を通じて素直で捻りがなく、そして殊更に透明度が高く、そして美しい長調の協和音で構成されていると言って良いだろう。デンマークのその頃の音楽的な趨勢がこうであったのか、と、よく理解できる。
例外的なのは最後部に入っている存命の作家=イブ・ネアホルムの5つの歌 Op.128という作品で、これは曲そのものが前衛的で技巧的、そして演奏(合唱)としても非常に美しくて巧いのだ。現代作家でいうならばオケゲム、ヴォルフガング・リーム、リゲッティ、アルヴォ・ペルトの作風に似通ったところがあって、独特の浮遊感と空間感が含まれている。和声的にも増4度、減6度など合唱として扱うにはちょっと難しいコード進行を示す部分が多い。そして、唱法としてはホモフォニックというよりかは基本はポリフォニーであって、部分的にソプラノパートが単一旋律を刻む場面がある程度。一度聴くと脳裏に残像のように焼き付いてしまい、ついつい同じトラック群を何度も聴きたくなってくるという麻薬的な魅力がある。
(録音評)
Dacapo 6.220568、SACDハイブリッド。録音時期は割とまちまちで、ニールセン、ヴァイセ、ネアホルムが2011/5/19~20、残りが2012/28,30,31、場所はいずれもGarnisons Kirke, Kobenhavn, Denmark(コペンハーゲンのガルニソン教会)とある。録音担当はTimbreMusic社、プロデューサー/エンジニア:Preben Iwan、マイク:DPA 4006TL×3、DPA 4011TL×2、機材:DAD AX24、Pyramix DAW、Tango ControllerによるDXD録音(352.8kHz/32bit相当)となっている。尚、モニターはB&W 802 Diamondとのクレジットがある。
音質だが、これこそがPCMでは成し得ない真のビットストリーム(DXDやDSDフォーマット)による肌触りを体現した最高音質であり、さすがと言わざるを得ない。音や残響の傾向としてはHarmonia Mundi USAのくっきりとした少々硬質なDSD録音よりも柔らかなシルクのような質感であるが、両者のクォリティ差は殆どない。昨今台頭してきている超高性能ビットマッピングCD-DAと勝負してもこれならば負けることはまずないだろう。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3466725/
The Golden Age of Danish Partsongs
Nielsen:
Min Jesus, lad mit hjerte fa
Sundt Blod. Jeg barer med smil min byrde from FS 70
Underlige aftenlufte (Wondrous Evening Air)
Kuhlau:
Nu lovsalen skygger
O, den skonne, skonne maj (Majsang)
Weyse:
Wandrers Nachtlied - Uber alle Gipfeln ist Ruh
Barcarole (Natten er saa stille)
Lysets Engel gaar med Glans
Hartmann, J P E: from Religious and Popular Poems, Op.86
I varen knoppes en lind sa gron
Jeg ved, jeg corder dig aldrig kaer
Gade, N:
Kong Valdemars jagt 'Paa Sjolunds fagre sletter'
Dronning Dagmars Dod
from Funf Gesange, Op.13
No.2 Die Wasserrose/No.4 Im Herbst/No.5 Im Wald
Laub, T: Stille, hjerte, sol gar ned
Heise, P: Natten var mild og kjar
Schultz, S: Yndigt dufter Danmark
Norholm I: Mine danske kilder, Op.128
De Lette skyer
Wi saais nu
Fugleflokke
Innocens den liggende
Fadet fra Hangchou
Ars Nova Copenhagen, Paul Hillier
デンマークのパートソングにおける黄金時代
カール・ニールセン(1865-1931):
おおわがイエス、わが心を導きたまえ
我は笑顔で重荷に耐える
夕べの空気は奇妙な思いを形作る
フリードリッヒ・クーラウ(1786-1832):
あずま屋が影を作ってくれるように
五月の歌
C.E.F.ヴァイセ(1774-1842):
さすらい人の夜の歌
舟歌
光り輝く明るい天使が降りてくる
J.P.E.ハルトマン(1805-1900): 民謡集 Op.86から
春の時、緑の萌芽
私は決してあなたが愛さないことを知っている
ニルス.W.ゲーデ(1817-1890):
ヴァルデマール王の狩り
デンマーク民謡: 若きダグマールの女王の死(ゲーデ編)
5つの歌曲 Op.13から第2番「蓮の花」、第4番「秋に」、第5番「森にて」
トーマス・ラウプ(1852-1927): 静かなわが心、今日が沈む
ペーター・ハイゼ(1830-1879): 穏やかな最愛の夜
スヴェン.S.シュルツ(1913-1998): デンマークの素敵な香り
イブ・ネアホルム(1931-): 5つの歌 Op.128
光の雲/神は豊かな土壌に/鳥の群れ/無邪気に寝転ぶ/杭州からの一皿
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン/ポール・ヒリアー(指揮)
パートソングとは、ホモフォニーによる合唱曲の形式の一つである。ホモフォニーとは普段から余り耳にしない形式と思われるが、要するに平たく言うと最高音部(=大概はソプラノ・パート)が主旋律をとって、他が和声部を歌って支えるというアカペラの楽曲形式。ホモフォニーに対する用語としては、まずポリフォニーが有名な言われ方であって、これは対位法のような対旋律部が存在するという定義だし、モノフォニーは独唱(ソロ)、またはユニゾンということになる。
ニールセンとクーラウ以外は初めて目にする作家たちで、勿論彼らの作品を聴くのも初めて。デンマークからは日常的世界的に愛聴される曲を書いた作家は輩出されていないので仕方のないことかもしれないが。恐らくはその点にヒリアー/Dacapoレーベルの狙いがあって、事実上埋もれてしまっている彼らの作品、また彼らそのものを発掘して世に出していきたいということなのだろう。
ニールセンの作品は宗教的な祈りに近い色の感じられる静かな作品である種の重厚さも感じられる。ハルトマンの作品はシンプルながら明晰な和声が美しく響く佳作。ゲーデの作品は抑揚の付いたナラティブな歌曲であり深く浸透する情感が特徴。それぞれに特徴や形質はあるけれども冒頭のニールセン~スヴェン.S.シュルツまでは全体を通じて素直で捻りがなく、そして殊更に透明度が高く、そして美しい長調の協和音で構成されていると言って良いだろう。デンマークのその頃の音楽的な趨勢がこうであったのか、と、よく理解できる。
例外的なのは最後部に入っている存命の作家=イブ・ネアホルムの5つの歌 Op.128という作品で、これは曲そのものが前衛的で技巧的、そして演奏(合唱)としても非常に美しくて巧いのだ。現代作家でいうならばオケゲム、ヴォルフガング・リーム、リゲッティ、アルヴォ・ペルトの作風に似通ったところがあって、独特の浮遊感と空間感が含まれている。和声的にも増4度、減6度など合唱として扱うにはちょっと難しいコード進行を示す部分が多い。そして、唱法としてはホモフォニックというよりかは基本はポリフォニーであって、部分的にソプラノパートが単一旋律を刻む場面がある程度。一度聴くと脳裏に残像のように焼き付いてしまい、ついつい同じトラック群を何度も聴きたくなってくるという麻薬的な魅力がある。
(録音評)
Dacapo 6.220568、SACDハイブリッド。録音時期は割とまちまちで、ニールセン、ヴァイセ、ネアホルムが2011/5/19~20、残りが2012/28,30,31、場所はいずれもGarnisons Kirke, Kobenhavn, Denmark(コペンハーゲンのガルニソン教会)とある。録音担当はTimbreMusic社、プロデューサー/エンジニア:Preben Iwan、マイク:DPA 4006TL×3、DPA 4011TL×2、機材:DAD AX24、Pyramix DAW、Tango ControllerによるDXD録音(352.8kHz/32bit相当)となっている。尚、モニターはB&W 802 Diamondとのクレジットがある。
音質だが、これこそがPCMでは成し得ない真のビットストリーム(DXDやDSDフォーマット)による肌触りを体現した最高音質であり、さすがと言わざるを得ない。音や残響の傾向としてはHarmonia Mundi USAのくっきりとした少々硬質なDSD録音よりも柔らかなシルクのような質感であるが、両者のクォリティ差は殆どない。昨今台頭してきている超高性能ビットマッピングCD-DAと勝負してもこれならば負けることはまずないだろう。

♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2014-06-08 21:30
| Vocal
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