Dvorak: Vc-Con Etc@Maximilian Hornung,Sebastian Tewinkel/Bamberger SO. |
http://tower.jp/item/3495939/
Saint-Saëns: Suite for Violoncello and Orchestra Op.16
Prelude
Serenade. Andantino
Gavotte. Allegro Non Troppo
Romance
Tarentelle
Dvorák: Concerto for Violoncello and Orchestra in b minor Op.104
Allegro
Adagio, ma non troppo
Allegro Moderato
Saint-Saëns: Romance Op.36
Maximilian Hornung(Vc)
Bamberger Symphoniker, Sebastian Tewinkel(Cond)
サン=サーンス: チェロと管弦楽のための組曲ニ短調作品16
ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調作品104
サン=サーンス: ロマンスヘ長調作品36
マキシミリアン・ホルヌング(チェロ)
バンベルク交響楽団
セバスティアン・テヴィンケル(指揮)
ホルヌングは若年ではあるけれどもあのBRSO(バイエルン放送響)のプリンシパルを務めてきた実力者で、昨今、独立してソロ活動を開始したという人物。彼は今までも数枚はレコーディングはしていたらしいが、これがソニーからのデビュー盤ということになるらしい。他にももう一枚リリースしているらしいがそちらは未聴。
サン=サーンスのニ短調組曲は国内では余り馴染みがないのではなかろうか。サン=サーンスの組曲といえば何といっても動物の謝肉祭があまりにも有名、そしてピアノ伴奏によるチェロ独奏である白鳥は日本国内では知らぬ人が殆どいないほどの名曲となっている。その一方、ニ短調組曲は、明媚な作風で知られるサン=サーンスの作品としては珍しくバロック様式によるシンプルで捻りが少ない単調な造作からか、それほどの演奏機会はない気がする。
また、独奏チェリストの演奏会はそこそこ開かれているものの、ニ短調組曲は元々は管弦楽との中規模アンサンブルとして書かれているため、どうしても他の大規模協奏曲が選ばれてしまって表舞台にはなかなか登場しないのではなかろうか。チェリストのリサイタルでは管弦楽アンサンブル版からサン=サーンス自身が編曲したピアノ伴奏版が弾かれることが稀にあったり、また、ピアノ伴奏版と同時に作成されたという独奏ヴァイオリン版も亜種として存在し、そちらも稀に取り上げられるようだ。ただ、私は実際にこれらの亜種は聴いたことはない。
ホルヌングの演奏は重量感が少ない粒立ちの良い発音ながら、切々とした情感表現にも長けた現代的なもの。ニ短調組曲はややもすればダルな印象と化するが高い集中力と弦のコントロールによって道筋を一本通しているところが秀逸。このオールドファッションドな組曲の最終楽章にあてている珍しいタランテラをハイテンションで弾き抜けているところが印象的。
ドヴォルザークのVcコンは今更ながら云々いうことが憚られる名曲中の名曲だ。あまたの名演奏が現在までに残されている中で、とりわけこの演奏について優劣をつけようとは思わない。バンベルク響のオーケストレーションはちょっと古風であり、この暖色系のサウンドはこの曲が持つ本来の肌合いにマッチしていて秀逸だ。そこに力みのないホルヌングのシルキーなVcが重畳されることで、どこか懐かしい田舎の原風景を見るような安心感が醸されているのだ。
この人のVcは基本的には細身で正確な操弦技巧と、さらさらと突っ掛りなく流れるフランクなスケールが特色。このドヴォコンにおいては彼の爽やかで嫌みのない、そして、ともすれば大袈裟で過度な抒情演出、激しく彫りの深い独奏となりがちなところ、薄味だけれどもぴりっとしたスピード感が貫かれている。緩徐楽章でのメロウな歌い込みは適切であるが、事大がかった大仰なものではなくて速度感重視の引き締まった展開、最終楽章のドライブ感の強いちょっと速足テンポがとてもお洒落で好感度大である。
最近のソニーは若手有望株を多く発掘してくるのがうまく、またコンテンツのプロデュース/アレンジも巧みであってなかなか充実している。そしてこのアルバムもまた例外ではなく、アーティスティックで唸らされる内容となっている。
(録音評)
Sony Classical 88697749252、通常CD。録音は少し古くて2010年11月2日~5日、バンベルク、ヨーゼフ・カイルベルト・ザールとある。このCDの音質だが、たまにソニーが確信犯的にやる古風な調音が施されており、ちょっと暖色系。これは、バンベルク響の古典的な器楽サウンドに音色を合わせたというコーディネートなのかもしれない。しかし、古色蒼然としているのは音色だけで、他の音質要素は基本的には相当優秀な録音なのだ。ホルヌングのVcやオケの器楽配列の音像定位はピンポイントだし、音場展開は奥行方向へブロードに拡がっている。このアルバムは内容的には優れているし音質的にも優れた一枚と言える。
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