2014年 01月 05日
Janacek: Brumes d'Enfance@Accentus, Pieter-Jelle de Boer |
今年の初めはnaiveの新譜から。accentusの新譜は久し振りに聴くのだが、この合唱団は2011年で創立20周年となったそうで、それを機に創始者のエキルベイは気鋭の指揮者に首席の座を譲ったそうである。その彼が初めて企画・指揮した録音になるというヤナーチェクの野心作。

http://tower.jp/item/3282663/
Janacek: Brumes d'Enfance / Mists of Childhood
The Wild Duck
The Dove
Placici fontana (The weeping fountain)
Elegie na smrt dcery Olgy (Elegy on the death of my daughter Olga)
~for four-part choir, tenor soloist and piano
In the Mists
Vlcí stopa The Wolf's Trail
~for female voices, soprano and tenor soloists and piano
Rikadla (Nonsense Nursery Rhymes)
Alain Planès (piano), Lise Berthaud (viola), Raquele Magalhaes (flute),
Romain Champion (tenor) & Caroline Chassany (soprano)
Accentus, Pieter-Jelle de Boer
ヤナーチェク:
・『野鴨』~無伴奏混声合唱のための
・『鳩』~無伴奏男声合唱のための
・『フラッチャニの歌』より『嘆く泉』~ソプラノ、女声合唱、フルートのための
・『娘オルガの死に寄せるエレジー』~テノール、混声合唱、ピアノのための
・『霧の中で』~ピアノ・ソロのための
・『狼の足音』~テノール、女声合唱、ピアノのための
・『戯れ歌』(全19曲)~E.シュタインによる10人の合唱、ヴィオラ、ピアノのための編曲版
アラン・プラネス(ピアノ)
リーズ・ベルトー(ヴィオラ)
ラケル・マガリャエス(フルート)
ロマン・シャンピオン(テノール)
カロリーヌ・シャサニー(ソプラノ)
アクサンチュス(室内合唱団)
ピーター=ジェル・デ・ボエル(指揮)
エキルベイはaccentusの芸術監督を辞したわけではなく、単に後進に道を譲ったというわけでもなさそうで、accentusのWebサイトにはファウンダーとしての彼女の名は依然として残っているし活動も継続されているようだ。だが、エキルベイは2012年にInsula Orchestraというピリオドあるいはロマン派以前の音楽専門のオケを立ち上げたこともあって多忙となり、こういった分業体制に移行したとのことである。
さて、このヤナーチェクであるが、聴くのも初めてだしこういった作品があったことすら初めて知った。恐らくあまり演奏機会もないのではなかろうか。そしてこのアルバムの構成も非常に風変わりだ。今までならば数人のソリストを加えた純粋なアカペラ、または合唱と小規模アンサンブル、あるいは合唱と伴奏ピアノという形態が殆どであったが、このアルバムの場合にはPf、Va、Flといった限定的な独奏楽器、それにSopとTenorの二人のソリストを加えた変則的な合唱となっている。また、途中にはPfの独奏曲「霧の中で」も含まれていて、単なる合唱曲集とは言えない大規模な作品集に仕上がっている。
オランダ生まれのピーター=ジェル・デ・ボエルについては、盤の輸入元のキング・インターが以下のとおり解説している:
1978年オランダ生まれ。アムステルダム音楽院でピアノとオルガンを学ぶ。その後フランスの名オルガニスト、J.ボワイエの目にとまり、リヨン国立高等音楽院へと進学。ここで指揮を学び、2007年に首席で卒業を果たす。2010年のアントニオ・ペドロッティ国際指揮コンクールで注目を集め、これまでにリエージュ国立フィルハーモニー管弦楽団、バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団といったヨーロッパの著名なオーケストラを指揮している。2011年からは、2012年から新たなオーケストラ団体を立ち上げることで多忙となったエキルベイの後任としてアクサンチュスの首席指揮者に就任。結成20周年を迎えた名門に新風を吹かせる逸材として、アクサンチュス共々更なる注目を集めている。
最初の野鴨と鳩はアカペラの合唱であり、特に鳩については野太くも美しく響くコーラスはどこまでも透明で、女声が伴わずしても清廉で嫌味がないのがaccentusの特徴なのだ。そしてフラッチャニの歌(嘆く泉)はSop独唱+女声合唱とフルートの掛け合い曲で、ハーモニーを作るというよりもFlが合いの手を入れる呼吸が絶妙で面白い作品。次の、娘オルガの死に寄せるエレジーはTenor+混声合唱とPfのハーモニーが美しい、非常に静謐な曲で、特にPfの透明感が堪らない。なお、このPfはアラン・プラネスという人が弾いているが、巧さと音楽性の調和が絶妙であり、今は亡きエンゲラーを彷彿とさせるものがある。accentusの伴奏ピアノにはこういったずば抜けた人物が必須であることを改めて思い知る。
アルバムの最後に収録されている戯れ歌は1927年に作曲した民謡からインスパイアされた子供向けの曲集とのことだが、原曲はオカリナや他の木管楽器、子供用の太鼓、Cb、Pfという変則アンサンブルらしい。ライナーによればこの盤はエルヴィン・シュタインという人が編曲した更に縮小されたアンサンブル版で、VaとPfだけという最小構成だ。何とも無邪気というか天衣無縫というか、生き生きとしたaccentusの面々の合唱技法によらない生の歌声(話し声)が印象的な作品群だ。子供をテーマとした曲は世には数多く、著名なところでは子供の領分(ドビュッシー)、子供の情景(シューマン)、マ・メール・ロワ(ラヴェル)、子供の遊び(ビゼー)、動物の謝肉祭(サン=サーンス)などが挙げられる。
しかし、この戯れ歌は民俗色という点においては他の子供を主題とした洗練された作品とは類似性は認められず、とても原始的で土着臭のする曲たちなのだ。この雰囲気の中で何度も繰り返し聴いているうちに、なぜか日本のフレーバーを漂わせる小山清茂作曲「管弦楽のための木挽歌」を連想した。民謡や子供を題材とした民俗曲・土着曲というのは洋の東西を問わず旋律進行と和声の雰囲気が純朴で共通するのかもしれない。いずれにせよ、この風変わりな作品たちを取り上げた新生accentusの新譜は実に鮮烈かつ前衛的な仕上がりなのであった。
(録音評)
naïve V5330、通常CD。録音時期:2013年1月、フランス、ルヴァロワ=ペレ、サル・ラヴェル。プロデューサー: Laure Casenave-péré、トーンマイスター: Thomas Dappeloとのクレジットがある。録音機材: レコーディング・システム: Studio Kalison、マイク: Neumann M149、TLM170、DPA 4003、Schoeps MK21、Pre Amplifier & ADC: Digial Audio Denmark AX24、Editing: Pyramixとある。音質に関しては言うことはない。accentusのいつもの浮遊感が更なる精緻なDADサウンドによってリファインされ、空間情報が数倍に拡大され眼前に展開されるのだ。ソリストたちの息遣い、霊妙なコーラス、そしてピアノの美しい響き、そしてフルートやヴィオラが発する臨場感溢れるビームが居ながらにして楽しめるのはテクノロジーの進化の恩恵であって、今更ながら驚嘆せざるを得ないのであった。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3282663/
Janacek: Brumes d'Enfance / Mists of Childhood
The Wild Duck
The Dove
Placici fontana (The weeping fountain)
Elegie na smrt dcery Olgy (Elegy on the death of my daughter Olga)
~for four-part choir, tenor soloist and piano
In the Mists
Vlcí stopa The Wolf's Trail
~for female voices, soprano and tenor soloists and piano
Rikadla (Nonsense Nursery Rhymes)
Alain Planès (piano), Lise Berthaud (viola), Raquele Magalhaes (flute),
Romain Champion (tenor) & Caroline Chassany (soprano)
Accentus, Pieter-Jelle de Boer
ヤナーチェク:
・『野鴨』~無伴奏混声合唱のための
・『鳩』~無伴奏男声合唱のための
・『フラッチャニの歌』より『嘆く泉』~ソプラノ、女声合唱、フルートのための
・『娘オルガの死に寄せるエレジー』~テノール、混声合唱、ピアノのための
・『霧の中で』~ピアノ・ソロのための
・『狼の足音』~テノール、女声合唱、ピアノのための
・『戯れ歌』(全19曲)~E.シュタインによる10人の合唱、ヴィオラ、ピアノのための編曲版
アラン・プラネス(ピアノ)
リーズ・ベルトー(ヴィオラ)
ラケル・マガリャエス(フルート)
ロマン・シャンピオン(テノール)
カロリーヌ・シャサニー(ソプラノ)
アクサンチュス(室内合唱団)
ピーター=ジェル・デ・ボエル(指揮)
エキルベイはaccentusの芸術監督を辞したわけではなく、単に後進に道を譲ったというわけでもなさそうで、accentusのWebサイトにはファウンダーとしての彼女の名は依然として残っているし活動も継続されているようだ。だが、エキルベイは2012年にInsula Orchestraというピリオドあるいはロマン派以前の音楽専門のオケを立ち上げたこともあって多忙となり、こういった分業体制に移行したとのことである。
さて、このヤナーチェクであるが、聴くのも初めてだしこういった作品があったことすら初めて知った。恐らくあまり演奏機会もないのではなかろうか。そしてこのアルバムの構成も非常に風変わりだ。今までならば数人のソリストを加えた純粋なアカペラ、または合唱と小規模アンサンブル、あるいは合唱と伴奏ピアノという形態が殆どであったが、このアルバムの場合にはPf、Va、Flといった限定的な独奏楽器、それにSopとTenorの二人のソリストを加えた変則的な合唱となっている。また、途中にはPfの独奏曲「霧の中で」も含まれていて、単なる合唱曲集とは言えない大規模な作品集に仕上がっている。
オランダ生まれのピーター=ジェル・デ・ボエルについては、盤の輸入元のキング・インターが以下のとおり解説している:
1978年オランダ生まれ。アムステルダム音楽院でピアノとオルガンを学ぶ。その後フランスの名オルガニスト、J.ボワイエの目にとまり、リヨン国立高等音楽院へと進学。ここで指揮を学び、2007年に首席で卒業を果たす。2010年のアントニオ・ペドロッティ国際指揮コンクールで注目を集め、これまでにリエージュ国立フィルハーモニー管弦楽団、バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団といったヨーロッパの著名なオーケストラを指揮している。2011年からは、2012年から新たなオーケストラ団体を立ち上げることで多忙となったエキルベイの後任としてアクサンチュスの首席指揮者に就任。結成20周年を迎えた名門に新風を吹かせる逸材として、アクサンチュス共々更なる注目を集めている。
最初の野鴨と鳩はアカペラの合唱であり、特に鳩については野太くも美しく響くコーラスはどこまでも透明で、女声が伴わずしても清廉で嫌味がないのがaccentusの特徴なのだ。そしてフラッチャニの歌(嘆く泉)はSop独唱+女声合唱とフルートの掛け合い曲で、ハーモニーを作るというよりもFlが合いの手を入れる呼吸が絶妙で面白い作品。次の、娘オルガの死に寄せるエレジーはTenor+混声合唱とPfのハーモニーが美しい、非常に静謐な曲で、特にPfの透明感が堪らない。なお、このPfはアラン・プラネスという人が弾いているが、巧さと音楽性の調和が絶妙であり、今は亡きエンゲラーを彷彿とさせるものがある。accentusの伴奏ピアノにはこういったずば抜けた人物が必須であることを改めて思い知る。
アルバムの最後に収録されている戯れ歌は1927年に作曲した民謡からインスパイアされた子供向けの曲集とのことだが、原曲はオカリナや他の木管楽器、子供用の太鼓、Cb、Pfという変則アンサンブルらしい。ライナーによればこの盤はエルヴィン・シュタインという人が編曲した更に縮小されたアンサンブル版で、VaとPfだけという最小構成だ。何とも無邪気というか天衣無縫というか、生き生きとしたaccentusの面々の合唱技法によらない生の歌声(話し声)が印象的な作品群だ。子供をテーマとした曲は世には数多く、著名なところでは子供の領分(ドビュッシー)、子供の情景(シューマン)、マ・メール・ロワ(ラヴェル)、子供の遊び(ビゼー)、動物の謝肉祭(サン=サーンス)などが挙げられる。
しかし、この戯れ歌は民俗色という点においては他の子供を主題とした洗練された作品とは類似性は認められず、とても原始的で土着臭のする曲たちなのだ。この雰囲気の中で何度も繰り返し聴いているうちに、なぜか日本のフレーバーを漂わせる小山清茂作曲「管弦楽のための木挽歌」を連想した。民謡や子供を題材とした民俗曲・土着曲というのは洋の東西を問わず旋律進行と和声の雰囲気が純朴で共通するのかもしれない。いずれにせよ、この風変わりな作品たちを取り上げた新生accentusの新譜は実に鮮烈かつ前衛的な仕上がりなのであった。
(録音評)
naïve V5330、通常CD。録音時期:2013年1月、フランス、ルヴァロワ=ペレ、サル・ラヴェル。プロデューサー: Laure Casenave-péré、トーンマイスター: Thomas Dappeloとのクレジットがある。録音機材: レコーディング・システム: Studio Kalison、マイク: Neumann M149、TLM170、DPA 4003、Schoeps MK21、Pre Amplifier & ADC: Digial Audio Denmark AX24、Editing: Pyramixとある。音質に関しては言うことはない。accentusのいつもの浮遊感が更なる精緻なDADサウンドによってリファインされ、空間情報が数倍に拡大され眼前に展開されるのだ。ソリストたちの息遣い、霊妙なコーラス、そしてピアノの美しい響き、そしてフルートやヴィオラが発する臨場感溢れるビームが居ながらにして楽しめるのはテクノロジーの進化の恩恵であって、今更ながら驚嘆せざるを得ないのであった。
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by primex64
| 2014-01-05 22:10
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