Chopin: P-Con#2 Etc.@Khatia Buniatishvili, Paavo Järvi/Orchestre de Paris |
http://tower.jp/item/3140334/
Frédéric Chopin:
Waltz No.7 in C sharp minor, Op.64 No.2
Piano Sonata No.2 in B flat minor, Op.35 'Marche funèbre'
Ballade No.4 in F minor, Op.52
Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21
Mazurka No.13 in A minor, Op.17 No.4
Khatia Buniatishvili (Pf)
Orchestre de Paris, Paavo Järvi(P-Con#2)
フレデリック・ショパン:
1.ワルツ第7番嬰ハ短調 作品64-2
2.ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 作品35「葬送」
3.バラード第4番ヘ短調 作品52
4.ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 作品21
5.マズルカ第13番イ短調 作品17-4
※エクストラ映像として、ショートフィルム(約5分)がCDエクストラで収録
カティア・ブニアティシヴィリ (ピアノ)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団(4)
妖艶で挑発的な表情を浮かべて佇むブニアティシヴィリが何とも印象的なジャケットだが、内容的にも確かに濃密で激しいものがある。冒頭のワルツOp.64-2はハイテンポな入り。ちょっとドライな解釈かと思ったらアゴーギクが激しくて船酔いするかと思うほど揺れる。彼女のこういった曲想は前作のリストPソナタと同系統の解釈であり、この世代のピアニストはモデレートな演奏をする人が多い中、これはこれで特徴的な弾き方と言えるかもしれない。揺れ方はデビュー当時の上原彩子に似ているかもしれないが、エナジー感は若い頃のアルゲリッチに通じるものがあり、とにかくバイタルでエキセントリックだ。
このアルバムにはメインディッシュが二つある。即ちPソナタ2番葬送とPコン2番だ。まずPソナタだが、確かにエキセントリックであるけれども重厚で丁寧な譜読みと解釈。但し演奏は少々荒れ気味で、この作品の場合、特に冒頭楽章においてはアゴーギクよりも極端なデュナーミクのピークで歪が増す傾向にある。指回りは非常に速いのであるが強い打鍵におけるタッチコントロールが今一つ。だが、これはわざとこういったやんちゃな末端処理をしている可能性もあって、強い脳内定位と鮮烈な残像を引く一つの要因とも思われる。全体としてはまずまず優れた演奏と言え、スピード感と重量感の対比が印象深く、そして彫りの深い艶やかな2番ソナタとなっている。
もう一つのメインであるPコンだが、ソロ作品を聴いたうえでの印象を大きく裏切るモデレートで調和性の高い演奏となっている。もうちょっと破天荒で奇想天外なPコンを期待したが、それはいい意味で裏切られた。ブニアティシヴィリはコンサート・ピアニスト、あるいはコンチェルト・ピアニストとしての才能も一流であり、独りよがりに陥ることなく大きな設計の音楽構築にインボルブすることができる人物なのだ。勿論、パーヴォ・ヤルヴィのリーダーシップはずば抜けているし統制の効いたパリ管の美音がベースラインをしっかりと支えているからこそのパフォーマンスではあるのだが。そして、ショパンの協奏曲のオケ・パートがこんなに綺麗でいい旋律と和声の作品だったなんて初めて感じたかもしれない。それくらいパーヴォのリードは傑出している。こんなPコン2番もあるものなのだ、と妙な感慨に耽った。勿論、ブニアティシヴィリの独奏も堂にいって素晴らしいものがあるけれども全体統制としてはパーヴォの支配下にある演奏と言え、もうちょっと彼女を前面に押し出してやっても良かったのではないかと思う次第。
(録音評)
Sony Classical 88691971292、通常CD。録音だが、Pコンは2011年9月13~15日、Salle Pleyel, Paris、残りは2012年3月12~15日、Jesus-Christus-Kirche, Dahlem, Berlinとある。収録されたヴェニューが異なるため、音質もそれなりに違っているが、どちらもCD-DAとしては非常に優れたものがあり、凡庸なSACDはこのクォリティには勝てない。それもそのはず、この録音をプロデュースしているのはAndreas Neubronner、そう、トリトナス・ミュージックプロダクション社のノイブロンナーなのだ。今までMTT/SFSOのマーラーチクルスなども手掛けた実力者で、ソニーでは記憶にあるところではペライアのショパン全集を録っている。独奏ピアノは真新しいスタインウェイであることは間違いがなく、軽いブリリアンスと強靭なスチールフレームの共振音、低音弦の芯が克明に捉えられている。ブニアティシヴィリの高速な指回りと相俟ってピアノそのものの美しい音とスペクタクルを愉しむことができる。一方のPコンは、残響処理が難しいベルリンのイエス・キリスト教会での収録だが、フォーカスが多少甘めであるがまずまず明晰な音像を示し、また音場展開も奥行き方向に広くて申し分ない仕上がりになっている。
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