2013年 06月 19日
J.S.Bach: Partitas & Sonatas for Solo Vn Vol.2@Rachel Podger |
昨日の続きでポッジャーの無伴奏。しかし、これは結構癖になる演奏だ。癖になるまでには会社の往き復りの電車内でずっとiPodで聴いていたのであるが。

http://tower.jp/item/1619665/
Partitas & Sonatas for Violin Solo vol.2
J.S.Bach:
Partita for solo violin No.3 in E major, BWV1006
Sonata for solo violin No.2 in A minor, BWV1003
Sonata for solo violin No.3 in C major, BWV1005
Rachel Podger (Vn)
J.S.バッハ:
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV.1006
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調 BWV.1003
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調 BWV.1005
レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)
携帯メモリプレーヤ、あるいは音楽再生機能の備わったスマートフォンというのは実に便利な道具である。ポッジャーのあるパッセージでふと何かを感じたところを例えばファウストはどう弾いていたのか、ムローヴァはどうだったのか、庄司は、ハチャトリアンは・・、と、疑問に思ったその時、小さいながらも液晶カラーモニタを見ながら瞬時にこれらへ切り替えて同じ個所を何度も聴きかえすことができるのだ。それも、窮屈な電車内で大仰な動作なしにこれらの操作が可能なのだ。
パルティータ3番は澄明で落ち着いた理知的な佳曲だ。ここでのポッジャーは最初のプレリュードとルールに関しては割と温厚で湿潤、そして抑制的な過ごし方だ。しかし、傑作のガヴォットで豹変する。荒れ気味と言えばそうなのだが、実にヴィヴィッドで瑞々しくて、なによりめりはりが効いたひたむきでエネルギッシュな旋律トレースが印象的だ。第1メヌエットはインテンポに戻りモデラートで情感の籠った操弦となる。短めながらゆったり伸びやかに楽器を操る。第2メヌエットもインテンポだがかなり急ぎたそうな気配がむんむん。しかし緩やかさを心掛けて破綻なく過ごす。ところが、ブーレになるとやっぱり我慢できないのかちょっと急ぎ足となる。それでもジーグは抑制気味に持って行って暴れはない状態で終わる。
ソナタ2番の冒頭グラーヴェ~フーガ、そしてアンダンテは瞑想的に律速された緩やかで心落ち着く演奏だ。暴れも歪感も皆無で平坦だが、静かな感動が得られるシーンだ。そして終楽章アレグロでは期せずしてスイッチが入ってしまう。ポッジャーのペザリニウスが冴えわたるのだ。超高速で非常に微細だがダイナミックレンジが広く、そして帯域レンジは超ワイド、そしてノイズ感も歪感も皆無にして暗黒空間を味方につけたような明滅する音たちは得も言われず素敵だ。
ソナタ3番で締めるのは渋い選択と思う。旋律にはどことなく漂う郷愁があり、そしてオブリガートというか対旋律には寂寥感が含まれているところが堪らない。自分の中では名曲中の名曲だと思っているが、地味さが邪魔してか世の中的にはあまり人気がないように思う。地味である反面、楽譜に籠められた音的な要素と要求される演奏技巧の高さはこの曲集では随一であり演奏は非常に難しいと思う。前述のとおりポッジャーは超絶技巧の人でもあり、その辺の曲の造作の複雑さや仕組まれたギミックといった特異な部分を一切強調することなくさらりと弾き切っている。終楽章=このアルバムのラスト=は脈絡なく可憐で軽妙、そして喋々が風の中を舞うような気紛れな不可思議な曲。ポッジャーのパルティータ&ソナタの形質を全て言い表したといっても過言ではない見事なダブルストップが連続して炸裂する。
録音年代的には昨今もてはやされているピリオド系解釈の元祖的な演奏ではなかろうか。勿論、その後になって不世出と言えるようなムローヴァの甘く切ない無伴奏、誰とも全く似ていないファウストが弾くタフでドライな孤高の無伴奏と、かなりの名演が出現しているのが事実であってもなお、このポッジャーの明媚でやんちゃな無伴奏は不変の価値ある演奏と評価される。
(録音評)
Vol.1: CHANNEL CLASSICS CCS 12198、通常CD。1997年12月、1998年4月 ドープスヘジンデ教会,デフェンテル,オランダ
Vol.2: CHANNEL CLASSICS CCS 14498、通常CD。1998年12月、1999年4月 ドープスヘジンデ教会,デフェンテル,オランダ
両者の録音年度には1年の隔たりがあるが音質的には殆ど差異が認められない。また、演奏上の揺らぎもほぼ感じられず、敢えて言うなら2枚目のほうが元気でやんちゃな出来栄えだ。Vn独奏の録音としてはまさに理想と言って良い出来栄えで、アンビエントと直接音のバランス、自然なホールトーンがどこまでも深く奥へと浸透する様は見事としか言いようがない。勿論、今風のハイビット畳み込み技術を駆使した三次元的な音ではないけれどもクォリティは現代でも十分に通用するものである。演奏者による好き嫌いを越えて正当ピリオド系バッハとして推奨するし、またオーディオ的にはこの美しくも克明なバロックVnを再現できるか否かという点でチャレンジする価値のある一組である。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

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Partitas & Sonatas for Violin Solo vol.2
J.S.Bach:
Partita for solo violin No.3 in E major, BWV1006
Sonata for solo violin No.2 in A minor, BWV1003
Sonata for solo violin No.3 in C major, BWV1005
Rachel Podger (Vn)
J.S.バッハ:
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV.1006
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調 BWV.1003
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調 BWV.1005
レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)
携帯メモリプレーヤ、あるいは音楽再生機能の備わったスマートフォンというのは実に便利な道具である。ポッジャーのあるパッセージでふと何かを感じたところを例えばファウストはどう弾いていたのか、ムローヴァはどうだったのか、庄司は、ハチャトリアンは・・、と、疑問に思ったその時、小さいながらも液晶カラーモニタを見ながら瞬時にこれらへ切り替えて同じ個所を何度も聴きかえすことができるのだ。それも、窮屈な電車内で大仰な動作なしにこれらの操作が可能なのだ。
パルティータ3番は澄明で落ち着いた理知的な佳曲だ。ここでのポッジャーは最初のプレリュードとルールに関しては割と温厚で湿潤、そして抑制的な過ごし方だ。しかし、傑作のガヴォットで豹変する。荒れ気味と言えばそうなのだが、実にヴィヴィッドで瑞々しくて、なによりめりはりが効いたひたむきでエネルギッシュな旋律トレースが印象的だ。第1メヌエットはインテンポに戻りモデラートで情感の籠った操弦となる。短めながらゆったり伸びやかに楽器を操る。第2メヌエットもインテンポだがかなり急ぎたそうな気配がむんむん。しかし緩やかさを心掛けて破綻なく過ごす。ところが、ブーレになるとやっぱり我慢できないのかちょっと急ぎ足となる。それでもジーグは抑制気味に持って行って暴れはない状態で終わる。
ソナタ2番の冒頭グラーヴェ~フーガ、そしてアンダンテは瞑想的に律速された緩やかで心落ち着く演奏だ。暴れも歪感も皆無で平坦だが、静かな感動が得られるシーンだ。そして終楽章アレグロでは期せずしてスイッチが入ってしまう。ポッジャーのペザリニウスが冴えわたるのだ。超高速で非常に微細だがダイナミックレンジが広く、そして帯域レンジは超ワイド、そしてノイズ感も歪感も皆無にして暗黒空間を味方につけたような明滅する音たちは得も言われず素敵だ。
ソナタ3番で締めるのは渋い選択と思う。旋律にはどことなく漂う郷愁があり、そしてオブリガートというか対旋律には寂寥感が含まれているところが堪らない。自分の中では名曲中の名曲だと思っているが、地味さが邪魔してか世の中的にはあまり人気がないように思う。地味である反面、楽譜に籠められた音的な要素と要求される演奏技巧の高さはこの曲集では随一であり演奏は非常に難しいと思う。前述のとおりポッジャーは超絶技巧の人でもあり、その辺の曲の造作の複雑さや仕組まれたギミックといった特異な部分を一切強調することなくさらりと弾き切っている。終楽章=このアルバムのラスト=は脈絡なく可憐で軽妙、そして喋々が風の中を舞うような気紛れな不可思議な曲。ポッジャーのパルティータ&ソナタの形質を全て言い表したといっても過言ではない見事なダブルストップが連続して炸裂する。
録音年代的には昨今もてはやされているピリオド系解釈の元祖的な演奏ではなかろうか。勿論、その後になって不世出と言えるようなムローヴァの甘く切ない無伴奏、誰とも全く似ていないファウストが弾くタフでドライな孤高の無伴奏と、かなりの名演が出現しているのが事実であってもなお、このポッジャーの明媚でやんちゃな無伴奏は不変の価値ある演奏と評価される。
(録音評)
Vol.1: CHANNEL CLASSICS CCS 12198、通常CD。1997年12月、1998年4月 ドープスヘジンデ教会,デフェンテル,オランダ
Vol.2: CHANNEL CLASSICS CCS 14498、通常CD。1998年12月、1999年4月 ドープスヘジンデ教会,デフェンテル,オランダ
両者の録音年度には1年の隔たりがあるが音質的には殆ど差異が認められない。また、演奏上の揺らぎもほぼ感じられず、敢えて言うなら2枚目のほうが元気でやんちゃな出来栄えだ。Vn独奏の録音としてはまさに理想と言って良い出来栄えで、アンビエントと直接音のバランス、自然なホールトーンがどこまでも深く奥へと浸透する様は見事としか言いようがない。勿論、今風のハイビット畳み込み技術を駆使した三次元的な音ではないけれどもクォリティは現代でも十分に通用するものである。演奏者による好き嫌いを越えて正当ピリオド系バッハとして推奨するし、またオーディオ的にはこの美しくも克明なバロックVnを再現できるか否かという点でチャレンジする価値のある一組である。
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by primex64
| 2013-06-19 23:59
| Solo - Vn
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