2012年 11月 25日
Ockeghem & Sørensen: Requiem@Paul Hillier/Ars Nova Copenhagen |
デンマークの国営レーベル=DACAPOの春の新譜SACDハイブリッドで、ポール・ヒリアー/アルス・ノヴァ・コペンハーゲンが歌う変わり種のレクイエム集。

http://tower.jp/item/3069858/
Ockeghem & Sørensen: Requiem
Ockeghem: Missa Pro Defunctis
Sørensen: Fragments of Requiem
1. Responsorium: Memento mei Deus (Sørensen)
2. Introitus (Ockeghem)
3. Kyrie (Ockeghem)
4. Sequentia:
a. Rex tremendae (plainchant)
b. Recordare Jesu pie (Sørensen)
c. Juste judex (plainchant)
d. Lacrimosa (Sørensen)
5. Graduale (Ockeghem)
6. Tractus (Ockeghem)
7. Sanctus (Sørensen, Ockeghem, Monteverdi)
8. Benedictus (Sørensen)
9. Agnus dei (plainchant)
10. Offertorium (Ockeghem)
11. In paradisum (Sørensen)
Ars Nova Copenhagen, Paul Hillier
1. セーアンセン:レスポンソリウム:神よ,われを思い出したまえ
2. オケゲム:入祭唱
3. オケゲム:キリエ
4. 続唱:
「みいつの大王よ」
「思い出したまえ」(セーアンセン)
「正しき裁判官よ」
「涙の日」(セーアンセン)
5. オケゲム:昇階唱
6. オケゲム:詠唱
7. セーアンセン/オケヘム/モンテヴェルディ:聖なるかな
8. セーアンセン:祝福あれ
9. 聖歌:神の羊
10. オケゲム:奉献唱
11. セーアンセン:楽園にて
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、ポール・ヒリアー(指揮)
以下、レーベルからの解説、及び輸入元のNAXOSによる対訳:
--
The 500 years that separate Renaissance master Johannes Ockeghem and Danish composer Bent Sørensen seem to disappear in this extraordinary Requiem which is a totality integrated both dramatically and musically; a work that unites the stylistic contrasts in a mode of expression that seems at once timeless and entirely present.The project has been initiated by conductor Paul Hillier and interpreted by his GRAMMY-winning ensemble Ars Nova Copenhagen. To watch a promotional video please visit http://www.youtube.com/watch?v=_n95HwndReg&feature=youtu.be
ポール・ヒリアーの新プロジェクトはオケゲム(1410頃~1497)とデンマークの現代作曲家セーアンセン(1958~)の作品集です。これは、ほぼ500年の年月を経て、2人の作曲家の魂が融合したかのような静謐で神秘的なレクイエムであり、音楽の懐の深さと、永遠に変わらぬ神への愛を実証するかのような確かな響きと法悦を感じさせます。あまりにも美しい声の芸術です。グラミー賞受賞のアルス・ノヴァ・コペンハーゲンの純粋な響きをSACDハイブリッドの高音質で。(作曲家の読みを置換:オケヘム→オケゲム、セレンセン→セーアンセン)
--
オケゲムはルネサンス期の作家で、デュファイとジョスカン・デ・プレを結ぶ重要な役割を果たした人物とされており、その代表作の一つMissa Pro Defunctis(死者のためのミサ曲)は、音楽史上現存する譜面ではポリフォニーで書かれた最古の歌曲とされている。一方、500年余りを経た現代、デンマークの気鋭作家であるセーアンセンは自らの宗教的合唱曲をオケゲムの作品から多くの共鳴と霊感を得て書いたといい、ポール・ヒリヤーはこれら二人の作品のレバレッジを狙って、また、オケゲムからインスパイアされた精神を補完する目的でセーアンセンが書いた幾つかの宗教的アーティクルを混ぜ込むかたちでこのアルバムを構成したという。事実、オケゲムの作品とセーアンセンの作品がほぼ交互に千鳥配列で並べられている。別の作家が書いているとは思われない融合度合いであり、とても聴き応えのする作品群だ。
全体が醸している雰囲気からは、オケゲムの作品がルネサンス期に書かれたものとはとても考えられない。現代作風や特殊な技法が用いられているわけではないが、リゲティのルックス・エテルナが導き出している独自の空間感と浮遊感がここでも感じられるのだ。但し、リゲティが駆使するトーンクラスタに拠らない高度に均整の取れたオーソドックスな音楽となっている。そして余りにも綺麗な純和音、際限なく拡がっていく歪の無いポリフォニックな音世界にただただ圧倒される。人間の声、特にこういった静謐で精緻な中規模コーラスの可能性を垣間見ることの出来る素晴らしい作品と演奏であり、この種の混声合唱を企画させるとほぼ右に出るものがいないという第一人者=ポール・ヒリアーの才能が遺憾なく発揮された一枚だ。文字によりあまり多くを語っても詮ない内容のアルバムである。是非、SACDレイヤーで実際に聴いてみて欲しい作品だ。
(録音評)
DACAPO 6220571、SACDハイブリッド。録音は、オケゲムが2006年、セーアンセンが2011年となっている。録音エンジニアはPreben Iwan、Mikkel Nymandとあり、TimbreMusicという制作会社が担当したとある。録音自体は96kHz 24bitのLPCMである。マイクはフロント:DPA 4006-TLが3本、リア:DPA 4006-TLが3本、スポット:DPA 4015-TLが2本と、二組のデッカツリー+補助マイクで捉えている教科書的なもの。尚かつ11~12トラック目に関しては、コーラスのパートが聴衆をぐるりと取り囲むサラウンド配置をセーアンセン自身が指定しており、尚かつ今回の録音に用いたマイク・アングルが礼拝堂のレイアウト図の上に掲載してある。またADコンバータはDAD AX24、DAWはPyramix、モニターはB&W 802Dとある。PCMオリジナルの音源であるが鮮度と感触はDSDに通じるものがある。ちょっと細身であるけれどもどこまでも透明な音場を作り出すのはオールDPA(元々はB&K)のコンデンサ・マイク、それとDAD(Digital Audio Denmark)のデジタル機器の特質なのかも知れない。dCS製のADCではもっとマッシブでソリッドだし、Pyramix内蔵ADCでは微粒子感は凄く出るけれども腰の弱い低域になることが多い。DADによるこの録音はとても透き通った非常に知的な音質であり、昨今稀に見る三次元立体巨大空間創成型CDだ。但し、一般的な装置で再生するには厳しいものがあるかも知れない。入口から出口までのオーバーオールの直線性が試される、ある意味恐ろしい音源といえる。音楽的には興味深い高レベルな内容であり、また録音品質的にも高レベルで高難度である。自らの装置コンディションに自信のある人はチャレンジする価値があるが、たとえ失敗したからといって失望する必要もないだろう。つまり、このCDは再生装置を神経質に選ぶということ。
※レーベル解説にあるyoutubeにアップされているDACAPOのプロモーション動画
ここにベント・セーアンセン、ポール・ヒリアーが登場し、本アルバムに込めた狙いなどを語っている。また、背景に映る録音場所を眺めると、今回用いられたパート配列とマイク・アングルがよくわかる。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://tower.jp/item/3069858/
Ockeghem & Sørensen: Requiem
Ockeghem: Missa Pro Defunctis
Sørensen: Fragments of Requiem
1. Responsorium: Memento mei Deus (Sørensen)
2. Introitus (Ockeghem)
3. Kyrie (Ockeghem)
4. Sequentia:
a. Rex tremendae (plainchant)
b. Recordare Jesu pie (Sørensen)
c. Juste judex (plainchant)
d. Lacrimosa (Sørensen)
5. Graduale (Ockeghem)
6. Tractus (Ockeghem)
7. Sanctus (Sørensen, Ockeghem, Monteverdi)
8. Benedictus (Sørensen)
9. Agnus dei (plainchant)
10. Offertorium (Ockeghem)
11. In paradisum (Sørensen)
Ars Nova Copenhagen, Paul Hillier
1. セーアンセン:レスポンソリウム:神よ,われを思い出したまえ
2. オケゲム:入祭唱
3. オケゲム:キリエ
4. 続唱:
「みいつの大王よ」
「思い出したまえ」(セーアンセン)
「正しき裁判官よ」
「涙の日」(セーアンセン)
5. オケゲム:昇階唱
6. オケゲム:詠唱
7. セーアンセン/オケヘム/モンテヴェルディ:聖なるかな
8. セーアンセン:祝福あれ
9. 聖歌:神の羊
10. オケゲム:奉献唱
11. セーアンセン:楽園にて
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、ポール・ヒリアー(指揮)
以下、レーベルからの解説、及び輸入元のNAXOSによる対訳:
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The 500 years that separate Renaissance master Johannes Ockeghem and Danish composer Bent Sørensen seem to disappear in this extraordinary Requiem which is a totality integrated both dramatically and musically; a work that unites the stylistic contrasts in a mode of expression that seems at once timeless and entirely present.The project has been initiated by conductor Paul Hillier and interpreted by his GRAMMY-winning ensemble Ars Nova Copenhagen. To watch a promotional video please visit http://www.youtube.com/watch?v=_n95HwndReg&feature=youtu.be
ポール・ヒリアーの新プロジェクトはオケゲム(1410頃~1497)とデンマークの現代作曲家セーアンセン(1958~)の作品集です。これは、ほぼ500年の年月を経て、2人の作曲家の魂が融合したかのような静謐で神秘的なレクイエムであり、音楽の懐の深さと、永遠に変わらぬ神への愛を実証するかのような確かな響きと法悦を感じさせます。あまりにも美しい声の芸術です。グラミー賞受賞のアルス・ノヴァ・コペンハーゲンの純粋な響きをSACDハイブリッドの高音質で。(作曲家の読みを置換:オケヘム→オケゲム、セレンセン→セーアンセン)
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オケゲムはルネサンス期の作家で、デュファイとジョスカン・デ・プレを結ぶ重要な役割を果たした人物とされており、その代表作の一つMissa Pro Defunctis(死者のためのミサ曲)は、音楽史上現存する譜面ではポリフォニーで書かれた最古の歌曲とされている。一方、500年余りを経た現代、デンマークの気鋭作家であるセーアンセンは自らの宗教的合唱曲をオケゲムの作品から多くの共鳴と霊感を得て書いたといい、ポール・ヒリヤーはこれら二人の作品のレバレッジを狙って、また、オケゲムからインスパイアされた精神を補完する目的でセーアンセンが書いた幾つかの宗教的アーティクルを混ぜ込むかたちでこのアルバムを構成したという。事実、オケゲムの作品とセーアンセンの作品がほぼ交互に千鳥配列で並べられている。別の作家が書いているとは思われない融合度合いであり、とても聴き応えのする作品群だ。
全体が醸している雰囲気からは、オケゲムの作品がルネサンス期に書かれたものとはとても考えられない。現代作風や特殊な技法が用いられているわけではないが、リゲティのルックス・エテルナが導き出している独自の空間感と浮遊感がここでも感じられるのだ。但し、リゲティが駆使するトーンクラスタに拠らない高度に均整の取れたオーソドックスな音楽となっている。そして余りにも綺麗な純和音、際限なく拡がっていく歪の無いポリフォニックな音世界にただただ圧倒される。人間の声、特にこういった静謐で精緻な中規模コーラスの可能性を垣間見ることの出来る素晴らしい作品と演奏であり、この種の混声合唱を企画させるとほぼ右に出るものがいないという第一人者=ポール・ヒリアーの才能が遺憾なく発揮された一枚だ。文字によりあまり多くを語っても詮ない内容のアルバムである。是非、SACDレイヤーで実際に聴いてみて欲しい作品だ。
(録音評)
DACAPO 6220571、SACDハイブリッド。録音は、オケゲムが2006年、セーアンセンが2011年となっている。録音エンジニアはPreben Iwan、Mikkel Nymandとあり、TimbreMusicという制作会社が担当したとある。録音自体は96kHz 24bitのLPCMである。マイクはフロント:DPA 4006-TLが3本、リア:DPA 4006-TLが3本、スポット:DPA 4015-TLが2本と、二組のデッカツリー+補助マイクで捉えている教科書的なもの。尚かつ11~12トラック目に関しては、コーラスのパートが聴衆をぐるりと取り囲むサラウンド配置をセーアンセン自身が指定しており、尚かつ今回の録音に用いたマイク・アングルが礼拝堂のレイアウト図の上に掲載してある。またADコンバータはDAD AX24、DAWはPyramix、モニターはB&W 802Dとある。PCMオリジナルの音源であるが鮮度と感触はDSDに通じるものがある。ちょっと細身であるけれどもどこまでも透明な音場を作り出すのはオールDPA(元々はB&K)のコンデンサ・マイク、それとDAD(Digital Audio Denmark)のデジタル機器の特質なのかも知れない。dCS製のADCではもっとマッシブでソリッドだし、Pyramix内蔵ADCでは微粒子感は凄く出るけれども腰の弱い低域になることが多い。DADによるこの録音はとても透き通った非常に知的な音質であり、昨今稀に見る三次元立体巨大空間創成型CDだ。但し、一般的な装置で再生するには厳しいものがあるかも知れない。入口から出口までのオーバーオールの直線性が試される、ある意味恐ろしい音源といえる。音楽的には興味深い高レベルな内容であり、また録音品質的にも高レベルで高難度である。自らの装置コンディションに自信のある人はチャレンジする価値があるが、たとえ失敗したからといって失望する必要もないだろう。つまり、このCDは再生装置を神経質に選ぶということ。
※レーベル解説にあるyoutubeにアップされているDACAPOのプロモーション動画
ここにベント・セーアンセン、ポール・ヒリアーが登場し、本アルバムに込めた狙いなどを語っている。また、背景に映る録音場所を眺めると、今回用いられたパート配列とマイク・アングルがよくわかる。

♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2012-11-25 23:21
| Vocal
|
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Comments(1)

ご紹介ありがとうございます。これは買います。
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