2012年 09月 25日
Nikon COOLPIX P310 |
約三年ぶりにコンデジを新調した。Blogをご覧のかたがたから私信によりご意見を頂戴することがあって、それは、料理の写真が美味しそうに見えないというお叱りが殆どだ。
確かに、ニコンのカメラ/レンズは報道写真としてみた場合には忠実度は高いと思う。それは民生用のCOOLPIXシリーズからDの一桁シリーズにまで及ぶ統一的な特性と絵決めの伝統と思うのだが。事実、ラーメンやパスタ、これらに添え付けられているサラダなどの絵柄が地味で決して面白くはない。かたや、リコーGRシリーズやペンタックス、キャノン、ソニー、フジFinePixなどのコンデジで撮られた写真はそれぞれ個性と差異はあるが瑞々しくて綺麗、そして料理がWebを通すととても美味しそうに見えるというのは事実と思う。
一方、現用機のCOOLPIX S70は、レンズや撮像素子がかなり小さくて解像度は低め、かつ奥行きが出にくいという欠点がある。それでもこの3年は騙し騙し使ってきてそれなりの絵は撮ってきているつもりだった。
そんなディスアドバンテージを補って余りあるのが、内焦式レンズが超小型ゆえ出っ張りの無い抜群の携帯性を備えた筐体、及び単純なファームウェアによる高速な起動、そしてタッチパネルによる大幅な操作性の向上だ。オール・タッチパネルの操作は現在のスマホ全盛の傾向を見れば理解できる通り万人に受け入れられたMMIと言え、そういった点においてS70の企画は先見性があった。但し出る時期が少し早かったきらいはある。
S70は、機能面でいえば露出はプログラムオートとバカチョンのシーンモードしか選択できないので被写界深度のコントロールが殆ど出来ない。この小さなレンズの被写界深度は一眼レフ用ニッコールの広角~標準系ズームと殆ど同じであり、絞りが浅いと奥行き方向の合焦エリアはかなり狭いのだ。S70の簡素なファームの場合、低めのISO値と速いシャッター速度を選好するように設計されているためか、大概のシーンでは解放f値に近い露出となってしまう。従ってパンフォーカスの絵が欲しい料理などの被写体に対してはレンズを向ける角度を調整して合焦エリアを広く得るなど苦労が多いのも事実。また、ホワイトバランスを調整するアルゴリズムに元バグがあっていまだ解消していないため、撮影環境に応じていちいちホワイトバランスをとってから撮影する必要があるなどの面倒もある。
S70のこれらのやるせない制約に辟易していて、ここ数週間は鈍重なD3にマクロ領域付き汎用ズーム・ニッコールを付けて出掛けることが多かった。それはそれなりに好きな構図で好きな露出条件が選べるので自由度は高く、従って割と綺麗な絵が撮れる。しかし、やはりラーメン屋などの店舗内で大袈裟なD3を出して撮影するのは憚られるわけで、やっぱりそれなりのコンデジが欲しくなってはいたのだ。
候補となる機種を幾つか物色し、一般ユーザBlog上の実写絵柄も確かめたりして、やっぱりFinePixかリコーGR、ペンタックスあたりが一般世相的に見て最も納得性の高い「綺麗」な料理写真が撮れるであろう、と思っていた。しかし、美味しそうでない絵はその通りに写すべきであり、なにかを脚色して美味しそうに見せるのは真実を写したことにはならないのではないかというラディカルな疑問にぶち当たる。つまり、鈴木ヴァイオリンをグァダニーニに聴かせるような、またヤマハをファツィオリに聴かせるような録音をしてはいけないのと同様、たかがコンデジであってもそういった演色度の強い写り具合は作画意図上のラティチュードを狭める結果となる気がしたのだ。
今流行のミラーレス一眼も色々と見た。ソニーNEXは機構的に魅力的なカメラだが、ホワイトバランス的にデフォルトを色々と変えても青白い基底が変えられない。NIKON 1も良いカメラで魅力的だが、あの程度の細密度と絵柄であれば別にミラーレスかつレンズ交換式である必要も感じられないし、携行するにはかなり邪魔だ。オリンパス・ペンは良いカメラだと思うが、出てくる絵に厚みがなく、出来上がりの絵の中の個々の物体がワイヤー・フレームで縁取られているのはOMシリーズ以来の不変の傾向でちょっと頂けない。また、ミラーレスではないがキヤノンの新型パワーショットは良いカメラであり、絵柄もクールで鮮明だがちょっと輪郭強調気味で、これはいわばEOSの絵を分かり易くした感じ。つまりテレビで言えば液晶アクオスみたいな傾向は否めないのだ。GRの絵も一目見ると綺麗だが、これは色合いこそ違えどもキヤノンに通じる高演色が企図されたものであってチリチリに際立ったエッジにはちょっと飽きてしまう。一方、FinePixは相当に練られた絵柄でバランスが取れている。他の同クラスのカメラが線と点で被写体のエレメントを描画するのに対し、FinePixは面描画でたおやかな質感が出せるのだ。決して悪くはないし選択としては間違いではないが、結局はパナの最新液晶テレビの大衆迎合度と同列の狙いであり、色のダイナミックレンジが狭く、言ってみればベタ塗り傾向だ。
【注意】
※以上は、各メーカー工場出荷時のデフォルトで撮影した画質の傾向であり、あくまで個人的な所感
※これらの画質は、カメラ側のモード設定やイメージ処理ソフトウェアの操作により大幅変更は可能
それで、結局は慣れ親しんだニコンの地味な絵作りと淡麗すぎる色合いに回帰してしまうようである。





P310だが、Blog読者の諸兄から頂戴した命題の一つ=料理を美味しそうに写す=は達成されないと思う。
しかし、レンズと撮像素子の性能はS70に比べて飛躍的に向上し、チリチリ感が強調される方向での解像度は増している。
そして、f/1.8という明るいレンズに対し露出モードがP、S、A、Mと選択できて絞り値が広範にコントロールできそうなのでパンフォーカスのお手本的な料理写真は撮れるようになると思う。いまだ使い始めたばかりで癖が見えていないので正確な評価は出来ないが、今のところ悪くはないと考えている。

Nikon COOLPIX P310, f/2.8, 1/30sec, ISO 320

Nikon D3, AF Zoom Nikkor 28-105mm f/3.5-4.5D, 50mm, f/10, 1/60sec, ISO 6400+0.7
※D3にはWeb上で濃い目に表示されるよう固有のPictureControlを入れているため、P310とは絵柄は異なる
※ある方面から、このD3の設定は悪い、とのお叱りを受けたので、近日中に工場出荷値での絵を掲載予定
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫
確かに、ニコンのカメラ/レンズは報道写真としてみた場合には忠実度は高いと思う。それは民生用のCOOLPIXシリーズからDの一桁シリーズにまで及ぶ統一的な特性と絵決めの伝統と思うのだが。事実、ラーメンやパスタ、これらに添え付けられているサラダなどの絵柄が地味で決して面白くはない。かたや、リコーGRシリーズやペンタックス、キャノン、ソニー、フジFinePixなどのコンデジで撮られた写真はそれぞれ個性と差異はあるが瑞々しくて綺麗、そして料理がWebを通すととても美味しそうに見えるというのは事実と思う。
一方、現用機のCOOLPIX S70は、レンズや撮像素子がかなり小さくて解像度は低め、かつ奥行きが出にくいという欠点がある。それでもこの3年は騙し騙し使ってきてそれなりの絵は撮ってきているつもりだった。
そんなディスアドバンテージを補って余りあるのが、内焦式レンズが超小型ゆえ出っ張りの無い抜群の携帯性を備えた筐体、及び単純なファームウェアによる高速な起動、そしてタッチパネルによる大幅な操作性の向上だ。オール・タッチパネルの操作は現在のスマホ全盛の傾向を見れば理解できる通り万人に受け入れられたMMIと言え、そういった点においてS70の企画は先見性があった。但し出る時期が少し早かったきらいはある。
S70は、機能面でいえば露出はプログラムオートとバカチョンのシーンモードしか選択できないので被写界深度のコントロールが殆ど出来ない。この小さなレンズの被写界深度は一眼レフ用ニッコールの広角~標準系ズームと殆ど同じであり、絞りが浅いと奥行き方向の合焦エリアはかなり狭いのだ。S70の簡素なファームの場合、低めのISO値と速いシャッター速度を選好するように設計されているためか、大概のシーンでは解放f値に近い露出となってしまう。従ってパンフォーカスの絵が欲しい料理などの被写体に対してはレンズを向ける角度を調整して合焦エリアを広く得るなど苦労が多いのも事実。また、ホワイトバランスを調整するアルゴリズムに元バグがあっていまだ解消していないため、撮影環境に応じていちいちホワイトバランスをとってから撮影する必要があるなどの面倒もある。
S70のこれらのやるせない制約に辟易していて、ここ数週間は鈍重なD3にマクロ領域付き汎用ズーム・ニッコールを付けて出掛けることが多かった。それはそれなりに好きな構図で好きな露出条件が選べるので自由度は高く、従って割と綺麗な絵が撮れる。しかし、やはりラーメン屋などの店舗内で大袈裟なD3を出して撮影するのは憚られるわけで、やっぱりそれなりのコンデジが欲しくなってはいたのだ。
候補となる機種を幾つか物色し、一般ユーザBlog上の実写絵柄も確かめたりして、やっぱりFinePixかリコーGR、ペンタックスあたりが一般世相的に見て最も納得性の高い「綺麗」な料理写真が撮れるであろう、と思っていた。しかし、美味しそうでない絵はその通りに写すべきであり、なにかを脚色して美味しそうに見せるのは真実を写したことにはならないのではないかというラディカルな疑問にぶち当たる。つまり、鈴木ヴァイオリンをグァダニーニに聴かせるような、またヤマハをファツィオリに聴かせるような録音をしてはいけないのと同様、たかがコンデジであってもそういった演色度の強い写り具合は作画意図上のラティチュードを狭める結果となる気がしたのだ。
今流行のミラーレス一眼も色々と見た。ソニーNEXは機構的に魅力的なカメラだが、ホワイトバランス的にデフォルトを色々と変えても青白い基底が変えられない。NIKON 1も良いカメラで魅力的だが、あの程度の細密度と絵柄であれば別にミラーレスかつレンズ交換式である必要も感じられないし、携行するにはかなり邪魔だ。オリンパス・ペンは良いカメラだと思うが、出てくる絵に厚みがなく、出来上がりの絵の中の個々の物体がワイヤー・フレームで縁取られているのはOMシリーズ以来の不変の傾向でちょっと頂けない。また、ミラーレスではないがキヤノンの新型パワーショットは良いカメラであり、絵柄もクールで鮮明だがちょっと輪郭強調気味で、これはいわばEOSの絵を分かり易くした感じ。つまりテレビで言えば液晶アクオスみたいな傾向は否めないのだ。GRの絵も一目見ると綺麗だが、これは色合いこそ違えどもキヤノンに通じる高演色が企図されたものであってチリチリに際立ったエッジにはちょっと飽きてしまう。一方、FinePixは相当に練られた絵柄でバランスが取れている。他の同クラスのカメラが線と点で被写体のエレメントを描画するのに対し、FinePixは面描画でたおやかな質感が出せるのだ。決して悪くはないし選択としては間違いではないが、結局はパナの最新液晶テレビの大衆迎合度と同列の狙いであり、色のダイナミックレンジが狭く、言ってみればベタ塗り傾向だ。
【注意】
※以上は、各メーカー工場出荷時のデフォルトで撮影した画質の傾向であり、あくまで個人的な所感
※これらの画質は、カメラ側のモード設定やイメージ処理ソフトウェアの操作により大幅変更は可能
それで、結局は慣れ親しんだニコンの地味な絵作りと淡麗すぎる色合いに回帰してしまうようである。





P310だが、Blog読者の諸兄から頂戴した命題の一つ=料理を美味しそうに写す=は達成されないと思う。しかし、レンズと撮像素子の性能はS70に比べて飛躍的に向上し、チリチリ感が強調される方向での解像度は増している。
そして、f/1.8という明るいレンズに対し露出モードがP、S、A、Mと選択できて絞り値が広範にコントロールできそうなのでパンフォーカスのお手本的な料理写真は撮れるようになると思う。いまだ使い始めたばかりで癖が見えていないので正確な評価は出来ないが、今のところ悪くはないと考えている。


※D3にはWeb上で濃い目に表示されるよう固有のPictureControlを入れているため、P310とは絵柄は異なる
※ある方面から、このD3の設定は悪い、とのお叱りを受けたので、近日中に工場出荷値での絵を掲載予定
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2012-09-25 23:52
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