2012年 08月 14日
ぷらむ@関内 |
< ヨコハマ洋食・定食シリーズ Vol.11 >
前回とりあげた山田ホームレストランから数軒隣にある洋食店だ。
山田ホームレストランは街の定食屋という風情であった。一方、この「ぷらむ」は昭和の香りが漂うレトロな喫茶店が出発点であって、珈琲と軽食のみならず本格的な洋食も食べられる、古いけれども小粋な店だ。入口は関内桜通りの途中の交差点に面している。レトロなガラス扉に内側からレースのカーテンが掛かっていて中の様子はすぐに窺い知ることは出来ない。要するにちょっと入るに勇気が要るシチュエーションなので、今まではなかなか食べる機会がなかった。店に着いたのは14:00前くらい。ちょっと渋くなった扉のヒンジを押し開けて店内に入る。思ったよりも広々とした店内は古いけれどもちゃんと手入れが行き届いていて清潔だ。
店主と思われる品の良い年配女性が微笑を湛えて出迎えてくれる。すぐにお冷やが出され、メニューを示される。充実した定食/単品メニューはこの店の歴史と今までにこの店を愛してきた客層をそのまま物語っている。単品の基本はソテーやハンバーグ類、フライもの、ライス系(カレーやオムライス類)、パスタ系(というかスパゲッティ)、サンドイッチ等のパン類などがバランス良く豊富にラインナップされている。これらが日によってメインディッシュに据えられてランチセットを形成するというわけだ。この日、二人で選んだのは山田ホームレストランで食べたのと同じメニューで、即ちハンバーグエッグのランチセット。
+150円で珈琲が付いて合わせて一人1,000円ちょうどと、都内のオフィス街におけるランチセットとほぼ同じ価格だ。山田とぷらむ、それぞれメインディッシュの内容もセットされる品目もだいたい同じだ。殆ど隣合わせで、しかもどちらも昭和のフレーバーがする洋食店で、それぞれどんなハンバーグ・ランチを出すのであろうか、との興味がずっとあったのだ。
オーダーが通るとすぐにナイフとフォークが並べられる。しかも今時は珍しい三角折りの紙ナプキンに載せられてだ。些細なことの様だが、箸で食べる山田とは大きな違いがここにある。気取らないスタイルで和食もラインナップする大衆食堂風の山田に対し、あくまでも洋風喫茶店で洋風の昭和洋食を供するぷらむは、ちょっとだけ居ずまいを正したくなる正統派だ。グリル・エスほどの強い威厳と矜持はないにせよだ。
カウンター内の厨房では店主の息子ほどの年格好をした若目の男性が調理を開始し、手際が良くさっさと仕上げていく。挽肉が焼ける香ばしい香りが漂う。待つこと暫し、湯気を立てたハンバーグエッグがサーブされる。ライスは丼ではなくて皿に盛られる。何故か家内のライスの方が少なく、私のライスは多い。そして、ワカメの味噌汁はお椀で供される。
ハンバーグにナイフを入れるとじんわりとジュースが沁み出す。挽肉も玉葱も粗微塵であり、山田に比べると身の締まりは緩いけれども、代わりに適度に空気を抱いていてふんわりしたソフトな仕上がりだ。これが口中で繊細にほろりとほどける瞬間が心地良く、そして肉本来の旨味が発散しやすいように思う。
かかっている半透明褐色のデミグラスは中庸の粘性、味は甘めであるけれども塩分濃度は控えめで、これもまた挽肉の風味を殺がない程度に整えられた絶妙な調味だ。肉の旨味、風味、焼き加減ともに抜群に良い。ハンバーグに載っている半熟の目玉焼きを適宜崩して肉と一緒に頬張ると至福の時が訪れる。これとご飯とを交互に頂くと自然に食欲がそそられる。
そして、風味の良い味噌汁は何故かこういった挽肉物に合うのだ。たまたま箸が出ないのでフォークでワカメを掬って頂くが、これが不思議と不便でもなく違和感もないのだ(卓上に割り箸が備え付けてあったことには後で気が付いた)。ハンバーグの付け合わせはサニーレタスとキャベツの千切り、キュウリ、トマト、そしてもっちりとしたペンネとケチャップ和えのパスタが少量といったところ。
野菜にはフレンチドレッシングが、ペンネは恐らく自家製マヨネーズで和えたものだろう。野菜の量は山田の方が圧倒的に多いが、ハンバーグの肉の量はぷらむの方が多そうだ。見た目よりもライス、メインディッシュともに量が多く、男性客であってもかなり満腹になるのではないだろうか。皿への盛り付けが上品でバランスが取れているためか、それほどの量には見えないのだが。
最後に出た珈琲は、これまた不思議と昭和のフレーバーが漂っており、この香りは25~30年前には確かに街中の喫茶店で頻繁に嗅いだものだ。そう、木村珈琲か上島珈琲の大口需要家向け業務用廉価豆の典型的な臭いだ。そう、ロブスタ種が少しブレンドされているのだ。いまどきはアラビカ100%のノーブルな香りしか嗅げないが、昭和の中期~後期にはロブスタ種あるいはリベリカ種を混ぜた豆が一部には流通していたのだ。
なんとも不思議なランチタイムであった。我々昭和に生まれ育って社会に出たものにとっては、景気の良いエナジー溢れる頃の日本にタイムスリップしたかのノスタルジックなプレゼンスが詰まった空間だった。また「昭和」を食べにぷらむに行きたい。
レストラン喫茶 ぷらむ
横浜市中区相生町3-60
電話: 045-651-9330
営業: 平日:10:00~20:30
土祝:11:00~14:30
定休: 日曜
最寄: JR 関内5分、市営BL 関内4分、
みなとみらい線 馬車道4分、日本大通り5分
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
♪ よい音楽を聴きましょう ♫
前回とりあげた山田ホームレストランから数軒隣にある洋食店だ。
山田ホームレストランは街の定食屋という風情であった。一方、この「ぷらむ」は昭和の香りが漂うレトロな喫茶店が出発点であって、珈琲と軽食のみならず本格的な洋食も食べられる、古いけれども小粋な店だ。入口は関内桜通りの途中の交差点に面している。レトロなガラス扉に内側からレースのカーテンが掛かっていて中の様子はすぐに窺い知ることは出来ない。要するにちょっと入るに勇気が要るシチュエーションなので、今まではなかなか食べる機会がなかった。店に着いたのは14:00前くらい。ちょっと渋くなった扉のヒンジを押し開けて店内に入る。思ったよりも広々とした店内は古いけれどもちゃんと手入れが行き届いていて清潔だ。
店主と思われる品の良い年配女性が微笑を湛えて出迎えてくれる。すぐにお冷やが出され、メニューを示される。充実した定食/単品メニューはこの店の歴史と今までにこの店を愛してきた客層をそのまま物語っている。単品の基本はソテーやハンバーグ類、フライもの、ライス系(カレーやオムライス類)、パスタ系(というかスパゲッティ)、サンドイッチ等のパン類などがバランス良く豊富にラインナップされている。これらが日によってメインディッシュに据えられてランチセットを形成するというわけだ。この日、二人で選んだのは山田ホームレストランで食べたのと同じメニューで、即ちハンバーグエッグのランチセット。+150円で珈琲が付いて合わせて一人1,000円ちょうどと、都内のオフィス街におけるランチセットとほぼ同じ価格だ。山田とぷらむ、それぞれメインディッシュの内容もセットされる品目もだいたい同じだ。殆ど隣合わせで、しかもどちらも昭和のフレーバーがする洋食店で、それぞれどんなハンバーグ・ランチを出すのであろうか、との興味がずっとあったのだ。
オーダーが通るとすぐにナイフとフォークが並べられる。しかも今時は珍しい三角折りの紙ナプキンに載せられてだ。些細なことの様だが、箸で食べる山田とは大きな違いがここにある。気取らないスタイルで和食もラインナップする大衆食堂風の山田に対し、あくまでも洋風喫茶店で洋風の昭和洋食を供するぷらむは、ちょっとだけ居ずまいを正したくなる正統派だ。グリル・エスほどの強い威厳と矜持はないにせよだ。
カウンター内の厨房では店主の息子ほどの年格好をした若目の男性が調理を開始し、手際が良くさっさと仕上げていく。挽肉が焼ける香ばしい香りが漂う。待つこと暫し、湯気を立てたハンバーグエッグがサーブされる。ライスは丼ではなくて皿に盛られる。何故か家内のライスの方が少なく、私のライスは多い。そして、ワカメの味噌汁はお椀で供される。
ハンバーグにナイフを入れるとじんわりとジュースが沁み出す。挽肉も玉葱も粗微塵であり、山田に比べると身の締まりは緩いけれども、代わりに適度に空気を抱いていてふんわりしたソフトな仕上がりだ。これが口中で繊細にほろりとほどける瞬間が心地良く、そして肉本来の旨味が発散しやすいように思う。
かかっている半透明褐色のデミグラスは中庸の粘性、味は甘めであるけれども塩分濃度は控えめで、これもまた挽肉の風味を殺がない程度に整えられた絶妙な調味だ。肉の旨味、風味、焼き加減ともに抜群に良い。ハンバーグに載っている半熟の目玉焼きを適宜崩して肉と一緒に頬張ると至福の時が訪れる。これとご飯とを交互に頂くと自然に食欲がそそられる。
そして、風味の良い味噌汁は何故かこういった挽肉物に合うのだ。たまたま箸が出ないのでフォークでワカメを掬って頂くが、これが不思議と不便でもなく違和感もないのだ(卓上に割り箸が備え付けてあったことには後で気が付いた)。ハンバーグの付け合わせはサニーレタスとキャベツの千切り、キュウリ、トマト、そしてもっちりとしたペンネとケチャップ和えのパスタが少量といったところ。
野菜にはフレンチドレッシングが、ペンネは恐らく自家製マヨネーズで和えたものだろう。野菜の量は山田の方が圧倒的に多いが、ハンバーグの肉の量はぷらむの方が多そうだ。見た目よりもライス、メインディッシュともに量が多く、男性客であってもかなり満腹になるのではないだろうか。皿への盛り付けが上品でバランスが取れているためか、それほどの量には見えないのだが。
最後に出た珈琲は、これまた不思議と昭和のフレーバーが漂っており、この香りは25~30年前には確かに街中の喫茶店で頻繁に嗅いだものだ。そう、木村珈琲か上島珈琲の大口需要家向け業務用廉価豆の典型的な臭いだ。そう、ロブスタ種が少しブレンドされているのだ。いまどきはアラビカ100%のノーブルな香りしか嗅げないが、昭和の中期~後期にはロブスタ種あるいはリベリカ種を混ぜた豆が一部には流通していたのだ。なんとも不思議なランチタイムであった。我々昭和に生まれ育って社会に出たものにとっては、景気の良いエナジー溢れる頃の日本にタイムスリップしたかのノスタルジックなプレゼンスが詰まった空間だった。また「昭和」を食べにぷらむに行きたい。
レストラン喫茶 ぷらむ横浜市中区相生町3-60
電話: 045-651-9330
営業: 平日:10:00~20:30
土祝:11:00~14:30
定休: 日曜
最寄: JR 関内5分、市営BL 関内4分、
みなとみらい線 馬車道4分、日本大通り5分
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by primex64
| 2012-08-14 00:46
| My dishes -Grill
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