2012年 07月 29日
Martha Argerich and Friends: Live from the Lugano Festival 2011 Disc 1 |
ここ何年か買っていなかったルガノ・フェスティヴァルのハイライト集だが、今年はユーロ安のせいか破格に安かったので中味も確かめずに買ってみた。なにしろ廉価な部類の輸入盤1枚分の値段で3枚組が買えてしまうのだから・・。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/5018988
Disc 1
Beethoven: Violin Sonata No.8 in G major, Op.30 No.3
Renaud Capucon (Vn), Martha Argerich (Pf)
Mozart: Sonata for Piano duet in F major, K497
Martha Argerich (Pf), Lilya Zilberstein (Pf)
Haydn: Piano Trio No.43 in C Major, Hob.XV:27
Alissa Margulis (Vn), Julian Steckel (Vc)
Schumann: Fantasiestucke, Op.73
Gautier Capucon (Vc), Martha Argerich (Pf)
CD1
・ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 op.30-3
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ ヘ長調 K.497
クリスティーナ・マルトン(ピアノ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・ハイドン:ピアノ三重奏曲ハ長調 HobXV:27
ポリーナ・レシェンコ(ピアノ)
アリッサ・マルグリス(ヴァイオリン)
ユリアン・シュテッケル(チェロ)
・シューマン:幻想小曲集 op.73
ゴーティエ・カプソン(チェロ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
アルゲリッチが有望若手のための飛躍を願って活動の場を提供するという主旨で始めたルガノなので、従来、主宰のアルゲリッチ自身の出番は控えめであったのであるが、今年の盤は何故か彼女が登場するシーンの収録が多い。一枚目であるが、あまりにベタなベトVnソナタ8番から始まっている。
アルゲリッチの伴奏は巧すぎるくらい巧い。さりとてVnソリストのお株を奪ってしまうほどのバトルモードには入っておらず非常にモデレート。若い頃からのアルゲリッチの演奏といえば様々なPコン、ベト、ショパンやリストなどPf専門特化型の作家によるPfソナタ等、超絶技巧独奏曲が脳裏に残っていて、こういった他楽器ソナタの伴奏部というのはじっくりと聴いた試しはない。ルノー・カプソンの弾くちょっと切ないVnがハイリゲンシュタットの情景を斜めに切り取っていく。
モーツァルトの連弾ソナタはあんまりぴんと来ない作品で、二人の息も今ひとつ感がある。前がベトのVnソナタと、ちょっと彫琢の深い作品であっただけにこのモーツァルトは襞が浅くて淡泊、そして抑揚感のない演出がなんとものっぺりした感じだ。
ハイドンの作品というのは個人的にはかなり苦手で、手元には殆ど盤を所蔵していない。しかし、ここで期せずして聴かされてみるととても情感豊かで旋律も和声も整いすぎているくらいに美しく、そして浮き立つ色彩感と陰翳、ポップで力強いリズムが支配する全体進行はとても秀逸なのだった。ベースラインを作るのはあのレスチェンコ、そしてふくよかなメロディーラインをトレースするのは才媛Vnソリストの筆頭格アリッサ・マルグリス、濃い陰翳を湛える対旋律は国際カザルスやロストロポーヴィッチ国際等でウィナーとなっている気鋭のユリアン・シュテッケルが担当する。深くて厚くて濃い表現、そして飛んで踊るような飛翔感、上下に揺れ動く感情の起伏と、この演奏は抜群に楽しくて秀逸。
一枚目の最後を飾るのはシューマンの傑作、ファンタジーシュトック(幻想小曲集)で、主旋律はルノー・カプソンの弟、ゴーティエが担当。これまた彫り込みの深い優れた解釈が、二人の緊密なシンパシーの交信によって達成されている演奏で、凄みを感じるくらいの重厚なパフォーマンスだ。シューマンの片方の特質である耽美で仄暗く揺れ動くキャラクタが克明に抉り出されている。これはぐっと来る演奏。アルゲリッチの演奏はその天性のヴィルトゥオージティを封印した抑制的なもので、こんなにも静謐で理性的なアルゲリッチの沈み込んだ演奏は初めて聴いた気がする。
(続く)
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
♪ よい音楽を聴きましょう ♫

http://www.hmv.co.jp/product/detail/5018988
Disc 1
Beethoven: Violin Sonata No.8 in G major, Op.30 No.3
Renaud Capucon (Vn), Martha Argerich (Pf)
Mozart: Sonata for Piano duet in F major, K497
Martha Argerich (Pf), Lilya Zilberstein (Pf)
Haydn: Piano Trio No.43 in C Major, Hob.XV:27
Alissa Margulis (Vn), Julian Steckel (Vc)
Schumann: Fantasiestucke, Op.73
Gautier Capucon (Vc), Martha Argerich (Pf)
CD1
・ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調 op.30-3
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ ヘ長調 K.497
クリスティーナ・マルトン(ピアノ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
・ハイドン:ピアノ三重奏曲ハ長調 HobXV:27
ポリーナ・レシェンコ(ピアノ)
アリッサ・マルグリス(ヴァイオリン)
ユリアン・シュテッケル(チェロ)
・シューマン:幻想小曲集 op.73
ゴーティエ・カプソン(チェロ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
アルゲリッチが有望若手のための飛躍を願って活動の場を提供するという主旨で始めたルガノなので、従来、主宰のアルゲリッチ自身の出番は控えめであったのであるが、今年の盤は何故か彼女が登場するシーンの収録が多い。一枚目であるが、あまりにベタなベトVnソナタ8番から始まっている。
アルゲリッチの伴奏は巧すぎるくらい巧い。さりとてVnソリストのお株を奪ってしまうほどのバトルモードには入っておらず非常にモデレート。若い頃からのアルゲリッチの演奏といえば様々なPコン、ベト、ショパンやリストなどPf専門特化型の作家によるPfソナタ等、超絶技巧独奏曲が脳裏に残っていて、こういった他楽器ソナタの伴奏部というのはじっくりと聴いた試しはない。ルノー・カプソンの弾くちょっと切ないVnがハイリゲンシュタットの情景を斜めに切り取っていく。
モーツァルトの連弾ソナタはあんまりぴんと来ない作品で、二人の息も今ひとつ感がある。前がベトのVnソナタと、ちょっと彫琢の深い作品であっただけにこのモーツァルトは襞が浅くて淡泊、そして抑揚感のない演出がなんとものっぺりした感じだ。
ハイドンの作品というのは個人的にはかなり苦手で、手元には殆ど盤を所蔵していない。しかし、ここで期せずして聴かされてみるととても情感豊かで旋律も和声も整いすぎているくらいに美しく、そして浮き立つ色彩感と陰翳、ポップで力強いリズムが支配する全体進行はとても秀逸なのだった。ベースラインを作るのはあのレスチェンコ、そしてふくよかなメロディーラインをトレースするのは才媛Vnソリストの筆頭格アリッサ・マルグリス、濃い陰翳を湛える対旋律は国際カザルスやロストロポーヴィッチ国際等でウィナーとなっている気鋭のユリアン・シュテッケルが担当する。深くて厚くて濃い表現、そして飛んで踊るような飛翔感、上下に揺れ動く感情の起伏と、この演奏は抜群に楽しくて秀逸。
一枚目の最後を飾るのはシューマンの傑作、ファンタジーシュトック(幻想小曲集)で、主旋律はルノー・カプソンの弟、ゴーティエが担当。これまた彫り込みの深い優れた解釈が、二人の緊密なシンパシーの交信によって達成されている演奏で、凄みを感じるくらいの重厚なパフォーマンスだ。シューマンの片方の特質である耽美で仄暗く揺れ動くキャラクタが克明に抉り出されている。これはぐっと来る演奏。アルゲリッチの演奏はその天性のヴィルトゥオージティを封印した抑制的なもので、こんなにも静謐で理性的なアルゲリッチの沈み込んだ演奏は初めて聴いた気がする。
(続く)

♪ よい音楽を聴きましょう ♫
by primex64
| 2012-07-29 23:41
| Compilation
|
Trackback
|
Comments(0)