2012年 06月 17日
Tchaikovsky: P-Con#1 Etc@Sergio Tiempo, Orc.della Svizzera Italiana |
超絶的なSACDハイブリッドで名を馳せるavanti classicの昨年末の新譜から。国内で買いそびれてpresto classicalに発注していたが、どうやら手違いがあったらしく、すっかり忘れてしまった頃になって到着した。更に私の方ではこれを誤って既聴ディスクの山の中に積み込んでしまったために発見が遅れ、聴くのがここまで遅延してしまった。因みにいっときは一旦品薄になった国内CDショップには再び入荷されて来ているようだ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/4246774
Liszt:
Totentanz, S126 for piano & orchestra
Sonetti di Petrarca for piano, S.158 #47, #104, #123
Tchaikovsky:
Piano Concerto No.1 in B flat minor, Op.23
Sergio Tiempo (Pf)
Orchestra della Svizzera Italiana
Ion Marin(Cond. Liszt S125)
Alexandre Rabinovitch-Barakovsky(Cond. Tchaikovsky)
1. リスト:死の舞踏-『怒りの日』によるパラフレーズ S.126
2. リスト:ペトラルカのソネット第47、104、123番
3. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23
セルジオ・ティエンポ(ピアノ)
スイス・イタリア語放送管弦楽団
イオン・マリン(指揮:1)
アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー(指揮:3)
セルジオ・ダニエル・ティエンポはマルタ・アルゲリッチが発掘してきた有能なピアニストのうちの一人であり、それに似た発掘例としてはあのポリーナ・レスチェンコなんかが挙げられる。但し年代的にはキーシンやリフシッツと同じ世代であり、1972年生まれというから今年で40歳となる計算だ。写真では谷原章介を思いっきり洋風に仕立てたような甘いルックスなのだが、それに反して実は中堅の域へと入っている実力派ピアニストなのだ。
ティエンポはアルゲリッチとの関係を通じ、マイスキーとも親交が厚く、DGからなかなかに染み入るラフマニノフを取り上げたルガーノにおけるコンピレーション・アルバムを出しており、これはそこそこヒットした。またEMIからのルガーノ・ライブ盤には殆ど必ず登場している。また、ティエンポはかなり前からちょくちょく来日して公演しており、実は6年ほど前、まだ読売日響の賛助(法人)会員だった頃に横浜みなとみらいホールの特別演奏会で聴いている。この時はカリニャーニと共に客演してショパンのPコン1番を弾いており、その剛直にしてロマンチシズム溢れる演奏が印象に強く残っている。
今回のこのSACDハイブリッドは古めの音源が中心で、新しく録ったのはペトラルカのソネット(セッション録音)の3曲だけだ。リストの死の舞踏とチャイコンは2004~2005年のルガーノ音楽祭からのライブ収録である。手元にあるルガーノのライブ盤には含まれていないようであった。この二曲は若々しくて溌剌とした演奏であり、特にチャイコンではオケとのマッチングも良好であって目が覚めるような鮮烈なピアニズムが迸っている。何度聴いても溜息が出るほどさまになっているピアノソロなのだ。
対して、最近になってセッションで録られたペトラルカのソネットの深く静謐な解釈もなかなかのものがあり、元々精緻で高度なテクニックを擁するティエンポの爛熟しつつある精神面が垣間見られる好演だ。リストの後期作品のうち宗教的で瞑想的なこれらの作品群は技巧的な面よりかは精神的な解釈力が要求されるものであり、そういった点においてはティエンポのこの解釈はタッチこそソリッドだけれども実に頷けるものがあるのだ。
(録音評)
avanti classic 5414706 10382、SACDハイブリッド。録音:死の舞踏=2004年6月18日、チャイコン=2005年6月29日、ペトラルカのソネット=2011年7月26日、場所:いずれもルガーノとある。音質だが、線が細くて非常にHi-Fi調に振れており、ピアノはいずれのトラックも硬質なスタインウェイの特質を強く響かせたものだ。これはスタインウェイというよりかは小型のプレイエルのような煌びやかでガラス管を叩いたような美麗な音だ。一方、オケのほうの音は細身ではあるが残響を含めて分解能は恐ろしく高く、器楽構成が透けて見えるほどの精密な定位を示す。独奏のペトラルカのソネット以外はライブであって、ノイズと拍手が盛大に含まれる。360度ぐるりと空間に放散されるプレゼンスは明らかにDSD録音の特質なのだが、音色や定位はPCMのかっちりとした形質であり、どのような録音経路でどんなマスタリングを施したのかはよく判らない。いずれにせよ野心的で個性的な高音質盤である。これはティエンポの支援者のみならずオーディオ・ファイルに是非お勧めしたい話題作ではなかろうか。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫

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Sonetti di Petrarca for piano, S.158 #47, #104, #123
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Piano Concerto No.1 in B flat minor, Op.23
Sergio Tiempo (Pf)
Orchestra della Svizzera Italiana
Ion Marin(Cond. Liszt S125)
Alexandre Rabinovitch-Barakovsky(Cond. Tchaikovsky)
1. リスト:死の舞踏-『怒りの日』によるパラフレーズ S.126
2. リスト:ペトラルカのソネット第47、104、123番
3. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23
セルジオ・ティエンポ(ピアノ)
スイス・イタリア語放送管弦楽団
イオン・マリン(指揮:1)
アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー(指揮:3)
セルジオ・ダニエル・ティエンポはマルタ・アルゲリッチが発掘してきた有能なピアニストのうちの一人であり、それに似た発掘例としてはあのポリーナ・レスチェンコなんかが挙げられる。但し年代的にはキーシンやリフシッツと同じ世代であり、1972年生まれというから今年で40歳となる計算だ。写真では谷原章介を思いっきり洋風に仕立てたような甘いルックスなのだが、それに反して実は中堅の域へと入っている実力派ピアニストなのだ。
ティエンポはアルゲリッチとの関係を通じ、マイスキーとも親交が厚く、DGからなかなかに染み入るラフマニノフを取り上げたルガーノにおけるコンピレーション・アルバムを出しており、これはそこそこヒットした。またEMIからのルガーノ・ライブ盤には殆ど必ず登場している。また、ティエンポはかなり前からちょくちょく来日して公演しており、実は6年ほど前、まだ読売日響の賛助(法人)会員だった頃に横浜みなとみらいホールの特別演奏会で聴いている。この時はカリニャーニと共に客演してショパンのPコン1番を弾いており、その剛直にしてロマンチシズム溢れる演奏が印象に強く残っている。
今回のこのSACDハイブリッドは古めの音源が中心で、新しく録ったのはペトラルカのソネット(セッション録音)の3曲だけだ。リストの死の舞踏とチャイコンは2004~2005年のルガーノ音楽祭からのライブ収録である。手元にあるルガーノのライブ盤には含まれていないようであった。この二曲は若々しくて溌剌とした演奏であり、特にチャイコンではオケとのマッチングも良好であって目が覚めるような鮮烈なピアニズムが迸っている。何度聴いても溜息が出るほどさまになっているピアノソロなのだ。
対して、最近になってセッションで録られたペトラルカのソネットの深く静謐な解釈もなかなかのものがあり、元々精緻で高度なテクニックを擁するティエンポの爛熟しつつある精神面が垣間見られる好演だ。リストの後期作品のうち宗教的で瞑想的なこれらの作品群は技巧的な面よりかは精神的な解釈力が要求されるものであり、そういった点においてはティエンポのこの解釈はタッチこそソリッドだけれども実に頷けるものがあるのだ。
(録音評)
avanti classic 5414706 10382、SACDハイブリッド。録音:死の舞踏=2004年6月18日、チャイコン=2005年6月29日、ペトラルカのソネット=2011年7月26日、場所:いずれもルガーノとある。音質だが、線が細くて非常にHi-Fi調に振れており、ピアノはいずれのトラックも硬質なスタインウェイの特質を強く響かせたものだ。これはスタインウェイというよりかは小型のプレイエルのような煌びやかでガラス管を叩いたような美麗な音だ。一方、オケのほうの音は細身ではあるが残響を含めて分解能は恐ろしく高く、器楽構成が透けて見えるほどの精密な定位を示す。独奏のペトラルカのソネット以外はライブであって、ノイズと拍手が盛大に含まれる。360度ぐるりと空間に放散されるプレゼンスは明らかにDSD録音の特質なのだが、音色や定位はPCMのかっちりとした形質であり、どのような録音経路でどんなマスタリングを施したのかはよく判らない。いずれにせよ野心的で個性的な高音質盤である。これはティエンポの支援者のみならずオーディオ・ファイルに是非お勧めしたい話題作ではなかろうか。
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by primex64
| 2012-06-17 22:10
| Concerto - Pf
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