くり山@六角橋

低気圧の影響で土曜日は大荒れの天候となった。これほどの強風が吹き荒れるのは去年の台風以来という気がする。そんな中、土曜にしか済ませられない用事があって、やむなく出掛けた。傘も差せないほどの酷い風で、体中がびしょ濡れとなった。鉄道や道路ももあちこちで寸断、そしてあらゆるものが吹き飛ばされて街中に散乱していた。用を済ました後、たまたま経路に入っていたくり山へ寄ることに。さすがにこんな嵐のなか客はいないだろうと思っていたら案の定、店舗前の行列はゼロ。

しめしめと思って扉を開けて入ると満席。テーブル席も学生風のグループが陣取っている。たまたま一人だけ立って勘定を済ませようとしている客がいたので、その後に即座に収まることが出来た。

頼んだのは、つけめん大盛り＋半チャーシュー＋味玉。
本日は着席してからのオーダーであったのでかなり時間が掛かる。待っている間にカウンタの客がバラバラと帰り始める。また、こんな天候にも拘わらず表には待ち行列が形成されてきて、女性スタッフがオーダー取りに向かう。15分ほど待ったであろうか、いつもよりも心なしか固茹でのガシガシした極太ストレート麺、穏やかでコク深い汁椀がカウンタ越しにサーブされる。
スープは従前とバランスは変わらず、動物系に振った滋味豊かなもの。僅かに加えられた節系の風味もマスクされず仄かに香る。

ここに麺を浸して一気に啜ると口中一杯にくり山独創の風味が拡がり、次いで僅かな甘みと共に穏健なエキスが拡がる。
極太の麺の弾力は噛み切ろうという歯を一旦は押し返してくるが、そこをわしわしと砕いて喉へと導く。太いけれどツルリとした風合いの麺はかなりの抵抗感を伴いながら五臓六腑へと降りていく。拍子木切りのチャーシューとコリッとした上質なメンマもまたこのスープ＆麺のお供として好適であり、もうこれ以外の組み合わせはないのではなかろうかと思わされるベストマッチぶり。
増し指定したチャーシューは柔らかでありながら適度な繊維質も残していて、そして上質豚だけがもつソフトな香りと上品な風味は肉を食べる本質的な愉悦を与えてくれる。味玉の黄身の味が濃く、そして凝固度合い／塩分濃度共に適切であり極太麺と共に頬張るとメロウでまったりとした粘性が舌に安らぎを与えてくれる。
途中、一味や黒七味、魚粉を入れてアクセントを加えつつ食べ進めた。添加物を加えるとある程度表情は変化するが、骨格となる滋味と風味は揺らぐことはない。気が付くと麺丼は殆ど空となっていた。

この日も実に旨かったし、このごろは味が非常に安定しているので安心して食べることが出来るのだ。地元に根ざした名店として今後ともこの味を維持していって欲しいもの。



くり山

横浜市神奈川区六角橋1-17-29
電話：　045-421-0537
営業：
　平日：　11:30-15:00、18:00-21:00
　土日祝：　11:30-18:00
定休：　火曜
最寄：　東横線・白楽5分



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