2012年 02月 26日
Mozart: Vn-Con #1,2,4@Salvatore Accardo/Prague Chamber O. |
昨年末のFonèレーベルの新譜で、巨匠アッカルドのモーツァルトVnコン、SACDハイブリッドだ。新譜といっても1990年録音の音源をDSDリマスタしたものだ。Fonèレーベルはイタリアの変わり種マイナーレーベルで、今回のこのアッカルドのシリーズはゴールド・ディスク(通常CD)、重量級LPレコードも同時リリースとなっている。輸入はユニヴァーサルらしいがはっきりとしたことは分からない。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/4241325
Mozart: Violin Concertos - Accardo
Violin Concerto No. 1 in B major K.207
Violin Concerto No. 2 in D major K.211
Violin Concerto No. 4 in D major K.218
Rondeau in C major K.373
Salvatore Accardo (Vn, Cond)
Prague Chamber Orchestra
モーツァルト:
・ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K.207
・ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調 K.211
・ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
・ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド K.373
サルヴァトーレ・アッカルド(ヴァイオリン、指揮)
プラハ室内管弦楽団
1990年と言えばCDが全盛期を迎えるあたりの音源であり、当然にしてPCMマスタリングだったものだ。しかし、当時、どのレーベルが録ったものかは何故か判然としない。アッカルドはEMI、デッカ、DGやフィリップス、ソニーと、あらゆる大手メジャーに録音を残しているし、昨今ではPentatoneにも録音がある。
アッカルドといえばパガニーニ全曲演奏やヴィヴァルディ作品の伝道者として欧米では名の知れたイタリア人Vnソリストであり、ミルシテインに師事していたことから20世紀後半のヴィルトゥオーゾの血統を色濃く残したビッグネームだが、日本国内ではそれほど知名度は高くない印象だ。その理由は明確ではないが、Vn演奏家としてのソロ活動やコンサート・ソリストとしての活動よりも後進の育成に力を入れていたことから、来日公演の数も多くはなく、そして、CDセールスに関しても国内ではあまり積極展開されなかったためと推察される。
モーツァルトのVnコンは、個人的には余りにサラサラしていて刺激も引っかかりも全くなく、敢えて積極的に聴こうという機会は少なく、従って所蔵CDも多くはない。手持ちではクレーメル/クレメラータの盤、ムターの盤などが見つかる。このアッカルドの録音もまたサラサラとした蒸留水のような演奏であり、爽やかでポップで流麗な曲想だ。これは、誰が演奏したって基本的にはこの路線からは逸脱できないものだと思われる。
唯一、他の盤と違うのは弾き振りのアッカルドが見せる超絶的で情緒的なソロだ。襞がそれほど深くはないけれどもよく円ぶヴィブラートと微細なデュナーミク、ポルタメント的な高速スケールなどが存分に楽しめるということではモーツァルトの作品を鑑賞するというよりかはアッカルドの玄人的名演奏を聴く盤と言う感じだ。現代では曲芸的な超人技を披瀝して浪花節のような情感を誘う演奏が皆無な世界にあって、やはり1990年という年は転機となったであろう時期で、この辺を境にオリジナル主義やピリオド・アプローチが徐々に浸透し、従来のヴィルトゥオーゾ路線は後退していったと思う。それだからこそ今になってハイフェッツやコーガン、アイザック・スターン、ミルシテインなどをLPレコードで嗜もうという密やかな趣味が一方では静かに潜行しているのかも知れない。
ずっと以前から思っていたのであるが、K.211の第一楽章は、PソナタK.331の第一楽章の第二主題(第一変奏)と酷似している。今回も期せずしてこれがかかった時にそれを思い出した。いかにも情緒的なアッカルドの弦がこの天国的で曇りのないモーツァルト典型の旋律を軽量フェザータッチで紡いでいく。アッカルドはイタリア人であり、そのためかエモーショナルな表現はとても上手だ。けれども、一方ではかなり精緻なテクニックを有する厳格主義の人でもあり、これらの演奏を聴くと東欧圏の典型的な手堅さを誇るプラハ室内管とのマッチングは良好であることが分かる。
(録音評)
Fonè 056 SACD、SACDハイブリッド。録音は1990年2月20-21日、場所は北イタリア、コンタリーニ宮とある。Fonèレーベルはオーディオファイル・クォリティを標榜するちょっと変わったレーベルで、リマスタ技術に自信があるようだ。音だが、確かに悪くはない。アンビエント成分を多めに含む軽く明るい音調でオケが録られ、それをバックとしてアッカルドのソロもまた細めのフォーカスを結ぶという、どちらかというと繊細な印象の音質だ。
だが、これはSACDという器が持つバンド幅を十二分に活かした録音かといわれればそれはそうではないだろう。所詮は20年以上前のマスターの焼き直しであって、例えば昨今のEMIに見られる優れたリマスタ技術に比肩するものではない。
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Mozart: Violin Concertos - Accardo
Violin Concerto No. 1 in B major K.207
Violin Concerto No. 2 in D major K.211
Violin Concerto No. 4 in D major K.218
Rondeau in C major K.373
Salvatore Accardo (Vn, Cond)
Prague Chamber Orchestra
モーツァルト:
・ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K.207
・ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調 K.211
・ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
・ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド K.373
サルヴァトーレ・アッカルド(ヴァイオリン、指揮)
プラハ室内管弦楽団
1990年と言えばCDが全盛期を迎えるあたりの音源であり、当然にしてPCMマスタリングだったものだ。しかし、当時、どのレーベルが録ったものかは何故か判然としない。アッカルドはEMI、デッカ、DGやフィリップス、ソニーと、あらゆる大手メジャーに録音を残しているし、昨今ではPentatoneにも録音がある。
アッカルドといえばパガニーニ全曲演奏やヴィヴァルディ作品の伝道者として欧米では名の知れたイタリア人Vnソリストであり、ミルシテインに師事していたことから20世紀後半のヴィルトゥオーゾの血統を色濃く残したビッグネームだが、日本国内ではそれほど知名度は高くない印象だ。その理由は明確ではないが、Vn演奏家としてのソロ活動やコンサート・ソリストとしての活動よりも後進の育成に力を入れていたことから、来日公演の数も多くはなく、そして、CDセールスに関しても国内ではあまり積極展開されなかったためと推察される。
モーツァルトのVnコンは、個人的には余りにサラサラしていて刺激も引っかかりも全くなく、敢えて積極的に聴こうという機会は少なく、従って所蔵CDも多くはない。手持ちではクレーメル/クレメラータの盤、ムターの盤などが見つかる。このアッカルドの録音もまたサラサラとした蒸留水のような演奏であり、爽やかでポップで流麗な曲想だ。これは、誰が演奏したって基本的にはこの路線からは逸脱できないものだと思われる。
唯一、他の盤と違うのは弾き振りのアッカルドが見せる超絶的で情緒的なソロだ。襞がそれほど深くはないけれどもよく円ぶヴィブラートと微細なデュナーミク、ポルタメント的な高速スケールなどが存分に楽しめるということではモーツァルトの作品を鑑賞するというよりかはアッカルドの玄人的名演奏を聴く盤と言う感じだ。現代では曲芸的な超人技を披瀝して浪花節のような情感を誘う演奏が皆無な世界にあって、やはり1990年という年は転機となったであろう時期で、この辺を境にオリジナル主義やピリオド・アプローチが徐々に浸透し、従来のヴィルトゥオーゾ路線は後退していったと思う。それだからこそ今になってハイフェッツやコーガン、アイザック・スターン、ミルシテインなどをLPレコードで嗜もうという密やかな趣味が一方では静かに潜行しているのかも知れない。
ずっと以前から思っていたのであるが、K.211の第一楽章は、PソナタK.331の第一楽章の第二主題(第一変奏)と酷似している。今回も期せずしてこれがかかった時にそれを思い出した。いかにも情緒的なアッカルドの弦がこの天国的で曇りのないモーツァルト典型の旋律を軽量フェザータッチで紡いでいく。アッカルドはイタリア人であり、そのためかエモーショナルな表現はとても上手だ。けれども、一方ではかなり精緻なテクニックを有する厳格主義の人でもあり、これらの演奏を聴くと東欧圏の典型的な手堅さを誇るプラハ室内管とのマッチングは良好であることが分かる。
(録音評)
Fonè 056 SACD、SACDハイブリッド。録音は1990年2月20-21日、場所は北イタリア、コンタリーニ宮とある。Fonèレーベルはオーディオファイル・クォリティを標榜するちょっと変わったレーベルで、リマスタ技術に自信があるようだ。音だが、確かに悪くはない。アンビエント成分を多めに含む軽く明るい音調でオケが録られ、それをバックとしてアッカルドのソロもまた細めのフォーカスを結ぶという、どちらかというと繊細な印象の音質だ。
だが、これはSACDという器が持つバンド幅を十二分に活かした録音かといわれればそれはそうではないだろう。所詮は20年以上前のマスターの焼き直しであって、例えば昨今のEMIに見られる優れたリマスタ技術に比肩するものではない。
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by primex64
| 2012-02-26 14:58
| Concerto - Vn
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