2012年 02月 19日
Mendelssohn & Chopin: Vc Sonatas@P.Wispelwey, P.Giacometti |
ONYXの昨年の新譜で、メンデルスゾーンとショパンのVcソナタをカップリングしたもの。個人的にはとても好きなこの二つの作品がバンドルされているのでここのところお気に入りで聴いている。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4169044
Mendelssohn & Chopin: Cello Sonatas
Mendelssohn:
Cello Sonata No.2 in D maj. Op.58
Song without Words for Cello & Piano Op.109
Chopin:
Waltz No.6 in D flat maj. Op.64-1 'Minute Waltz'(arr. Davidov)
Waltz No.7 in C sharp min. Op.64-2(arr. Davidov)
Waltz No.8 in A flat maj. Op.64-3(arr. Davidov)
Cello Sonata in G minor, Op.65
Pieter Wispelwey (Vc) & Paolo Giacometti (fortepiano Erard)
・メンデルスゾーン:
チェロ・ソナタ第2番ニ長調Op.58
無言歌ニ長調Op.109
・ショパン
ワルツ第6番変ニ長調 Op.64-1「小犬のワルツ」(ダヴィドフ編)
ワルツ第7番嬰ハ短調 Op.64-2(ダヴィドフ編)
ワルツ第8番変イ長調 Op.64-3(ダヴィドフ編)
チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ/グァダニーニ パルマ、1760年製)
パオロ・ジャコメッティ(フォルテピアノ/エラール 1848年製、エドウィン・ベウンク・コレクション)
ウィスペルウェイは、6年ほど前になるが読売日響の定期に出た時にサントリーで少し聴いたが、なかなかに味のある音を出すソリストだった。また、昨今ではアルペジオーネ・ソナタがとても良い出来映えで印象に残っている。
明るく、のびのびとしたメンデルスゾーンのVcソナタ#2は、この二人の名手にかかると単に明媚なだけの演奏に留まらず様々な表情を見せてくれる。こういった長調の曲の「明」の部分をクローズアップしてテンペラメントを籠めるのは誰しもが得意とするところだろう。しかし、この二人、「暗」に近いアンニュイな部分を殊更に拡大して独特の蔭を付けて見せているのだ。その結果、非常に侘びた音色の1760年製グァダニーニと相俟って彫りの深い、そして高雅でシックな演奏となっているのだ。なんとも耳に残る、出色のメンデルスゾーンだ。素晴らしいの一言。
メンデルスゾーンとショパンの間に挟む格好で、まさにインターリュードとしてはこれ以上ないという小品を並べて構成している。無言歌はメンデルスゾーンがPfソロ用に連作したお得意のスタイルだが、Op.109は最初からPf+Vc向けに書かれた唯一の無言歌。Vcソナタ#2の盛り上がりから少し熱を冷まさせてくれる効果を狙ったのか、この一曲はとてもハイセンスな配置だと思う。そしてメンデルスゾーンに決別してショパンへと向かう。大曲にしてショパン異色の傑作であるVcソナタへの序奏としての位置付けとも見てとれるこのワルツの三曲は、帝政ロシア時代のVcの名手で作曲も手掛けたカルル・ダヴィドフの手になるVc+Pf編曲版だ。因みに、ダヴィドフが使っていたストラドのVcはデュ・プレが受け継ぎ、彼女の逝去後はヨー・ヨー・マが買い取って現在まで使っていることでも有名。
ショパンのVcソナタは、まさに翳りの極致を描き込んだ会心の出来映えで、ジャコメッティが駆るエラールのフォルテピアノに載るウィスペルウェイのグァダニーニは、晩年のショパンの心持ち、および過ごした時代を切り取ってきてカレイド・スコープの紋様に変換したかの明滅を繰り返し、この希有の大作を渋く紡いでいく。コーダに向け、言葉にならないほどの深い感動が待っている。このショパンVcソナタに関してはこのところではエドナ・スターンとオフェリー・ガイヤールの秀作が毅然として溌剌な光を放っている。しかし、ウィスペルウェイのこの演奏は適度に涸れていて襞が深いという点において全くアプローチが違う解釈であり、両者には甲乙付けがたいところがあるのだ。
(録音評)
ONYX、ONYX4078、通常CD。録音は2011年1月10-12日、場所は、Doopsgezinde Kerk, Haarlem, Nertherlands とある。機材は、マイク:Schoeps MK2H, MK21, B&K 4006、マイクプリ:Grace Design、ADC:Lynx Aurora、録音編集:Pyramix、モニタリング:Benchmark DAC1, Rotel RMB1575, B&W 804s, Sennheiser HD600と記載されている。音質はONYXらしい穏健でナチュラルなもので、豊かで美しい残響が印象的。殊更にエッジを立てた高解像路線とは無縁の大人の調音だ。
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♪ よい音楽を聴きましょう ♫
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Mendelssohn & Chopin: Cello Sonatas
Mendelssohn:
Cello Sonata No.2 in D maj. Op.58
Song without Words for Cello & Piano Op.109
Chopin:
Waltz No.6 in D flat maj. Op.64-1 'Minute Waltz'(arr. Davidov)
Waltz No.7 in C sharp min. Op.64-2(arr. Davidov)
Waltz No.8 in A flat maj. Op.64-3(arr. Davidov)
Cello Sonata in G minor, Op.65
Pieter Wispelwey (Vc) & Paolo Giacometti (fortepiano Erard)
・メンデルスゾーン:
チェロ・ソナタ第2番ニ長調Op.58
無言歌ニ長調Op.109
・ショパン
ワルツ第6番変ニ長調 Op.64-1「小犬のワルツ」(ダヴィドフ編)
ワルツ第7番嬰ハ短調 Op.64-2(ダヴィドフ編)
ワルツ第8番変イ長調 Op.64-3(ダヴィドフ編)
チェロ・ソナタ ト短調 Op.65
ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ/グァダニーニ パルマ、1760年製)
パオロ・ジャコメッティ(フォルテピアノ/エラール 1848年製、エドウィン・ベウンク・コレクション)
ウィスペルウェイは、6年ほど前になるが読売日響の定期に出た時にサントリーで少し聴いたが、なかなかに味のある音を出すソリストだった。また、昨今ではアルペジオーネ・ソナタがとても良い出来映えで印象に残っている。
明るく、のびのびとしたメンデルスゾーンのVcソナタ#2は、この二人の名手にかかると単に明媚なだけの演奏に留まらず様々な表情を見せてくれる。こういった長調の曲の「明」の部分をクローズアップしてテンペラメントを籠めるのは誰しもが得意とするところだろう。しかし、この二人、「暗」に近いアンニュイな部分を殊更に拡大して独特の蔭を付けて見せているのだ。その結果、非常に侘びた音色の1760年製グァダニーニと相俟って彫りの深い、そして高雅でシックな演奏となっているのだ。なんとも耳に残る、出色のメンデルスゾーンだ。素晴らしいの一言。
メンデルスゾーンとショパンの間に挟む格好で、まさにインターリュードとしてはこれ以上ないという小品を並べて構成している。無言歌はメンデルスゾーンがPfソロ用に連作したお得意のスタイルだが、Op.109は最初からPf+Vc向けに書かれた唯一の無言歌。Vcソナタ#2の盛り上がりから少し熱を冷まさせてくれる効果を狙ったのか、この一曲はとてもハイセンスな配置だと思う。そしてメンデルスゾーンに決別してショパンへと向かう。大曲にしてショパン異色の傑作であるVcソナタへの序奏としての位置付けとも見てとれるこのワルツの三曲は、帝政ロシア時代のVcの名手で作曲も手掛けたカルル・ダヴィドフの手になるVc+Pf編曲版だ。因みに、ダヴィドフが使っていたストラドのVcはデュ・プレが受け継ぎ、彼女の逝去後はヨー・ヨー・マが買い取って現在まで使っていることでも有名。
ショパンのVcソナタは、まさに翳りの極致を描き込んだ会心の出来映えで、ジャコメッティが駆るエラールのフォルテピアノに載るウィスペルウェイのグァダニーニは、晩年のショパンの心持ち、および過ごした時代を切り取ってきてカレイド・スコープの紋様に変換したかの明滅を繰り返し、この希有の大作を渋く紡いでいく。コーダに向け、言葉にならないほどの深い感動が待っている。このショパンVcソナタに関してはこのところではエドナ・スターンとオフェリー・ガイヤールの秀作が毅然として溌剌な光を放っている。しかし、ウィスペルウェイのこの演奏は適度に涸れていて襞が深いという点において全くアプローチが違う解釈であり、両者には甲乙付けがたいところがあるのだ。
(録音評)
ONYX、ONYX4078、通常CD。録音は2011年1月10-12日、場所は、Doopsgezinde Kerk, Haarlem, Nertherlands とある。機材は、マイク:Schoeps MK2H, MK21, B&K 4006、マイクプリ:Grace Design、ADC:Lynx Aurora、録音編集:Pyramix、モニタリング:Benchmark DAC1, Rotel RMB1575, B&W 804s, Sennheiser HD600と記載されている。音質はONYXらしい穏健でナチュラルなもので、豊かで美しい残響が印象的。殊更にエッジを立てた高解像路線とは無縁の大人の調音だ。
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by primex64
| 2012-02-19 23:10
| Solo - Vc
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