2011年 09月 03日
Brahms: Vn-Con Op.77@Arabella Steinbacher, Fabio Luisi/Wiener SO. |
同じくORFEOの新譜から、アラベラ・シュタインバッハーが弾くブラームスのVnコン。サポートは、今や将来の巨匠を約束されたも同然のルイージ率いるウィーン響だ。シュタインバッハーは昨年にORFEOからPentaToneへ移籍して専属契約を締結しているはずだが、このCDは収録がちょっと古く、従ってこの盤の版権は当時専属契約を結んでいたORFEOにあるようだ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/4000409
Brahms: Violin Concerto in D Major, Op.77
Schumann: Symphony No. 4 in D minor, Op.120
Arabella Steinbacher (Vn)(Brahms Op.77)
Wiener Symphoniker, Fabio Luisi
・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
アラベラ・シュタインバッハー(ヴァイオリン)(ブラームス)
ウィーン交響楽団
ファビオ・ルイージ(指揮)
ブラームスのVnコンはこの種のジャンルの中では演奏者にとっても、また聴き手にとっても最も素敵でチャレンジャブルな作品の一例だろう。シュタインバッハーは2007年12月、この作品でもってウィーン楽友協会の黄金の大ホール(ムジークフェライン・グロッサー・ザール/Golden Hall)にデビューしたが、このムジークフェラインは作曲家自身が時折指揮を執った縁のあるホールでもある。シュタインバッハーのデビューはウィーン響、及びその主席指揮者であるファビオ・ルイージに伴われたものであり、このCDの前半がその記念すべきライブ収録ということになる。
ブラームスのVnコン、及び後半のシューマンのSym#4の両方の演奏が19世紀後半に活躍したVnのヴィルトゥオーゾ=ヨゼフ・ヨアヒムに献呈された。彼の偉大な業績はコンサート・ホールを通り抜けて勝利の行進を始めたといわれた。ヨアヒムの多数の著名な後継者のおかげで、Vnヴィルトゥオーゾという世界が確立された。彼ら抜きで今日繁栄を極めるVnのレパートリーを想像することはできない。
シュタインバッハーは数年前のJoachim Violin Competition(ハノーバー)で優勝し、それが彼女の現在の国際キャリアの出発点となった。その上、彼女はブラームスのVnコンおける孤高の演奏スタイルを確立している代表格である。即ち、ヴィルトゥオージティ(曲芸的な妙技)だけに終始することのないヴィルトゥオージックな(いわゆる優れた名人芸的な技巧)スタイルということ。
彼女の定評あるブリリアントで精密な音のおかげで、ソロパートがオーケストラの強奏部においても決して背景に埋没あるいは後退することがないことに気が付かされる--例えば、1楽章の主題提示部や2楽章の繊細で静謐なパートの前後のアインザッツなど。また、例えば1楽章の色彩感溢れる堂々たるカデンツァ、闊達でエネルギッシュな3楽章と、味わい深い色合いとクライマックスを交互に巧みに演出するヴィルトゥオージティには卓越したものがある。彼女のスリーピング・ビューティ ブース(Booth)が放散する超微粒子のサラサラとしたビームが中央ちょっと奥のサウンドステージからバッフル面を飛び越えて絶え間なくリスナーに向かって飛んでくる。これは気持ちの良い演奏だ。ルイージ/ウィーン響の美麗極まりないサポートもほぼ完璧で、重層的な音の塗り重ねが存分に楽しめる。シュタインバッハーにはドイツ土着の手堅いメロディー・ラインとどこか仄暗く深い和声が似合うのである。
シューマンのSym#4もまた、ルイージお得意の構築美、そしてウィーン響の精緻な描き込みが楽しめるのは言うに及ばない。
(録音評)
ORFEO C752111A、通常CD、録音は2007年12月11日、ウィーン、ムジークフェライン・グロッサー・ザール(ブラームス)、2007年4月30日、5月2日、ウィーン、コンツェルトハウス(シューマン)。音質は軽量でありながら重心はそれなりに低く抑えられており、要するにハイスピードなHi-Fiサウンドの代表格。サウンドステージは深く、そしてクラリティ(透明度)が極めて高いもの。ムジークフェラインの録音はこのホール特有の明るくまろび出る残響が克明に捉えられている。実際には奥への引きが少ない、現代としては狭隘なステージなのだがそれを感じさせない広大な音場空間が拡がっている。シューマンの方は非常にブロードで癖のないホール残響であり、音響性能的にはこちらのホールがグロッサー・ザールより数段上だ。いずれにせよ、ORFEOのCD-DAはDSDの必要性を殆ど感じさせない優秀な録音であると言うこと。
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http://www.hmv.co.jp/product/detail/4000409
Brahms: Violin Concerto in D Major, Op.77
Schumann: Symphony No. 4 in D minor, Op.120
Arabella Steinbacher (Vn)(Brahms Op.77)
Wiener Symphoniker, Fabio Luisi
・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
アラベラ・シュタインバッハー(ヴァイオリン)(ブラームス)
ウィーン交響楽団
ファビオ・ルイージ(指揮)
ブラームスのVnコンはこの種のジャンルの中では演奏者にとっても、また聴き手にとっても最も素敵でチャレンジャブルな作品の一例だろう。シュタインバッハーは2007年12月、この作品でもってウィーン楽友協会の黄金の大ホール(ムジークフェライン・グロッサー・ザール/Golden Hall)にデビューしたが、このムジークフェラインは作曲家自身が時折指揮を執った縁のあるホールでもある。シュタインバッハーのデビューはウィーン響、及びその主席指揮者であるファビオ・ルイージに伴われたものであり、このCDの前半がその記念すべきライブ収録ということになる。
ブラームスのVnコン、及び後半のシューマンのSym#4の両方の演奏が19世紀後半に活躍したVnのヴィルトゥオーゾ=ヨゼフ・ヨアヒムに献呈された。彼の偉大な業績はコンサート・ホールを通り抜けて勝利の行進を始めたといわれた。ヨアヒムの多数の著名な後継者のおかげで、Vnヴィルトゥオーゾという世界が確立された。彼ら抜きで今日繁栄を極めるVnのレパートリーを想像することはできない。
シュタインバッハーは数年前のJoachim Violin Competition(ハノーバー)で優勝し、それが彼女の現在の国際キャリアの出発点となった。その上、彼女はブラームスのVnコンおける孤高の演奏スタイルを確立している代表格である。即ち、ヴィルトゥオージティ(曲芸的な妙技)だけに終始することのないヴィルトゥオージックな(いわゆる優れた名人芸的な技巧)スタイルということ。
彼女の定評あるブリリアントで精密な音のおかげで、ソロパートがオーケストラの強奏部においても決して背景に埋没あるいは後退することがないことに気が付かされる--例えば、1楽章の主題提示部や2楽章の繊細で静謐なパートの前後のアインザッツなど。また、例えば1楽章の色彩感溢れる堂々たるカデンツァ、闊達でエネルギッシュな3楽章と、味わい深い色合いとクライマックスを交互に巧みに演出するヴィルトゥオージティには卓越したものがある。彼女の
シューマンのSym#4もまた、ルイージお得意の構築美、そしてウィーン響の精緻な描き込みが楽しめるのは言うに及ばない。
(録音評)
ORFEO C752111A、通常CD、録音は2007年12月11日、ウィーン、ムジークフェライン・グロッサー・ザール(ブラームス)、2007年4月30日、5月2日、ウィーン、コンツェルトハウス(シューマン)。音質は軽量でありながら重心はそれなりに低く抑えられており、要するにハイスピードなHi-Fiサウンドの代表格。サウンドステージは深く、そしてクラリティ(透明度)が極めて高いもの。ムジークフェラインの録音はこのホール特有の明るくまろび出る残響が克明に捉えられている。実際には奥への引きが少ない、現代としては狭隘なステージなのだがそれを感じさせない広大な音場空間が拡がっている。シューマンの方は非常にブロードで癖のないホール残響であり、音響性能的にはこちらのホールがグロッサー・ザールより数段上だ。いずれにせよ、ORFEOのCD-DAはDSDの必要性を殆ど感じさせない優秀な録音であると言うこと。

by primex64
| 2011-09-03 13:26
| Concerto - Vn
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