Schumann: Davidsbündlertänze & Fantasie@Mitsuko Uchida |
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Schumann:
Davidsbündlertänze, Op.6 ダヴィッド同盟舞曲集
Fantasie in C maj. Op.17 幻想曲
Mitsuko Uchida (piano) 内田 光子
これは9月11日に先行リリースされた輸入盤で、豪華版ブックレット付きで、内田光子のインタビューを収めた盤との同梱で二枚組となっている。シューマン生誕200周年を祝っての記念盤という位置付けらしい。その後、同内容で9月22日には普通装丁だがSHM-CD仕様(インタビューCDなし)の国内盤が発売され、そして11月に入ってから豪華ブックレット付きのSHM-CD、2枚組国内盤もリリースされている。このアルバムに関しては合計3種類売られていて、価格も大きく異なるので注意が必要。
ダヴィッド同盟舞曲は起伏の大きな大規模組曲なのであるが、この内田の解釈と演奏はとてもモデレートで温度感が低く、そして落ち着いた味わいだ。この作品は、大胆な構図と細かなパッセージの双方にシューマンらしい肌理の細かなロマンチシズムが込められている名作中の名作で、内田の解釈はそれを忠実にしかも丁寧に掘り起こし、ディテールの隅々まで気を配った女性的かつ日本的な緻密さを発揮している。反面、シューマンおよびダヴィッド同盟特有の色彩感と、迸るダイナミズムが少々後退して感じられるのは少し残念な部分。円熟した内田の最近の芸風を反映した力作ではあるが、ちょっと老成しすぎた感があり、これは好みの別れるところかも知れない。この内田の演奏とは対照的な、ヴィヴィッドで鮮烈、かつ優美なクレール・デゼールの演奏を思い出してしまった。
対する幻想曲だが、これは素晴らしいの一言だ。スケールが大きくドラマティック、そして煌びやかにして仄暗い翳りもあって、明滅するシューマンの大胆な曲想が遺憾なく表現されている。内田のモーツァルト、ベートーヴェンは高レベルの解釈と演奏で常にトップクラスの評価を得てきたが、この幻想曲もそれらに劣らず深いエモーションと抜群のテクニックを両立させた、名演奏に数えて良い仕上がりだ。
(録音評)
DECCA、4782280、通常CD。録音は2010年5月24-28日、英国サフォーク州スネイプ・モルティングスとある。録音担当は例によってPolyhymnia International BVである。音質は滑らかにして静謐、そして内田の丹念なキータッチをスムーズ&スイートに捉えているし、ごく自然なアンビエントと奥へと展開するサウンドステージの深さも心地良い。ここのところのDECCA音源は素晴らしい音質へと変貌を遂げており、この録音もそのトレンドを反映した一枚と言える。一昔前のDECCAでは信じられないほどの美しいピアノ録音である。
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