2010年 11月 07日
Chopin: Ballades, P-Con#2@Lise de la Salle, Fabio Luisi/SKD |
naiveの夏の新譜で、リーズが弾くショパン・バラード集とピアノ協奏曲2番。特にPコンはファビオ・ルイージ/シュターツカペレ・ドレスデン(=Staatskapelle Dresden=SKD、日本における通称=ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)、場所もSKDの本拠地、ゼンパー・オーパー(Senperoper)におけるライブ収録という絢爛豪華な内容で、こういったメジャー・オケと指揮者をフィーチャーするのはnaiveとしては異例中の異例だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3831906
ショパン:
・バラード第1番ト短調 op.23 [11:14]
・バラード第2番ヘ長調 op.38 [8:20]
・バラード第3番変イ長調 op.47 [8:00]
・バラード第4番ヘ短調 op.52 [13:54]
Lise de la Salle(Pf) リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
・ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21
第1楽章マエストーゾ [15:40]
第2楽章ラルゲット [11:42]
第3楽章アレグレット・ヴィヴァーチェ [8:27]
Lise de la Salle(Pf) リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
Staatskapelle Dresden シュターツカペレ・ドレスデン
Fabio Luisi(Cond) ファビオ・ルイージ(指揮)
このCDは、今年の夏以降、複数のオフ会でも紹介していて、また自宅に招いた人々にも何度も聴いてもらっている傑作録音なのだが、今まで評を書くのを失念していた。
バラードは4曲入っていて、いずれも中庸のテンポで紡がれているがエネルギー密度が高く、尚かつ荒れたところが皆無の純音系トーンが貫かれている。
ピアノの音色が美しいことはいうに及ばず、大胆なアゴーギクと精緻なデュナーミクの交錯は息を呑むほど美しい。リーズのここ数年の進境が如何に著しいかを示す好録音であり、どのトラックも驚嘆に値するほど巧くて呆気にとられるほどである。白眉は冒頭Op.23の中間部で、ここの飛翔感と大胆な隈取りは何度聴いてもやられてしまう。
また、以前、時折観察された左手の腕力不足は完全に克服されており、強音部での圧倒的なパワー感と弱音部のコントロール能力が非常に高いレベルでバランスしている。小規模でメランコリックな曲だけではなく、巨大編成曲をもその手中に収めたことの証左が随所で聴き取れるのだ。左手の強打における混濁は全くと言って良いほど認められず、どこまでも透き通ったハイスピードな低域がタイムラグ無く繰り出される。
ピアノ協奏曲における存在感、特に独奏者としてのプレゼンスはまさに天才的な立ち位置を占めており、ルイージ/SKDを手玉にとった様な堂々たる、そして悠然たる演奏である。
第一楽章の濃密なセッションと連続カデンツァの鬩ぎ合いはスリルがあって、コンチェルトとしては久し振りのシナジーと爽快感が味わえる。
一転して第二楽章の緩徐部におけるゆったり・しっとりとした柔和な表情は大人の雰囲気。そしてフィナーレは颯爽たる疾駆感と確固たる操鍵技巧に支えられた高速パッセージが小気味よい傑作で、ここまでオーケストラと融和し、対話し、そして完璧なバトルを演じたピアノ協奏曲2番は最近では希有かも知れない。とても良い出来映えの演奏だ。
リーズに冠されてきた「天才美少女」との異名は、そろそろ外してやっても良い頃なのかも知れない。彼女は若いとはいえ、もう立派に完成された大人のピアニストなのだ。
(録音評)
naive、V5125、通常CD。録音はバラードの方が2010年2月、Leipzig (ライプツィッヒ)のStudio MDR、Pコンは2009年9月ドレスデンのSenperoper(ゼンパー・オーパー)とある。尚、ピアノ協奏曲のプロデュースはMitteldeutscher Rundfunk(中部ドイツ放送)及びTELEPOOL(局専属の音楽/映像配給会社)とクレジットされている。機材はマイク:Schoeps、Neumann、DPA、プリアンプとADコンバータ:Lawo MC(Pコン)、Strategic Truematch(バラード)、録音編集:Pyramix Virtual Studioとなっている。
普段より音質の良いnaiveにあっても「超」が付くほど優秀な音質の録音であり、バラードの静謐な録り方、そしてゼンパー・オーパーのアンビエントたっぷりな立体的な録り方と、どちらも素晴らしいマイクアングルと完成度を誇っているのだ。リーズの透明感溢れる純音によるショパンの美点を余すところなく確実に捉えた好録音だ。リーズの録音は今までのものも相当に優秀であったが、これもまた前作を凌ぐ素晴らしい出来映えだ。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3831906
ショパン:
・バラード第1番ト短調 op.23 [11:14]
・バラード第2番ヘ長調 op.38 [8:20]
・バラード第3番変イ長調 op.47 [8:00]
・バラード第4番ヘ短調 op.52 [13:54]
Lise de la Salle(Pf) リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
・ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 op.21
第1楽章マエストーゾ [15:40]
第2楽章ラルゲット [11:42]
第3楽章アレグレット・ヴィヴァーチェ [8:27]
Lise de la Salle(Pf) リーズ・ドゥ・ラ・サール(ピアノ)
Staatskapelle Dresden シュターツカペレ・ドレスデン
Fabio Luisi(Cond) ファビオ・ルイージ(指揮)
このCDは、今年の夏以降、複数のオフ会でも紹介していて、また自宅に招いた人々にも何度も聴いてもらっている傑作録音なのだが、今まで評を書くのを失念していた。
バラードは4曲入っていて、いずれも中庸のテンポで紡がれているがエネルギー密度が高く、尚かつ荒れたところが皆無の純音系トーンが貫かれている。
ピアノの音色が美しいことはいうに及ばず、大胆なアゴーギクと精緻なデュナーミクの交錯は息を呑むほど美しい。リーズのここ数年の進境が如何に著しいかを示す好録音であり、どのトラックも驚嘆に値するほど巧くて呆気にとられるほどである。白眉は冒頭Op.23の中間部で、ここの飛翔感と大胆な隈取りは何度聴いてもやられてしまう。
また、以前、時折観察された左手の腕力不足は完全に克服されており、強音部での圧倒的なパワー感と弱音部のコントロール能力が非常に高いレベルでバランスしている。小規模でメランコリックな曲だけではなく、巨大編成曲をもその手中に収めたことの証左が随所で聴き取れるのだ。左手の強打における混濁は全くと言って良いほど認められず、どこまでも透き通ったハイスピードな低域がタイムラグ無く繰り出される。
ピアノ協奏曲における存在感、特に独奏者としてのプレゼンスはまさに天才的な立ち位置を占めており、ルイージ/SKDを手玉にとった様な堂々たる、そして悠然たる演奏である。
第一楽章の濃密なセッションと連続カデンツァの鬩ぎ合いはスリルがあって、コンチェルトとしては久し振りのシナジーと爽快感が味わえる。
一転して第二楽章の緩徐部におけるゆったり・しっとりとした柔和な表情は大人の雰囲気。そしてフィナーレは颯爽たる疾駆感と確固たる操鍵技巧に支えられた高速パッセージが小気味よい傑作で、ここまでオーケストラと融和し、対話し、そして完璧なバトルを演じたピアノ協奏曲2番は最近では希有かも知れない。とても良い出来映えの演奏だ。
リーズに冠されてきた「天才美少女」との異名は、そろそろ外してやっても良い頃なのかも知れない。彼女は若いとはいえ、もう立派に完成された大人のピアニストなのだ。
(録音評)
naive、V5125、通常CD。録音はバラードの方が2010年2月、Leipzig (ライプツィッヒ)のStudio MDR、Pコンは2009年9月ドレスデンのSenperoper(ゼンパー・オーパー)とある。尚、ピアノ協奏曲のプロデュースはMitteldeutscher Rundfunk(中部ドイツ放送)及びTELEPOOL(局専属の音楽/映像配給会社)とクレジットされている。機材はマイク:Schoeps、Neumann、DPA、プリアンプとADコンバータ:Lawo MC(Pコン)、Strategic Truematch(バラード)、録音編集:Pyramix Virtual Studioとなっている。
普段より音質の良いnaiveにあっても「超」が付くほど優秀な音質の録音であり、バラードの静謐な録り方、そしてゼンパー・オーパーのアンビエントたっぷりな立体的な録り方と、どちらも素晴らしいマイクアングルと完成度を誇っているのだ。リーズの透明感溢れる純音によるショパンの美点を余すところなく確実に捉えた好録音だ。リーズの録音は今までのものも相当に優秀であったが、これもまた前作を凌ぐ素晴らしい出来映えだ。
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by primex64
| 2010-11-07 19:30
| Concerto - Pf
|
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Comments(4)
Commented
by
koyama
at 2010-11-07 22:09
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お世話様です。ご無沙汰しておりました。
このCD、naiveにしては極めて廉価wもありまして、早々にゲットいたしました。バラードはポリーニ、コンツェルト2番はツィンマーマン等先達盤も所持しておりますが、音楽の雰囲気の良さに携帯オーディオ、カーステにも入れてヘビーローテーション中です。primex64様のお薦めで、ラサールちゃんの全盤制覇継続中w
このCD、naiveにしては極めて廉価wもありまして、早々にゲットいたしました。バラードはポリーニ、コンツェルト2番はツィンマーマン等先達盤も所持しておりますが、音楽の雰囲気の良さに携帯オーディオ、カーステにも入れてヘビーローテーション中です。primex64様のお薦めで、ラサールちゃんの全盤制覇継続中w
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primex64 at 2010-11-07 22:15
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kawazukiyoshi at 2010-11-08 23:44
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Rürup Rent
at 2011-01-22 07:10
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I really like your blog and i really appreciate the excellent quality content you are posting here for free for your online readers. thanks peace sandro