2010年 10月 11日
Rihm: Vigilia@Rupert Huber/ChorWerk Ruhr, Ensemble Modern |
NEOSの新譜から、現代作家リームのヴィジリアという宗教色の強い大規模な作品。SACDハイブリッドである。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3819374
Rihm: Vigilia (for six voices and ensemble)
ヴォルフガング・リーム(b.1952):
ヴィジリア(徹夜祷) (2006)~6人の声とアンサンブルのための
ChorWerk Ruhr
Ensemble Modern
Rupert Huber(Cond)
コールヴェルク・ルール(混声6重唱)
アンサンブル・モデルン
ルペルト・フーバー(指揮)
ヴィジリアについて、輸入元のコメンタリーから引用:
※ヴィジリアとは、献身的な見守りなどの目的のため夜を徹することを指すキリスト教の礼拝の儀式である。リームはこれまでのエネルギッシュな作風から一転して静かな祈りの音楽という意外な方向へ向かい始めた。金管の陰鬱な導入に続き、闇の中にたなびく清冽な合唱の祈りのハーモニーは天上からの声かと思えるほど美しい。何箇所かアンサンブルによる緊張した音楽が登場するが、全体に静かで沈痛な趣きの祈りの音楽が続く。
--
Sonata 1、Motetus 1、Sonata 2、Motetus 2、・・・Sonata 7、Motetus 7 と続き、最後はMiserere(ミゼレーレ)で終わるという全15トラックの大作だ。Sonataは最小構成の管弦楽アンサンブル+オルガンで演奏され、Motetusは混声6部のアカペラで演奏される。器楽と合唱が合わさるのは最後のミゼレーレを除いては殆ど無くて、それぞれがテーマに連関性がないような並びをしている。Vigiliaの意味は徹夜祷と言うことなので、Verspers(晩祷)と類似した祈りの音楽と言うことになる。
Sonataでは時折咆哮する低域ブラス+弦と屹立するかの明晰でハイスピードな打楽器パート、それに重層感を与えるオルガンの通奏低音と中音部が静かに展開される。多くのパートは不協和音なのであるが、不思議と聴感に調和する落ち着きがあって派手に炸裂するトーンクラスタや不安を煽る12音技法のそれがもたらすものとはちょっと違った趣だ。この不可思議な調和感はアルヴォ・ペルトのトランスクリプション作品に相通ずるところがあって聴けば聴くほど耳に良く馴染んでくる。
一方のMotetus(モテット)は精緻を極める混声6部で紡がれる静謐な祈りの曲であり、言葉の断片と旋律共にシンプルで美しい。但し、和声はやはり不協和音系であって、どことなく墜落夢を見ているような不安定さ、それと自在な飛翔感が癖になるところがある。どうにも惹き込まれるコーラスで、これはリゲッティやタリク・オリガンの音楽のうち調和系の作品に近い味わいがある。ここにはトーンクラスタが部分的に用いられており不可思議な雰囲気と敬虔な祈りのミクスチャを大胆に表現している。
演奏者はいずれも馴染みはないが、パフォーマンスは驚くほど優秀で、特に混声合唱のコールヴェルク・ルールのトランスペアレントな歌声は素晴らしいの一言である。
解釈と鑑賞は多少難しいが、作者の祈りの深さと音の構成法への造詣の深さを味わった上で繰り返し聴いていたいアルバムだ。万人には進められないが歌唱作品と、過激ではない現代曲は行ける、という人には打って付けの佳作と言える。
(録音評)
NEOS Musicレーベル、NEOS10817、SACDハイブリッド。録音は2009年4月1-4日、場所はSalzlager Kokerei Zollverein, Essenとある。音質だが、我が耳を疑うほどの臨場感と気配感、そして余りに実像が生々しいので驚いてしまうほどの超高音質である。どうすればこういった録音が可能となるのであろうか。このSACDには打楽器やオルガンといった極低音を発する楽器がしばしば登場するが、その気配感たるや尋常ではない。生のコンサートホール、或いは教会の大型礼拝堂におけるレンジ感が丸々収録されており、かつそのリアルさがそのまま再生されるという希有のSACDなのだ。
実際のオリジナル収録はPCM 24bit/48kHzという奥ゆかしいフォーマットであるが、これを敢えてDSDマスタリングして編集し出荷盤としている。ハイビットならではのダイナミックレンジ感は凄まじいものがあり、また48kHzと欲張っていないFレンジが逆に功を奏したのか、骨太で実像感の濃い、しかも隈取りの太い超高音質を可能としたのであろうか。
音楽的に見てもオーディオ的に見ても非常に前衛的な作品に仕上がっている。ご自身の装置の再生能力に自信のある諸兄はこのSACDに是非ともチャレンジして欲しいものである。成功した暁には未曾有のサウンドステージが現出するであろう。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3819374
Rihm: Vigilia (for six voices and ensemble)
ヴォルフガング・リーム(b.1952):
ヴィジリア(徹夜祷) (2006)~6人の声とアンサンブルのための
ChorWerk Ruhr
Ensemble Modern
Rupert Huber(Cond)
コールヴェルク・ルール(混声6重唱)
アンサンブル・モデルン
ルペルト・フーバー(指揮)
ヴィジリアについて、輸入元のコメンタリーから引用:
※ヴィジリアとは、献身的な見守りなどの目的のため夜を徹することを指すキリスト教の礼拝の儀式である。リームはこれまでのエネルギッシュな作風から一転して静かな祈りの音楽という意外な方向へ向かい始めた。金管の陰鬱な導入に続き、闇の中にたなびく清冽な合唱の祈りのハーモニーは天上からの声かと思えるほど美しい。何箇所かアンサンブルによる緊張した音楽が登場するが、全体に静かで沈痛な趣きの祈りの音楽が続く。
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Sonata 1、Motetus 1、Sonata 2、Motetus 2、・・・Sonata 7、Motetus 7 と続き、最後はMiserere(ミゼレーレ)で終わるという全15トラックの大作だ。Sonataは最小構成の管弦楽アンサンブル+オルガンで演奏され、Motetusは混声6部のアカペラで演奏される。器楽と合唱が合わさるのは最後のミゼレーレを除いては殆ど無くて、それぞれがテーマに連関性がないような並びをしている。Vigiliaの意味は徹夜祷と言うことなので、Verspers(晩祷)と類似した祈りの音楽と言うことになる。
Sonataでは時折咆哮する低域ブラス+弦と屹立するかの明晰でハイスピードな打楽器パート、それに重層感を与えるオルガンの通奏低音と中音部が静かに展開される。多くのパートは不協和音なのであるが、不思議と聴感に調和する落ち着きがあって派手に炸裂するトーンクラスタや不安を煽る12音技法のそれがもたらすものとはちょっと違った趣だ。この不可思議な調和感はアルヴォ・ペルトのトランスクリプション作品に相通ずるところがあって聴けば聴くほど耳に良く馴染んでくる。
一方のMotetus(モテット)は精緻を極める混声6部で紡がれる静謐な祈りの曲であり、言葉の断片と旋律共にシンプルで美しい。但し、和声はやはり不協和音系であって、どことなく墜落夢を見ているような不安定さ、それと自在な飛翔感が癖になるところがある。どうにも惹き込まれるコーラスで、これはリゲッティやタリク・オリガンの音楽のうち調和系の作品に近い味わいがある。ここにはトーンクラスタが部分的に用いられており不可思議な雰囲気と敬虔な祈りのミクスチャを大胆に表現している。
演奏者はいずれも馴染みはないが、パフォーマンスは驚くほど優秀で、特に混声合唱のコールヴェルク・ルールのトランスペアレントな歌声は素晴らしいの一言である。
解釈と鑑賞は多少難しいが、作者の祈りの深さと音の構成法への造詣の深さを味わった上で繰り返し聴いていたいアルバムだ。万人には進められないが歌唱作品と、過激ではない現代曲は行ける、という人には打って付けの佳作と言える。
(録音評)
NEOS Musicレーベル、NEOS10817、SACDハイブリッド。録音は2009年4月1-4日、場所はSalzlager Kokerei Zollverein, Essenとある。音質だが、我が耳を疑うほどの臨場感と気配感、そして余りに実像が生々しいので驚いてしまうほどの超高音質である。どうすればこういった録音が可能となるのであろうか。このSACDには打楽器やオルガンといった極低音を発する楽器がしばしば登場するが、その気配感たるや尋常ではない。生のコンサートホール、或いは教会の大型礼拝堂におけるレンジ感が丸々収録されており、かつそのリアルさがそのまま再生されるという希有のSACDなのだ。
実際のオリジナル収録はPCM 24bit/48kHzという奥ゆかしいフォーマットであるが、これを敢えてDSDマスタリングして編集し出荷盤としている。ハイビットならではのダイナミックレンジ感は凄まじいものがあり、また48kHzと欲張っていないFレンジが逆に功を奏したのか、骨太で実像感の濃い、しかも隈取りの太い超高音質を可能としたのであろうか。
音楽的に見てもオーディオ的に見ても非常に前衛的な作品に仕上がっている。ご自身の装置の再生能力に自信のある諸兄はこのSACDに是非ともチャレンジして欲しいものである。成功した暁には未曾有のサウンドステージが現出するであろう。
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by primex64
| 2010-10-11 17:56
| Vocal
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