Mahler: Sym#2@MTT/SFSO |

http://www.hmv.co.jp/product/detail/1781738
・マーラー:交響曲第2番ハ短調 「復活」
イサベル・バイラクダリアン(S)
ロレーン・ハント・リーバーソン(Ms)
サンフランシスコ交響楽団&合唱団
ヴァンス・ジョージ(合唱指揮)
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
数ある復活の録音の中でも最高峰、いや史上最高と言って良い出来映えであり、好敵手がありとあらゆる手法と解釈によって演り尽くした感がある中にあってこのMTTの完璧で美しい演奏は今更あり得ないほどの素晴らしさだ。
第一楽章の冒頭から第一主題、提示部まではモデレートなテンポながらMTT独特のマイクロスコピックな高解像度基調で推移する。再現部~コーダは歩を急ぎ気味で疾駆感を伴ったスペクタクルな展開で胸のすくSFSOサウンドが全開だ。しかも正確無比なオケ、特にホーンセクションの充実ぶりは目を見張る。
三楽章の角笛のリフレインは極上の肌触りとポップでありながら、ふくよかなアロワンスを織り交ぜながらコーダーへと急峻に登り詰める。四楽章のいわゆる原光だが、ロレーン・ハント・リーバーソンのたゆたう、そしてしんみりと浸透するメゾがマーラー歌唱の極致を謡い紡ぐ。うーん、素晴らしい!
そして終楽章、否が応にも期待は高まるわけだが、これは正に、高すぎる期待を良い方向にあっさりと裏切るほどの出色さである。現代オーケストラ演奏の規範中の規範であり、またMTTのマーラー解釈の正当性、そしてなんと言っても芸術的であって、そして冷涼なのにエモーショナルな醍醐味がふんだんに詰まった演奏なのだ。深すぎる感動は麻薬的ですらある。こういった演奏ばかり聴いていると他の盤が聴けなくなってくるのはある種の罪悪と言えるかも知れず、この盤の唯一の欠点なのかも知れない。
総合すれば、とても透明で透過的、そしてどこまでもストレートでありながら、かたや柔軟で生硬さのない流動性を兼ね備えた解釈と演奏であり、思い浮かぶ英単語で言うとhyalineと出来ようか? 復活のなかでも類例を見ない孤高の傑作だ。
(録音評)
SFSメディア、82193600062、SACDハイブリッド2枚組。2004年6月、デイヴィス・シンフォニー・ホールでのライブ収録。録音はTritonus Musikproduktion GmbHの社長、Andreas Neubronnerが担当。
ソリッドさが微塵も感じられないツルンとした面で構成された表現は典型的なDSDサウンドだ。解像度は驚くほど高く、そして器楽構成を忠実に捕らえた音像の定位は抜群、サウンドステージのディープな展開、極々自然に減衰するアンビエントと怒濤の金管ビームの嵐、メゾ、ソプラノ等の鋭いキャプチャ、弦や弓の一本一本が見え透くほどの超微粒子表現と、どこをとっても最高と言わざるを得ない録音だ。
