Mozart: Cl-Con K622 Etc@Dimitri Ashkenazy, Czech PO. |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3690157
W.A.MOZART: Clarinet Concerto, K622 / Piano Quintet, K452
Clarinet Concerto in A major, K622
I. Allegro
II. Adagio
III. Rondo: Allegro
Dimitri Ashkenazy(Cl)
Czech Philharmonic Orchestra
Vladimir Ashkenazy(Cond)
Piano Quintet in E flat major, K452
I. Largo - Allegro moderato
II. Larghetto
III. Rondo: Allegretto
Dimitri Ashkenazy(Cl)
Franziska van-Ooyen(Ob), Otis Klober(Fg), Martin Roos(Hr)
Vladimir Ashkenazy(Pf)
クラリネット協奏曲はモーツァルトが生涯で一曲のみ、しかも最後に書いたコンチェルトとして有名だが、演奏機会はそう多くはないであろう。「秋色」と言われる割にはアンニュイ部が少なく、逆に萌木のような若々しいパッセージが特徴的な闊達で活き活きとした作品で、実にモーツァルトらしい明るい曲だ。
別にアシュケナージの息子だから、というわけで取り上げたわけではないが、結論から述べるとクラリネット奏者としてはずば抜けた速度感と超絶技巧の持ち主であり、軽快にして刺激臭が皆無の絶妙なリード・コントロールをやってのける人物だ。燻し銀と形容されるチェコフィルの弦との調和が素晴らしく、またブリリアントでポップなウラディーミル(父)のバトンも楽しそうでよろしい。これくらい吹けると人生バラ色だろう。
次のK452は、邦題をピアノと管楽のための五重奏曲とされることは多いが、実際にはモーツァルトの時代にはモダンピアノはなかったので、「クラヴィーアと木管・金管楽器のための五重奏曲」とすべきであろう。この器楽構成自体は他に例を見ないと思われるほどの珍曲(と個人的には思っている)だが、メロディーラインはゴージャスでゆったりとした、それでいて華やいだ五重奏曲はこれまたモーツァルトの真骨頂だ。ファゴットとホルンが意外と喧嘩せずにハーモニーを奏でているところが不思議と言えば不思議。ドミトリーのクラリネットはそれほど目立つ存在ではないが良い味を出している。ウラディーミルのピアノは割と内省的で手探り感があるが、最終楽章では吹っ切れたらしくて力強いリードとなっている。
(録音評)
Pan Classics、PAN10220、通常CD。録音はプラハのルドルフィヌム、ドヴォルザークホールである。このホールは本当に音が良いと感心してしまう。コンチェルトの方は噎ぶ様なチェコフィルの弦がこれでもか、という具合に明瞭に録られており、五重奏曲の方はステージ上、多少引いた位置に陣取る5名が情感豊かにアンサンブルを繰り広げる姿が見える様に定位する。音色はこのレーベルの特徴である明晰にして軽量、そして僅かなブリリアンスを伴った明るいもので、楽器や音像は多少細い。
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。