J.S.Bach: Partita #1,5,6@Murray Perahia |
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国内盤↓
J.S.バッハ:
・パルティータ第1番変ロ長調BWV825
・パルティータ第5番ト長調BWV829
・パルティータ第6番ホ短調BWV830
マレイ・ペライア(ピアノ)
前作とほぼ同じ曲想で始まる1番だが、徐々に前作との相違点が現れてくる。それは温度感の低さで、ゆったり目に聞こえるパッセージの狭間は緻密な音粒で埋められていることに気が付く。変ロ長調特有のフローラルでブリリアントな佳作のBWV825は、確かに明るいは明るいのであるが底抜けに明媚かというとそうではなくてどこかメランコリックな風情もあってなかなかに大人の表現。デュナーミクと控えめなアゴーギクがゆらゆらと交錯し、とても均整の取れた美しい対位法だ。
5番でも同様だが、更に透徹されたト長調は落ち着き払った中にも疾駆感がある上々の出来。白眉はやはりラスト6番で、これは今までと異なり静謐な中にも凄みと赤い情念の炎を感じられるホットでエネルギッシュな曲想に変化するのだ。速度も他の作品より少しアップテンポに感じられる。楽章が進むにつれて瞑想的な主旋律/対旋律の鬩ぎ合いが執拗に繰り返される一種異様なパッションを放散する独特の弾き方だ。まるでトランス状態で弾いている様な気配であり、ラスト前のガヴォットからジーグにかけては幻想的ですらある。この6番は近年でも出色と言って良い出来映え。
(録音評)
Sony Classical、88697443612、通常CD。録音は2008年12月10~15日、2009年4月4~7日、場所はドイツ・ベルリンのRundfunkzentrumとある。プロデューサーは前作と同じAndreas Neubronner、録音担当はChristian Starkeである。
音質は前作同様に優れたもので、これはソニーというレーベルの作品というよりかはノイブロンナー率いるトリトナス・ミュージック・プロダクション社の音だ。
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