J.S.Bach: Partita #2,3,4@Murray Perahia |
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2692599
国内盤↓
J.S.バッハ:
・パルティータ第2番ハ短調 BWV826
・パルティータ第3番イ短調 BWV827
・パルティータ第4番ニ長調 BWV828
マレイ・ペライア(ピアノ)
これまたモダン・ピアノで弾くバッハのクラヴィーア曲なのだが、これらのピアノ演奏は昨今では録音が多く、その聴き方と解釈の仕方にはそのたびごとに頭を悩ますことが多い。このパルティータは大型スタインウェイが選択されていて、個人的にはストイックで気に入っているアンドラーシュ・シフのパルティータとは全然異なる印象となっている。
ペライアは90年代に指の腱を痛めて長期離脱していたがその後回復し精力的な活動を始めている。そうした中、来日公演も果たしOld Nameの復権かという意気軒昂な昨今である。
さて、そのペライアのパルティータだが、中庸を行く「現代ピアノ」によるバッハであり、いわゆるチェンバロなどバロック楽器によるクラヴィーア曲ではない。現代ピアノだけが持ち得る雄大で透徹されたダイナミックレンジを活かしたバッハだ。そうは言っても、もともとのペライアの持ち味である穏健にしてレイショナルな弾き方は健在で、決して荒れず暴れず、規範を逸脱することのない旋律進行だし対位法としてもまずまずのドラマティックさを保持した緊迫度も味わえる。左右指の出し入れによる主旋律/対旋律の流麗さと交代の滑らかさはさすがだ。
特に良いのは、大規模な序曲で始まる明るいBWV828は屈託のない晴れやかなノンレガートで、これは好印象。跳ねる様なクーラントを経て、その後の楽章でも穏健ながら均整の取れた対位法が鮮やかに構築され終曲ジーグへと向かう。
耳に優しく何度も繰り返して聴くには変な刺激もなく、そうかといって平坦で面白みのない演奏と言うことではなく、それなりに疾駆感もあり、スタンダード的に付き合うには良いパルティータだと思う。
(録音評)
Sony Classical、88697226972、通常CD。録音は2007年6月1~7、11月13~17、場所はドイツ・ベルリンのRundfunkzentrumのSaal 1とある。プロデューサーはAndreas Neubronner、録音担当はChristian Starkeとある。NeubronnerはあのMTT/SFSOのマーラー・チクルスなどを録った実力者だ。
音質は細身にして滑らか、そしてスタインウェイを美しく生々しく捉えている。ホールトーンの美しさも特筆ものだ。数少ないマイクに収斂させた究極のワンポイント的狙い方はさすがと言わざるを得ない。
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