Franck, Gounod: Sept Paroles du Christ sur la Croix@Corboz/Ensemble Vocal de Lausanne |
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Franck: Sept Paroles du Christ sur la Croix (Franck).
Gounod: Les Sept Paroles de Notre Segneur Jésus-Christ sur la Croix
Sophie Graf (Sop), Valérie Bonnard (Alt), Valerio Contaldo,
Mathias Reusser (Ten), Fabrice Hayoz (Bar),
Luc Aeschlimann (Vc), Laura Ermaxora (Harp), Marcelo Giannini (Org)
Ensemble Vocal de Lausanne, Michel Corboz
翻訳された邦題はどちらも「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」、英語だと The Seven Words of Christ at the Cross となるのであろうが、表現は両者で微妙に異なっている。ライナーノートを眺めると殆ど同じラテン語のテキストが確認できるが、これも微妙に異なっている。しかし曲ごとの主題というか、言っていることはほぼ同じだ。
フランクの方は実に素直で壮麗、そして泣かされるような切なる旋律で時にもの悲しく、時に勇壮に歌い込まれる作風。言葉の美しさが染み渡る割とテンポの緩い一貫した展開だ。ソプラノやテノールの朗々とした歌唱が際立つコーラス隊+オルガン+Vc+Harpという最小限度の伴奏は世界初録音というJoris Lejeune(ジョリス・ルジューヌ)編曲版。なお、巨匠カヴァイエ=コル(Aristide Cavaillé-Coll)制作という鍵盤一体型コンソレット・オルガンは意外なほど低域が充実していて驚く。
グノーの方は同じような内容を歌い上げながらも旋律・和声ともフランクとは趣ががらりと異なる構成と展開だ。どちらかというと前衛的で劇的なのはグノーの方で、四部合唱で歌われる増四度スケールの展開が間欠的に現れ、これに由来する特徴的な空間感、飛翔感が素晴らしい。歌詞に聴き入るというよりかは寧ろ旋律に耳が奪われる作品となっている。伴奏はフランクに比べると更にシュリンクしたオルガンと僅かなVcが支えるのみで、殆どアカペラと言ってよい作品だ。
いずれもがミシェル・コルボの特異世界によって独特の超耽美なプレゼンスを確立しており、嵌ればこれは素晴らしいと言わざるを得ない。勿論、個人的には壺に嵌ってしまったわけだが。
(録音評)
MIRARE、MIR106、通常CD。録音は2009年7月、場所はMIRAREお得意の仏リモーザン県のLa Ferme de Villefavardである。しかし、ライナー写真によればいつもの木質系小ホール=ルミエールではなく、小規模な礼拝堂での録音らしい。響きは自然ながら残響もそこそこあって、立体的で実体的な音場空間がポッと出現するのはさすがだ。あとはソリスト達の喉の奥が見え透いてしまうほどの鋭いビームが特徴で、この録音はフォーレのレクイエム以来の出来映えかも知れない。
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