2010年 03月 15日
MusicArena Awards 2009 |
選考はかなり遅れてしまったが、ようやくMusicArena Awardsの各賞を発表できる運びとなった。グラミー賞が確定してしてしまった後ではまずい気もするがそれはそれ、気にせず独自路線である「演奏と音質の高度な調和」に基づいて選んだ秀作を発表する。なお、選考基準は昨年度に準ずる。
--------------------------------------
MusicArena Awards 選考基準
・2009年中に国内リリースされたCD/SACD(国内盤・輸入盤を問わず)
・演奏面/音質面ともに優れたもの
・前衛的な取り組みであると認められるもの
・以上を考慮して以下の各賞を選考する
MusicArena Grand Prix - 最優秀作品を1点選出
MusicArena Semi-Grand Prix - 優秀作品を2点選出
MusicArena Performance of the year - 演奏に特に秀でた作品を数点選出
MusicArena Sound of the year - 録音品質に特に秀でた作品を数点選出
MusicArena Special Encouraging Prize - 将来を嘱望する奏者の作品を数点選出
--------------------------------------
MusicArena
Grand Prix
2009
J.S.Bach: Sonatas & Partitas BWV1001-1006@Viktoria Mullova
バッハ:
・ソナタ 1番 ト短調 BWV1001
・パルティータ 1番 ロ短調 BWV1002 他
ヴィクトリア・ムローヴァ(Vn)
レーベル:ONYX
http://musicarena.exblog.jp/11611319/
http://musicarena.exblog.jp/11618763/
2009年度はこれに尽きると思う。時代考証を重ねてあるべき解釈を検討し、そして16~17世紀に思いを馳せた曲想、そして吟味した楽器・・・。ムローヴァのひたむきなチャレンジはまだまだ続くはずだ。他にも交響曲やフルオケ器楽作品や室内楽など色々あったがVn一挺でここまでの音楽を構築する彼女に脱帽。
MusicArena
Semi-Grand Prix
2009
Mahler: Sym#8,10-Adagio@MTT/SFSO
マーラー:
・交響曲第10番嬰ヘ短調~アダージョ
・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』
サンフランシスコ交響合唱団、マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
レーベル:SFS Media
http://musicarena.exblog.jp/12441563/
恐らくは10人のその道の大家がいたなら9人までもがこの録音を最上位にあげるであろう至高の演奏と録音と言えようか。演奏が良くても録音が期待外、その逆も多い中でマーラー・チクルス全作品をこの完成度でやり遂げたことは快挙と言わざるを得ない。但し、余りに非の打ち所のない優等生的演奏にはダイナミックな面白みを求めてはいけないのである。
MusicArena
Semi-Grand Prix
2009
Händel: Arias@Sandrine Piau
ヘンデル:
天と地の間に~アリア集 ピオー、モンタナーリ&アカデミア・ビザンティナ 他
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)
アカデミア・ビザンティナ、ステファノ・モンタナーリ(指揮)
レーベル:naive
http://musicarena.exblog.jp/13355201/
ピオーの声には恐れ入る。そればかりではなく小規模なバックを務める、ステファノ・モンタナーリ率いるアカデミア・ビザンティナの隙のないアシストは完璧すぎる出来映え。ヘンデルなど、この種のアンシェント系には中途半端な録音が多いだけに本格派かつ美意識を極限まで昇華させたこの録音の存在意義は大きい。このレーベルの音質進化も見逃せないポイントだ。
MusicArena
Performance of the year
2009
Saint-Saëns: P-Con#2,5@Engerer, Quinn/Ens. Orc. de Paris
サン=サーンス:
・ピアノ協奏曲第2番ト短調作品22
・ピアノ協奏曲第5番ヘ長調作品103『エジプト風』
ブリジット・エンゲラー(ピアノ)
アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリ
アンドレア・クイン(指揮)
レーベル:MIRARE
http://musicarena.exblog.jp/11337586/
音楽家は若手の台頭が全てではない、と、気を吐くのがエンゲラーではないだろうか。この人の巧さは際立っていて、もう何年も前からファンなのだが、大体は伴奏ピアノか良くてデュオ、トリオくらいの小編成が殆どであった。ところがこのサン=サーンスはいきなりという感じで度肝を抜かれた。想像はしていなかったのであるが余りに秀逸な出来映えに思わず快哉を叫んだ。これからも正しいピアノを末永く弾いて行って欲しいし、後進の学習のためにも是非とも前面に出てきて大規模曲をどんどん弾いて欲しいのである。
MusicArena
Sound of the year
2009
Verdi: Messa da Requiem@Sylvain Cambreling/SWR SO.
ヴェルディ:レクィエム
SWR南西ドイツ放送交響楽団
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
レーベル:Hänssler Classic
http://musicarena.exblog.jp/12145132/
カンブルランは最近でこそ録音が増えてきたがずっと無名の指揮者。ラザレフと同様、ちょっと前から注目度が上昇している欧州系の新しいリーダーだと個人的には思っている。透徹されたクールで弛緩のないそのタクト捌きは余りに格好が良い。勿論、ヘンスラー氏が選んだだけのことはあって地味系の超Hi-Fiサウンドは垂涎の領域。これほどの静謐さを持つステージ背景はSACDと言えども希有だ。
MusicArena
Sound of the year
2009
Berg, Beethoven: Vn-Con@Arabella Steinbacher,Andris Nelsons/WDR
・ベルク:ヴァイオリン協奏曲
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲op.61
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(Vn)
西部ドイツ放送・ケルン放送交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)
アンドリス・ネルソンス(指揮)
レーベル:ORFEO
http://musicarena.exblog.jp/13840878/
この録音は頭を抱えてしまうほど音が良い普通のCD-DAなのだ。音だけではなくシュタインバッハーのVnは切れが良く、とても明晰な解釈なのが際立っていて聴き惚れてしまう。特段に前衛的な演奏ではないと思うのであるが、それでも他の新譜たちと比べると際立ったエネルギーが満ちていて独特の引力に幻惑される一枚なのだ。ちょっとばかり騙され続けてみようか? と思わされる魅力ある演奏だ。
MusicArena
Special Encouraging Prize
2009
Après un Rêve@Chika Edanami
・フォーレ=ミッシャ・エルマン編:夢のあとに
・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
・フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 Op.108
枝並千花(Vn)、長尾洋史(Pf)
レーベル:MA Recordings
http://musicarena.exblog.jp/12164721/
枝並千花はまだ若い国内Vn奏者で、キャリアもプレゼンスも世間的には今ひとつかも知れないが、個人的には大いに着目している。それは評論本文にも書いていることだが、思い切りの良い伸び伸びとした直進性の強い解釈と演奏をする人だからだ。お行儀の良いお嬢様Vn奏者が多い中、とても頑張っていてしかもその熱意がちゃんと演奏と音とに現れているのが尊敬に値する。切れ味鋭い欧米のソリストとは成長速度は異なるかも知れないけれど暫くは静かに応援していこうと思っている。
最終選考まで残った秀作たち:
http://musicarena.exblog.jp/11330344/
http://musicarena.exblog.jp/11279843/
http://musicarena.exblog.jp/11476734/
http://musicarena.exblog.jp/11562271/
http://musicarena.exblog.jp/11570014/
http://musicarena.exblog.jp/11852119/
http://musicarena.exblog.jp/12022212/
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
--------------------------------------
MusicArena Awards 選考基準
・2009年中に国内リリースされたCD/SACD(国内盤・輸入盤を問わず)
・演奏面/音質面ともに優れたもの
・前衛的な取り組みであると認められるもの
・以上を考慮して以下の各賞を選考する
MusicArena Grand Prix - 最優秀作品を1点選出
MusicArena Semi-Grand Prix - 優秀作品を2点選出
MusicArena Performance of the year - 演奏に特に秀でた作品を数点選出
MusicArena Sound of the year - 録音品質に特に秀でた作品を数点選出
MusicArena Special Encouraging Prize - 将来を嘱望する奏者の作品を数点選出
--------------------------------------
MusicArena
Grand Prix
2009
J.S.Bach: Sonatas & Partitas BWV1001-1006@Viktoria Mullova
バッハ:
・ソナタ 1番 ト短調 BWV1001
・パルティータ 1番 ロ短調 BWV1002 他
ヴィクトリア・ムローヴァ(Vn)
レーベル:ONYX
http://musicarena.exblog.jp/11611319/
http://musicarena.exblog.jp/11618763/
2009年度はこれに尽きると思う。時代考証を重ねてあるべき解釈を検討し、そして16~17世紀に思いを馳せた曲想、そして吟味した楽器・・・。ムローヴァのひたむきなチャレンジはまだまだ続くはずだ。他にも交響曲やフルオケ器楽作品や室内楽など色々あったがVn一挺でここまでの音楽を構築する彼女に脱帽。
MusicArena
Semi-Grand Prix
2009
Mahler: Sym#8,10-Adagio@MTT/SFSO
マーラー:
・交響曲第10番嬰ヘ短調~アダージョ
・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』
サンフランシスコ交響合唱団、マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
レーベル:SFS Media
http://musicarena.exblog.jp/12441563/
恐らくは10人のその道の大家がいたなら9人までもがこの録音を最上位にあげるであろう至高の演奏と録音と言えようか。演奏が良くても録音が期待外、その逆も多い中でマーラー・チクルス全作品をこの完成度でやり遂げたことは快挙と言わざるを得ない。但し、余りに非の打ち所のない優等生的演奏にはダイナミックな面白みを求めてはいけないのである。
MusicArena
Semi-Grand Prix
2009
Händel: Arias@Sandrine Piau
ヘンデル:
天と地の間に~アリア集 ピオー、モンタナーリ&アカデミア・ビザンティナ 他
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)
アカデミア・ビザンティナ、ステファノ・モンタナーリ(指揮)
レーベル:naive
http://musicarena.exblog.jp/13355201/
ピオーの声には恐れ入る。そればかりではなく小規模なバックを務める、ステファノ・モンタナーリ率いるアカデミア・ビザンティナの隙のないアシストは完璧すぎる出来映え。ヘンデルなど、この種のアンシェント系には中途半端な録音が多いだけに本格派かつ美意識を極限まで昇華させたこの録音の存在意義は大きい。このレーベルの音質進化も見逃せないポイントだ。
MusicArena
Performance of the year
2009
Saint-Saëns: P-Con#2,5@Engerer, Quinn/Ens. Orc. de Paris
サン=サーンス:
・ピアノ協奏曲第2番ト短調作品22
・ピアノ協奏曲第5番ヘ長調作品103『エジプト風』
ブリジット・エンゲラー(ピアノ)
アンサンブル・オルケストラル・ドゥ・パリ
アンドレア・クイン(指揮)
レーベル:MIRARE
http://musicarena.exblog.jp/11337586/
音楽家は若手の台頭が全てではない、と、気を吐くのがエンゲラーではないだろうか。この人の巧さは際立っていて、もう何年も前からファンなのだが、大体は伴奏ピアノか良くてデュオ、トリオくらいの小編成が殆どであった。ところがこのサン=サーンスはいきなりという感じで度肝を抜かれた。想像はしていなかったのであるが余りに秀逸な出来映えに思わず快哉を叫んだ。これからも正しいピアノを末永く弾いて行って欲しいし、後進の学習のためにも是非とも前面に出てきて大規模曲をどんどん弾いて欲しいのである。
MusicArena
Sound of the year
2009
Verdi: Messa da Requiem@Sylvain Cambreling/SWR SO.
ヴェルディ:レクィエム
SWR南西ドイツ放送交響楽団
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
レーベル:Hänssler Classic
http://musicarena.exblog.jp/12145132/
カンブルランは最近でこそ録音が増えてきたがずっと無名の指揮者。ラザレフと同様、ちょっと前から注目度が上昇している欧州系の新しいリーダーだと個人的には思っている。透徹されたクールで弛緩のないそのタクト捌きは余りに格好が良い。勿論、ヘンスラー氏が選んだだけのことはあって地味系の超Hi-Fiサウンドは垂涎の領域。これほどの静謐さを持つステージ背景はSACDと言えども希有だ。
MusicArena
Sound of the year
2009
Berg, Beethoven: Vn-Con@Arabella Steinbacher,Andris Nelsons/WDR
・ベルク:ヴァイオリン協奏曲
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲op.61
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(Vn)
西部ドイツ放送・ケルン放送交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)
アンドリス・ネルソンス(指揮)
レーベル:ORFEO
http://musicarena.exblog.jp/13840878/
この録音は頭を抱えてしまうほど音が良い普通のCD-DAなのだ。音だけではなくシュタインバッハーのVnは切れが良く、とても明晰な解釈なのが際立っていて聴き惚れてしまう。特段に前衛的な演奏ではないと思うのであるが、それでも他の新譜たちと比べると際立ったエネルギーが満ちていて独特の引力に幻惑される一枚なのだ。ちょっとばかり騙され続けてみようか? と思わされる魅力ある演奏だ。
MusicArena
Special Encouraging Prize
2009
Après un Rêve@Chika Edanami
・フォーレ=ミッシャ・エルマン編:夢のあとに
・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
・フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第2番 Op.108
枝並千花(Vn)、長尾洋史(Pf)
レーベル:MA Recordings
http://musicarena.exblog.jp/12164721/
枝並千花はまだ若い国内Vn奏者で、キャリアもプレゼンスも世間的には今ひとつかも知れないが、個人的には大いに着目している。それは評論本文にも書いていることだが、思い切りの良い伸び伸びとした直進性の強い解釈と演奏をする人だからだ。お行儀の良いお嬢様Vn奏者が多い中、とても頑張っていてしかもその熱意がちゃんと演奏と音とに現れているのが尊敬に値する。切れ味鋭い欧米のソリストとは成長速度は異なるかも知れないけれど暫くは静かに応援していこうと思っている。
最終選考まで残った秀作たち:
http://musicarena.exblog.jp/11330344/
http://musicarena.exblog.jp/11279843/
http://musicarena.exblog.jp/11476734/
http://musicarena.exblog.jp/11562271/
http://musicarena.exblog.jp/11570014/
http://musicarena.exblog.jp/11852119/
http://musicarena.exblog.jp/12022212/
1日1回、ここをポチっとクリック ! お願いします。
by primex64
| 2010-03-15 01:00
| Music
|
Trackback
|
Comments(2)
初めまして。自分は現在鬱病闘病中のシンと申します。
主治医に「心の病には音楽が効果的です」と言われ、ネットサーフィンしていたらこちらに辿りつきました。
実は自分もブログをやっているのですが、もし宜しければ相互リンクさせて頂けないでしょうか?
私ブログは内容的には闘病記ではありますが、今やってるネットの仕事の話や、面白裏情報や、日々を少しでも楽しく生きようと毎日更新しております。
ご検討頂ければ幸いです。
突然のコメントで大変失礼致しました。
応援クリックして帰らせて頂きます。
失礼致します。
シン
主治医に「心の病には音楽が効果的です」と言われ、ネットサーフィンしていたらこちらに辿りつきました。
実は自分もブログをやっているのですが、もし宜しければ相互リンクさせて頂けないでしょうか?
私ブログは内容的には闘病記ではありますが、今やってるネットの仕事の話や、面白裏情報や、日々を少しでも楽しく生きようと毎日更新しております。
ご検討頂ければ幸いです。
突然のコメントで大変失礼致しました。
応援クリックして帰らせて頂きます。
失礼致します。
シン
0
Commented
by
primex64 at 2010-03-16 22:09
シン さん、いらしゃいませ!
わざわざ拙blogをお訪ね下さりありがとうございます。めっそうなことは言えませんが、音楽が少しでもシンさんの病の治癒に役立てば嬉しいです。MusicArenaはクラシック専門となりますが敷居の高くないポピュラーな盤も紹介していきますので、またお越し下さいませ。
リンクの件、承知致しました。喜んでリンクさせて頂きますww
わざわざ拙blogをお訪ね下さりありがとうございます。めっそうなことは言えませんが、音楽が少しでもシンさんの病の治癒に役立てば嬉しいです。MusicArenaはクラシック専門となりますが敷居の高くないポピュラーな盤も紹介していきますので、またお越し下さいませ。
リンクの件、承知致しました。喜んでリンクさせて頂きますww