J.S.Bach: Toccata und Fuge BWV565 Etc@Nobuyoshi Kamiya |
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・J.S.バッハ Johann Sebastian BACH
小フーガ ト短調 Fuge BWV578
トッカータとフーガ ニ短調 Toccata und Fuge BWV565
プレリュードとフーガ ハ長調 Präudium und Fuge BWV545
シュプラー・コラール『目覚めよ、と呼ぶ声あり』
Schüler- Choräe “Watchet auf, ruft uns die Stimme” BWV645
コラール『最愛のイエス、われらここにあり』
Choralbearbeitung “Liebster Jesu, wir sind hier” BWV731
・D.ブクステフーデ:トッカータ ヘ長調
Dietrich BUXTEHUDE : Toccata BuxWV156
・F.メンデルスゾーン:プレリュードとフーガ ハ短調
Felix MENDELSSOHN : Präudium und Fuge op.37-1
・J.ブラームス Johannes BRAHMS
コラール前奏曲『おお愛する魂よ、汝を飾れ』
Choralvorspiel “Schmüke dich, o liebe Seele” op.122-5
コラール前奏曲『おお、いかに喜びに満ちたるか汝ら信仰深き者』
Choralvorspiel “O wie selig seid ihr doch, ihr Frommen” op.122-6
S.カルク=エラート:コラール即興曲『今ぞすべての人よ、神に感謝せよ』
Sigfried KARG-ELERT:Choral improvisation“Nun danket alle Gott” op.65-59
紙屋 信義 オルガン Nobuyoshi KAMIYA organ
このCDは割と個人的には面白い盤だと思っていたのであるが、仲の良い仲間には披露する機会が何故かなかった。去年の夏前だか、とあるオーディオ好きのお宅(=初対面だった)で開催されたオフ会に一度だけ持ち込んでいる。この時には、当の御仁を後々散々な目に遭わせることとなる発端を作ってしまったという罪深いCDなのであるが・・。
以下、マイスター・ミュージックのWebページから引用:
邦人では数少ない、キルヘムジカ(教会音楽家)として活躍する、紙屋信義。教会音楽家とは単なるオルガン奏者ではなく、教会で行われる重要な音楽活動全般に携わり、作曲、合唱やオーケストラの指導、また、ミサや礼拝においては即興演奏を披露するなど、高度な音楽的技術と教養が必要とされる、役職です。その紙屋が、バッハを中心としたオルガンの名作品をレコーディングした興味深い一枚。
(引用終わり)
どういうわけだか非常に遅いテンポで抑揚のないバッハたちが繰り広げられる。温度感は低く、良く言えば透徹された達観で貫かれており、悪く言えば平坦で情感の籠もらない退屈な演奏なのだ。BWV565、545、645は共に律儀と言えば律儀で、もうちょっと歩を速めるべきでは? という焦れったさも手伝ってか個人的にはいま聴いても違和感が拭えない。
一方、ブクステフーデのトッカータだけは活き活きとした躍動感を伝えており、この曲想の差は恐らくこの紙屋氏の解釈と価値観から来るものだと思われる。メンデルスゾーンの方は推して知るべしの内容で、これは元々の原曲がちょっとライトな雰囲気なのでどう弾いてもこういう感じにしかならないと思われる。ブラームスとカルク=エラートはバッハよりかはピッチが速くて抑揚もきちんと付いていて思ったよりは聴ける。
(録音評)
Meister Musicレーベル、MM-1218、通常CD。2006年、川口・リリアホールでの録音。音質は国産CDとしてはずば抜けたものを持っている。また、オルガンの録音としてはOEHMSに対抗しうる品質を備えた数少ない国内録音盤であり、これと比肩できるのはオルガン惑星(ソニーSBM)くらいだろう。
なにが凄いかというと、まず、32フィートのフルー管(ストップ名=コントラ・ズーバス、またはボンバルデ)のフルスウェルがそのまま収録されていると言うこと。一番下のC(ド)の音は理論的には8Hzという計算だ。勿論、THIEL CS7.2の低域性能がどんなに優れていようがこの音を再生することは不可能だ。次に、壁面に取り付けられたパイプ群の定位が恐ろしく鮮明なのだ。真ん中あたりにばらばらに配置されているリード管と左右配置の大型フルー管はまるで別の場所から別の方角へ向けてビームを放散しているのがつぶさに見える。そしてS/Nが極めて良好で、ピアニッシモでも最弱音がノイズに隠れることはなく非常に鮮明なホールトーンを描く。
オーディオ系オフ会には必携のアルバムと言える。勿論、低域再生に自信のない人はチャレンジしない方が身のためだし、下手に大音量で掛けると機器や聴感を損傷させるリスクもあって危険だ。
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