J.S.Bach: French Suites BWV812-817@Mayako Sone -2 |
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(国内盤はこちらからも・・↓)
J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)
- Disc 2 -
第4番変ホ長調 BWV.815
第5番ト長調 BWV.816
第6番ホ長調 BWV.817
曽根麻矢子(cemb)
一枚目の最後3番の続きが4番BWV815ということで同じ日のリサイタルの二曲目だったと思われる演奏。テンションはほぼ同じようだがこの変ホ長調の華やかで流麗な曲は肩の力を抜いたアルマンドから始まる。そしてアップテンポのクーラントは抑制気味に淡々と3拍子を刻むところが1~2番とちょっと違う。舞曲のガヴォットとエールは急ぎ調子で速く弾き抜け、その勢いのまま終曲にいくかと思いきや一歩一歩足元を確かめるかのように2声フーガを太く弾いている。
5番も優美なアルマンドから始まるがこれは本当にやさしい弾き方で、まろび出るような刺激の少ないレガートだ。一転、クーラントはちょっと激しいマルカートでエネルギッシュな弾き方、部分的にはルバートを強調気味に使ってリズム感を増している。次のサラバンドは情感たっぷりの緩徐楽章でここはゆっくりと美しい弦を歌わせている。諧謔で楽しいことで有名なガヴォット~ブーレ~ルールは曽根の鍵盤制御の正確さが奏功してか、律儀で求道的、重厚な響きだ。ジーグはまたまた高速パッセージとなり華やかでドラマティックな対位法を展開しつつ咳き込むようにコーダへと突き進む。
6番はなんと言っても16分音符が高速で連続するクーラントが圧巻。急ぎつつも卒なく緻密に音符を繋いで行く。箸休めという感のサラバンドはさらりとゆったり弾いているがそれは後続への序章で、ガヴォット~ポロネーズ~メヌエット~ブーレと快活に紡ぐための下地となっているようだ。終曲である華麗で明るいジーグは、今までの曲の終わりとは違ってそれほど急ぐことなく手堅いイメージで締めくくっている。
(録音評)
avex classics、AVCL-25510~1、SACDハイブリッド、2004年10月28~29日(#1、#2)、2004年5月27~28日(#3、#4)、2003年10月30~31日(#5、#6)、場所はいずれも浜離宮朝日ホール、バッハ連続リサイタルのライブ録音。avexのクラシックの録音はほぼ全てアウトソースで、このアルバムに関してはディレクター:野田智子(パンセ・ミュージック)、エンジニア:櫻井卓(パウ)とあり、このコンビは割と目にする。櫻井氏は独EMIでトーンマイスターを務めていたというその道の業界人で録音技術には定評があるようだ。マスタリングはこれまた有名人でJVCの杉本一家(かずいえ)氏。
各テイクがそれぞれ異なる日時のためか、トラックごとにプレゼンスは若干異なるものの概ね音色は揃っている。音質は極めて明瞭で楽器定位も自然でリアル、そしてウッディな浜離宮朝日ホールの質感が良く出ている好録音だ。会場ノイズはうまく処理されておりセッション録音と遜色のないS/Nを達成している。クラシックの国内録音にも優秀な盤がちらほら出始めている様で、今後は国内盤も要チェックだ。
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