J.S.Bach: French Suites BWV812-817@Mayako Sone -1 |
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J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)
- Disc 1 -
第1番ニ短調 BWV.812
第2番ハ短調 BWV.813
第3番ロ短調 BWV.814
曽根麻矢子(cemb)
この録音は2003年~2004年に掛けて浜離宮朝日ホールで行われたバッハ作品の連続演奏会のライブ音源を編集してフランス組曲だけを並べたものだ。この演奏会はフランス組曲とイギリス組曲の同番曲をそれぞれ3回に分けて演奏している。演奏会自体は年に6回、2年で合計12回も開催された。このリリースの前にはセッション録りしたフランス組曲もあってそちらも概ね好評。曽根自身もライナーに、割と短い間隔でフランス組曲を2回も録音することなど考えてはいなかった、と述懐している。
端正で奇を衒わない優しい演奏だとの先入観を持って一枚目を聴いた。ちょっと驚いた。結構速いのだ。しかも力強い解釈と弾き回しであり、ぐいぐいと何かに取り憑かれて引っ張られるように没入してしまった。レオンハルトやリヒター、もしくはバルヒャのようなスタティックで求道的な弾き方ではなく、ピエール・アンタイやピーター=ヤン・ベルダーほどのダイナミックさや多彩な遊び・うねりも少ない。言葉は悪いが細部には囚われず太筆で墨痕鮮やかに弾き倒している、という表現が的確だろうか。
1番BWV812は中庸の入り(アルマンド)だが、クーラントではハイスピードなエネルギーが顔を出し始める。サラバンドはもうちょっと遅くゆったりでも良いかな、とは思うのだが、この緩徐楽章も割と速い。メヌエット1&2を挟んでジーグはちょっと荒々しく疾駆するのはかなり意外。2番BWV813もけっこう急ぎ調子で始まるが、ここのサラバンドはハ短調という調性が影響してか1番よりは温度感が低い感じでしっとり落ち着いた流れ。しかしジーグはやはり疾駆している。3番BWV814は録音した日が異なるせいかちょっと気分は違っていて、全体は濃密かつ稠密な解釈だ。最後のジーグはやはり力強いエネルギーが通っていてアチェレランドも鋭く効き、コーダは堂々たるもの。
という風にライブ・テイクのコンピレーションならではの臨場感と緊迫感を伴っており、換言すれば少々荒削りな演奏と雰囲気が魅力とも言えようか。
(続く)
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